バンタムルアーがさらに進化!! シマノ最先端技術搭載の注目アイテムはコレだ!!

伝説のバスタックルブランド『バンタム』の復活から4年、これまで本質を追い求めてベーシック路線を中心に展開していた同ブランドのハードルアーだが、それに飽き足らず今季は適材適所で唯一無二の最先端テクノロジーを融合。ハードベイトゲームを次なるステージへと導く、同社の高度な技術に注目してみたい。

AR-C/ロングキャストと立ち上がりの良さを両立した画期的重心移動機構

『AR-C』はオールラウンドキャスティングの略語であり、シマノ・プロダクトにおいてキャスト性能の向上をもたらす機能に対して付与される名称だ。

ルアーのAR-Cと言えば、それは重心移動機構を指す。

重心移動については各社が工夫を凝らし、さまざまな構造を開発しているのはご存じのとおり。しかしそのなかでもっとも理想的と言えるのがAR-C重心移動システムではないか。

円筒状のウエイトが前後に移動するシャフト部分に特殊なスプリングを配しており、キャスト時、テイクバック~ラインリリースのタイミングでは遠心力によって重心が後方へ移動、飛行中にスプリングの力でウエイトが本来あるべき位置に押し戻され、着水時には速やかにアクションへと移行できる姿勢が整っているという仕組み。

すなわちアングラー側でウエイトの位置を戻すための“捨てアクション”を必要とせず、オートマチックに固定重心と同様のレスポンスが得られるということだ。

バスフィッシング用のルアーでAR-Cを初搭載した『BantamマクベスフラットAR-C』。国内屈指のクランカー・伊豫部健プロが監修を務め、AR-Cによってフラットサイドクランクの弱点ともいうべき投げにくさを解消している。
特殊なスプリングを内蔵することで、ウエイトの位置を自動的にコントロールするのがAR-C重心移動機構。ボディ後方に行きっぱなしではなく、着水時には元の場所にウエイトが戻っているため、ひと巻き目からしっかりと水を掴んで潜行を開始する。
こんなふうに枝が邪魔となり、ロッドを自在に振ることができないスポットもAR-Cの強みが生きてくる。ハイプレッシャーフィールドで飛距離と精度は絶対的アドバンテージとなるのだ。

その構造によっては着水後に直立浮きとなってリップが水面上に出てしまい、巻き始めた途端にルアーが水面で滑ってしまうこともある重心移動だが、AR-Cに限ってそんなストレスを感じることは一切ないだろう。

しかしここで疑問点がひとつ。素人考えでは、飛行中もずっとウエイトが後方にあるままのほうが飛距離が伸びるように思ってしまう。それを開発スタッフに問うと、放物線の頂点に達した以降は、後方重心だと揚力が得られず下方への力に変換されてしまう、AR-Cによってウエイトが戻り姿勢が安定することも飛距離アップに貢献する、との解答を得た。

当然といえば当然、立ち上がりの良さを優先して飛距離が犠牲になってしまったのでは本末転倒。テストではドームを貸し切り、無風の同一条件下で、ウエイトだけでなく、スプリングの長さや復元力についても膨大な組み合わせのサンプルを試し、さらにはスプリング非搭載の状態、あるいは一般的な重心移動システムと比較したうえで、最適解を導き出しているのである。

AR-Cはバンタムシリーズのi字系Bantamジジル85と今期登場のBantamジジル115フラッシュブースト(写真)にも採用されている。言うまでもなく、浮力やウエイトとの兼ね合いで重心移動のスペースやスプリングの強さ・長さはそれぞれに最適化されている。

飛距離を稼げるアドバンテージはルアーの投げやすさに直結する。そしてそれはバックラッシュなどのトラブル減少やアキュラシー向上と同義。必然的にキャストの回数が増え、しかも狙った場所に正確なアプローチができる。ここにもAR-Cのメリットがある。

Profile 伊豫部健(いよべ・けん)/日本の野池から本場アメリカのプロトーナメントまで幅広く活躍。氏のクランクベイトに対する深い造詣がシマノ・Bantamマクベスシリーズに活かされている。

「シャッドやジャークベイトが活躍する時季に、浮いているバスをカバー際で食わせるための選択肢がマクベスフラット」と伊豫部さん。その言葉どおり、早春の五三川(岐阜県)でキャッチしたナイスフィッシュ!!

