間取り変更リフォームの費用相場は。マンションの場合、構造上の注意点がある?

「子ども部屋を間仕切りしたい」「広いリビングダイニングでゆったりしたい」など、家族構成やライフスタイルの変化により、間取りを変更したいと検討する方は多いでしょう。リフォームで間取りを変更することで、より使い勝手がよく、家族みんなが住みやすい家を実現できます。間取り変更リフォーム、リノベーションは、大規模工事になることが多く、費用も高額になるケースがほとんどです。

この記事では、リフォームで間取りを変更する費用はどれくらいかかるのか、また、どんな点に注意すればいいのか、くわしく解説します。間取り変更リフォームで失敗や後悔しないために知識を深めておきましょう。

《目次》- 後悔しないためのポイントは、目的を明確にすること

後悔しないためのポイントは、目的を明確にすること

間取り変更リフォーム、リノベーションといっても、さまざまな工事があります。間取りを変更するリフォームは、大きく分けると、既存の広い部屋を複数の部屋に分割するリフォームと、間仕切りを撤去して、分かれている複数の部屋をひとつの部屋にするリフォームとがあります。

一般的に間取り変更リフォーム、リノベーションは、大規模な工事になることがほとんどであるため、後悔しないためには、どこをどのように使い勝手をよくしたいのかを明確にすることがポイントです。

家族構成の変化に合わせて、二世帯住宅化や子供部屋の増設

「両親と同居することになった」「子どもが大きくなり、自分の部屋が欲しいと言っている」「子どもが一人暮らしをはじめたため、部屋が不要になった」など、家族構成やライフスタイルが変化するタイミングで、間取り変更リフォームを行うことが多いです。

子ども部屋を増設するリフォームは、よく行われます。使用されていない納戸を取り壊したり、間仕切りを追加して既存の子ども部屋を分割したりする間取り変更リフォームが一般的です。

両親と一緒に住むことになった場合は、使い勝手や住みやすさを考慮し、バリアフリーにも配慮した間取り変更リフォームやリノベーションを行います。二世帯住宅で快適な生活を送るために、それぞれの寝室を1階と2階に分けたり、家族みんなが集まるキッチンやダイニングを広々と充実させたり、車椅子でもスムーズに移動できる幅を確保したりするリフォームが人気です。

水回りをまとめたり、バリアフリー化で機能的な家に

バリアフリーを考慮した間取り変更リフォームでは、水回りの場所を移動させたり、使い勝手をよくするために、水回りを一箇所にまとめたりするリフォーム工事が行われます。もともと2階にあった水回りを1階に移動する間取り変更や、玄関や水回りの動線の幅を広くするバリアフリー化リフォームを行えば、両親が車椅子を使用することになっても安心です。

費用を抑えるには工期にも注目

間取りを変更するリフォーム、リノベーションは、大規模工事になることがほとんどであるため、費用も工事期間も長くかかります。とくに、水回りの変更リフォーム工事を行う場合は、給水管や電気配線工事も必要になり、工事費用も期間も、かなりかかってしまいます。また、大規模なリフォーム、リノベーション工事を行なっている期間中は、その家に住むことができないため、別の家を借りなければならなくなり、その分の家賃もかさみます。

費用をできるだけ抑えながら、間取り変更リフォームを行いたい場合は、水回りのリフォームは避けたほうがよいでしょう。リフォームの規模や工事内容によっては、工事期間が長くかからないため、自宅に居住しながら間取り変更リフォームが可能なケースもあります。間取り変更リフォームの費用を抑えるためには、複数のリフォーム業者に見積もりを依頼し、費用や工事期間などを比較してから決めるのがおすすめです。

間仕切りを撤去して広々とした空間に

家族みんなで過ごせる広々としたLDKは、間取りリフォームの中でも人気

「キッチンからリビングダイニングまでを一続きにしたい」、「使用しない部屋をリビングとつなげて、広いLDKを実現したい」など、既存の間仕切りを撤去して、広々とした空間に間取り変更するリフォーム、リノベーションは、一般的で人気です。