狂鱗/狂わせるほどの質感

リアルの追求が生み出したまったく新しいホログラムパターン『狂鱗(きょうりん)』。

その開発はソルトウォータールアーに端を発しており、鱗のサンプルは実際のイワシから採取したものだ。それを緻密にスケッチし、アウトラインをデータ化。

さらにイワシの拡大写真に重ねて配置を正確に再現している。

鱗の大きさというのは体側と背中側や腹側で部分的にサイズが異なっており、そんな不均一性にも徹底的にこだわったという。

見る角度、光の当たる角度によって明暗が生じ、まるで本物のベイトフィッシュのように鱗1枚1枚が独立しているかのような錯覚を抱く。テストサンプルを複数尾のヒラマサが狂ったように奪い合った様子が、そのまま名前の由来となった。

メッキのカラーリングは人間の見た目に本物らしく映るが、狂鱗には生々しささえ感じられる。その生き物感はすべての魚に共通するものであって、バンタムシリーズの各種ルアーにも取り入れられたというわけだ。

発売以来フィッシュイーターを魅了し続けているシマノ独自のリアルカラー。バンタムシリーズではリップフラッシュ、パブロシャッド、ジジル、チャグウォーカー、Btスピンに採用されていたが、新たにトリプルインパクトとラウドノッカーにもラインナップされる。

Bantamトリプルインパクト(カラー:キョウリンチャート)

その名のとおり、波動と音、そして光という3つの要素が複合してバスの捕食本能を刺激するミノーフォルム・ウェイクベイト。ただ巻くだけでバスを水面へと誘う。

●全長:107mm ●重量:19g ●カラー:全16色 ●タイプ:フローティング ●価格:2,200円(税抜き) ●狂鱗カラーを含む新色は7月発売予定

Bantamラウドノッカー(カラー:キョウリンクロキン)

甲高いラトルノック音が名前の由来。ドッグウォークアクションはもちろんダイビングも得意であり、操作する楽しさを教えてくれるペンシルベイトだ。

●全長:110mm ●重量:20g ●カラー:全17色 ●タイプ:フローティング ●価格:1,850円(税抜き) ●狂鱗カラーを含む新色は7月発売予定

強鱗/強さを備えたリアル

そしてまもなくもうひとつ、独自コンセプトの新たなホログラムパターンが追加される。ネーミングは同じく“きょうりん”だがこちらは『強鱗』と書く。

ナチュラル系カラーに一家言ある奥田学プロが求めた、『狂鱗』のパワーアップバージョンだ。

サイズのより大きなベイトフィッシュ、具体的にはフナの鱗をモチーフにホログラムのアピール力を強め、『狂鱗』のリアルを踏襲しつつ全体の輝きがパワーを増すというもの。

話題のリアルホログラムパターン『狂鱗』のアピール力を増強したパターン。バンタムルアーではまず奥田プロ監修のビッグベイト2モデル、BtフォースとBtスラプターに採用される予定だ。

Bantam Btフォース(カラー:ギザーシャッド)

ワイドリップ&ジョイントボディの強波動と低音ラトル、そして硬めのマストテールが生み出すスプラッシュが特長のサーフェス系ビッグベイト。

●全長:190mm ●重量:50g ●カラー:全15色 ●タイプ:フローティング ●価格:3,450円(税抜き) ●強鱗カラー=ギザーシャッドを含む新色は7月発売予定

Bantam Btスラプター(カラー:ギザーシャッド)

ベイトフィッシュが追われる状況、すなわち水面方向への軌道コントロールが可能なS字系セミオートスイッチングベイト。スローからファストまで意のままに操作できる

●全長:182mm ●重量:58g ●カラー:全12色 ●タイプ:フローティング ●価格:3,600円(税抜き) ●強鱗カラー=ギザーシャッドを含む新色は7月発売予定

誤解してはいけないのは、『狂鱗』も『強鱗』も、あくまでカラーラインナップのひとつだということ。この2色がどんな状況でも圧倒的に釣れるというものではない。ただし、ナチュラル系の選択肢を広げる心強い味方となることは確かだ。

Profile 奥田 学(おくだ・まなぶ)/日本を代表するでかバスハンターのひとり。ビッグベイトのイメージが強いが、その引き出しは実に多く硬軟の使い分けに長けた達人だ。

強さの指針 by 奥田 学

「『狂鱗』と『強鱗』の違いはアピール力の強さ。イメージとしては、ステイなどを入れてナチュラルに見せて食わせるのが前者、対して後者はナチュラルではあるけれど攻める方向。連続ジャークやウォブリングでギラつかせて存在を訴えて、気付かせて食わせる感じやね。強さで言えば、狂鱗<強鱗<メッキ系というと分かりやすいかな」

フラッシュブースト/ステイでさえ誘い続ける自発的フラッシング

たとえ鏡のような水面であっても、かすかな水の動きは生じているもの。リトリーブの惰性、ほんのわずかなラインテンション…ピタリと止めているように見えても、フラッシュブーストは絶え間なく明滅を続けている。

ソフトベイトのノーシンカーしかり、たとえばハードベイトであっても流れがあるなかでのドリフトなど、アングラーが故意にアクションを与えず、そのルアーが持っている自発的な動きを引き出すことが有効な場面がある。

いや、むしろひっきりなしにルアーが投入されるハイシーズンともなると、濁りや強風など環境条件が味方でもしてくれない限り、派手なロッドワークによる激しいアクションなどもってのほか、ただ巻きですらバスを怯えさせる要素になりかねない。メジャーレイクであればあるほど、その傾向は顕著だ。

昨秋、ウィードの減少や天候不順によるタフ化でプロガイドすらも手を焼いていた琵琶湖で圧倒的釣果を生んだi字系ルアーがある。『Bantamジジル85』。

同カテゴリーのパイオニアである山木一人プロ監修のこのルアーはただ巻きによるi字アクションを止めた途端、独自のジョイント設計(ワグロックジョイント)が機能し、頭部をカクンと曲げる。その自発的な動きがトリガーとなり、チェイスしたバスをバイトに至らしめるのだ。

止めても(動かさなくとも)自発的にターゲットを誘い出してしまう機能。

『フラッシュブースト』開発の原点もそこにあるという。

その仕組みはプレート(反射板)の両端をスプリングで固定、かすかな振動にも呼応する不安定さがステイ時にも制御不可能な高速ピッチの明滅を生むというものだ。まさしく自発的なフラッシングである。

下方にオモリを装着した反射板を挟むように両端をスプリングで固定。このスプリングが着水やアクションを与えた際に生じる振動を増幅することで反射板を揺らし、明滅を発生(高さとバネ係数からもっとも揺れ続けるオモリの重さを算出している)。ルアー自体の動きを止めても自発的なフラッシングでアピールする。

クリアなボディに反射板を内蔵し、ルアーを動かすとキラメキを生むというのは、トラディショナルなカラーリングとして存在している。しかしまさかその反射板そのものを可動式にしてしまうとは、シマノルアー開発陣の斬新な発想に脱帽するしかない。

Bantamジジル115フラッシュブースト(カラー:キョウリンワカサギ)

●全長:115mm ●重量:15g ●カラー:全10色 ●タイプ:フローティング ●価格:2,100円(税抜き)

Profile 山木一人(やまき・かずと)/日本のバスフィッシングのルーツ、芦ノ湖畔で生まれ育った生粋のバスアングラー。i字形という日本独自のカテゴリーを確立した慧眼の士である。

シマノテクノロジーの粋を集めた最先端i字系

「フラッシュブーストはいろいろ形状をかえて、それこそボディの端から端まで細長いのも入れてみましたよ。でも、反射板が大きいとアピールが強すぎるせいか反応はするけれどバイトに至らない。魚を寄せつつバイトさせられる大きさと形、位置を見つけ出すのに苦労しましたよ(笑)。狂鱗は、フラッシュブーストの明滅を活かしつつフラッシングをより強調するカラーだと考えていて、ナチュラル系の選択に反応がないと感じたら起用する。逆に狂鱗を最初に投げて見切られるようなら、ナチュラル系にローテーションするというのが基本。AR-Cに関しては、重心移動で飛距離を稼ぎつつ着水時にベストな浮き姿勢になっているというのが一番のメリットだね」

AR-Cも、狂鱗・強鱗も、フラッシュブーストも、ハードベイト史に残る革新的な技術、進化といっても過言ではなかろう。

あとは使い手であるアングラーしだい。それらが適材適所で搭載されているように、各ルアーを適材適所で起用できるかどうかにかかっている。

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