間仕切りを撤去して、部屋を広くする変更リフォームは、単に間仕切りとして使用されている既存の壁を撤去するだけではなく、壁材や床材、天井の補修工事リフォームもあわせて必要になります。そのため、壁の撤去費用と、補修工事費用をあわせた合計額が必要です。

間仕切りを撤去する間取り変更リフォームの費用や事例について確認しておきましょう。

壁の撤去+補修工事の費用と工期

壁を撤去して、2部屋の洋室をひとつの広い洋室に間取り変更したリフォームの費用はトータルで概算として25万円程度、工事期間は約4日間程度が目安です。狭い洋室の2部屋が、広々とした洋室に変わり、使い勝手が向上します。

リビングのとなりにある和室の間仕切り壁を撤去して、広いリビングダイニングに間取り変更したリフォームの費用はトータルでだいたい55万円程度、工事期間の目安は5日間程度です。キッチンから、リビングダイニングまでが一続きになり、ゆったりと過ごせる空間に大変身します。

間仕切り壁を撤去して、引き戸を取り付けた間取り変更リフォームの費用はトータルでだいたい40万円、工事期間の目安は4日間程度です。引き戸にすることで、仕切りたいときには簡単に部屋を分割することができ、さまざまな使い方ができるようになります。

間仕切り壁を撤去して、間取りを変更するリフォーム工事は、一箇所あたり約20万〜60万円程度、工事期間は4〜7日間くらいと言われています。

壁を撤去して間取り変更を行う場合の、リフォーム内容ごとの費用の目安は、壁の撤去と簡単な補修工事のみの場合は約20万〜30万円程度、リビングと洋室を一つにつなげて床材(フローリング)と壁クロスを全部張り替える工事の場合は約50万〜70万円程度、リビングと和室を一つにつなげて、床材をフローリングにする工事の場合は約30万〜50万円程度です。

また、リビングと和室を一つにつなげて、床だけでなく、壁や天井も洋風にリフォームする工事の場合は、約35万〜70万円ほど費用がかかります。床材をフローリングに変えるリフォーム工事を同時に行うと、費用がやや高くなります。

間仕切りを追加して部屋をつくる

ガラス窓の仕切りは圧迫感がなく、仕切り壁を設置することで部屋が狭く感じるデメリットを解消できる

部屋を新たに追加したいときは、間仕切りを追加する間取り変更リフォームが行われます。「子どもが生まれたから、子ども部屋を作りたい」「閉鎖的すぎない、作業スペースが欲しい」など、ライフスタイルの変化により、行われることが多いリフォーム、リノベーションです。既存の部屋に壁を取り付けて分割したり、引き戸やアコーディオンドア、ロールスクリーンを取り付けたりするリフォーム工事が一般的です。

間仕切りを追加するリフォームでは、壁と一緒にドアを設置することや、コンセントや照明スイッチの増設、照明の取り付け工事もあわせて必要になるケースがあります。リフォーム費用の予算を検討しながら、どんな工事をするのか考えましょう。

仕切り壁の新設にかかる費用と工期

子ども部屋に仕切り壁を作り、壁にドアを取り付けた間取り変更リフォームの費用はトータルで約15万円、工事期間は2~3日間です。プライバシーを重視したい、パーソナルスペースをきちんと確保できるようにしたい場合は簡易的な仕切りではなく壁の新設リフォームが良いでしょう。子どもの性別が違う場合も仕切り壁を設置することが多いです。

壁を引き戸に変更する場合

引き戸は扱いやすく、用途に応じて部屋を使い分けたい方にぴったり

部屋に自由に開閉可能な引き戸を設置した間取り変更リフォームの費用はトータルで15万円程度、工事期間の目安は2日間程度です。広く使ったり仕切ったりと、シーンに応じてさまざまな部屋の使い方ができるようになり、使い勝手がアップします。

アコーディオンカーテンやロールスクリーンを取り付ける場合

アコーディオンカーテンで、部屋を仕切る間取り変更リフォームは、費用を抑えたい方におすすめです。広い部屋にアコーディオンカーテンを設置したリフォーム費用はトータルで約10万円、工事期間の目安は1日です。

キッチンにロールスクリーンを取り付ける費用はトータルで約5万円、工事期間の目安は1日です。急な来客時にキッチンを簡単に隠すことができます。

アコーディオンカーテンやロールスクリーンにより、部屋を仕切るリフォームは、工事内容も簡単であるため、費用も安く、工事期間もかからないのが魅力です。開放すれば、広い空間として使用できるのもメリットですね。しかしながら、防音性は低いため、目的や費用に応じてどのような間仕切りリフォームを行うか検討するとよいでしょう。

間取りの変更に伴うリフォームの費用相場

間取り変更を行う場合は、壁の追加や撤去以外にもさまざまな追加工事が必要になります。また、リフォーム工事の内容により、費用も大幅に変わってきます。それぞれの間取り変更に伴うリフォーム・リノベーション工事の費用相場がどれくらいなのか、確認しておきましょう。

水まわりの移動、リフォーム

料理中も家族の様子が見られて安心な対面キッチン

水回りを移動するリフォーム、リノベーションは、大規模な工事が必要になります。しかしライフスタイルの変化によって、水回りを移動して間取り変更するケースは多いようです。水回りを移動するリフォームには、壁向きのキッチンを人気の対面型キッチンに変更するリフォームや、二世帯住宅でも使いやすいように、お風呂、トイレ、洗面台の場所を移動させるリフォームなどがあります。

水回りの移動は、排水管が大きく関わってきますが、戸建住宅の場合は床下の高さが、40〜45センチとゆとりがあるため、勾配を確保しやすく水回りの移動に制限がかかることはほとんどありません。また、水回りを移動する場合、移動させた場所でも引き続き既存の設備を使用するのであれば、移動工事の費用だけで済むため、そこまで高額にはなりません。しかし、古い設備を処分して、新たな設備を設置する場合は、解体処分費用や設備費用がプラスで必要となり、高額になります。

・キッチン

キッチンの移動リフォームの費用相場は、40万〜220万円ほどです。既存のキッチン設備をそのまま利用するのであれば、100万円以下の費用で済むこともあります。システムキッチンを新調する場合は、100万〜220万円ほどの費用がかかり、高額になります。

・お風呂場

お風呂の移動リフォームの費用相場は、80万〜250万円ほどです。既存のお風呂設備をそのまま利用するのであれば、80万〜110万円ほどの費用で済みますが、システムバスなどに新調する場合は、120万〜250万円とかなり高額な費用がかかります。

・洗面所

洗面台の移動リフォームの費用相場は、20万〜70万円ほどです。洗面台の移動リフォームでは、設置するスペースに注意が必要で、移動先の場所のサイズがあわなければ、拡張工事が必要となり、リフォーム費用が高くなります。

・トイレ

トイレの移動リフォームの費用相場は、30万〜50万円ほどです。しかし、和式トイレから洋式トイレへのリフォームや、手洗い場を設置するリフォームを伴う場合は、プラスで70万〜80万円程度のリフォーム工事費用がかかります。

壁紙クロスの張り替え

部屋のリフォームで間取りを変更する際は、壁紙クロスもあわせて変えることも多いです。壁紙クロスの張り替えリフォームの費用相場は、1000〜1500円(1平方メートル当たり)ほどです。張り替えるクロスの品質により、その価格が大幅に異なります。

張り替え作業の費用だけではなく、廃材処分費用が500〜2000円ほど加算されます。壁紙クロスの張り替えリフォームは、天井まで行うかによってもその費用が変わります。また、リフォーム業者によって、「平方メートル」「メートル」「帖」と単位が異なるため、複数のリフォーム業者に見積もりを依頼するときは、注意してください。

収納スペースの追加

使い勝手をよくするために、収納スペースのない部屋にクローゼットや収納を追加する間取り変更リフォームも人気です。収納スペースを追加する場合は、可動式の間仕切り壁を設置して簡易タイプのウォークインクローゼットを作るのが一般的です。可動式間仕切り壁を設置して収納スペースを追加する場合のリフォーム費用相場は、25万〜50万円ほどです。

窓の変更

窓の変更リフォームは、その目的によって費用や大きく変わります。窓がガタついて、開閉しにくくなっている場合は、壁を壊さずにサッシを変更するだけで済むため、費用相場は約3〜5万円で済みます。

窓の大きさや高さを変更したい場合は、外壁の工事が必要になるケースが多いため、約25万〜50万円程度と高額になります。また、断熱や結露対策のために窓をリフォームする場合も、約30万〜50万円程度の工事費用がかかります。

間取りの変更ができない場合とは?建物の構造をチェック!

間取り変更リフォーム、リノベーションを検討している場合に注意したいのが、建物の構造です。建物の工法や構造によっては、思いどおりにリフォーム、リノベーションすることができないケースもあります。一戸建てとマンションそれぞれの建物の構造や工法で、間取り変更がどれくらいできるのか知っておきましょう。

一戸建ての場合

・木造軸組(在来)工法

日本の一般的な戸建て住宅は、自由度の高い木造軸組工法でできている

日本の伝統的な建築方法であり、日本国内にある一戸建て木造住宅の約7割が「木造軸組(在来)工法」だといわれています。柱・梁・筋交いで建物を支えているため、それらを移動させやすく、自由な間取り変更リフォームが可能です。間取り変更リフォームを行いたい場合は、「木造軸組(在来)工法」の建物を選ぶといいでしょう。

・2×4(ツーバイフォー)工法

北米では一般的な「2×4(ツーバイフォー)工法」は、木材の枠組みに合板パネルで、床・壁・柱を組んでおり、面で支えている構造です。壁により建物を支えているため、自由な間取り変更はできないことが多く、リフォームには制限があります。

・プレハブ工法|鉄骨系・木質系・コンクリート系

「プレハブ工法」は、工場で生産された建具を現場で組み立てる工法です。鉄骨系・木質系・コンクリート系があります。大手ハウスメーカーの戸建住宅は、軽量鉄骨の「プレハブ工法」を採用していることがほとんどです。鉄骨系・木質系・コンクリート系すべての「プレハブ工法」は、建物を壁で支えているため、間取り変更リフォームが自由にできないことが多いようです。壁を取り除くことは難しいですが、増床により延べ床面積を増やし、リフォームすることはできます。

・S造(重量鉄骨造)

「S造(重量鉄骨造)」は、柱を建てて、その先端どうしに梁を渡して、ジャングルジムのように梁に床をのせる構造です。柱と柱の距離を長くすることが可能であるため、自由な間取りを実現することができます。

マンションの場合

・S造(重量鉄骨造)

「S造(重量鉄骨造)」は、柱や梁といった建物の基盤となる骨組みに鉄骨を使用した構造です。間取りの自由度は、比較的高いといえます。

・RC造(鉄筋コンクリート造)|ラーメン構造・壁式構造

RC造のマンションは、鉄筋とコンクリートにより作られる工法です。「ラーメン構造」と「壁式構造」の二種類があります。

「ラーメン構造」は、柱と梁を組み合わせて建てる工法で、「壁式構造」は、壁で建物を作っている工法です。「ラーメン構造」は、壁がなくても大丈夫なので、自由な間取り変更リフォームが可能となります。一方「壁式構造」は、撤去不可能な壁があるため、間取り変更リフォームには、制限があります。

・SRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造)|ラーメン構造・壁式構造

SRC造のマンションは、RC造と同じような構造ですが、支柱が鉄骨であるのが特徴です。高層マンションに採用されている工法になります。RC造と同様に「ラーメン構造」と「壁式構造」の二種類があります。

リフォームの自由度についても同様であり、「ラーメン構造」は、自由な間取り変更リフォームが可能で、「壁式構造」は、間取り変更リフォームには、制限があり、自由なリフォームはできません。

マンションで間取り変更したい場合は管理規約に注意

分譲マンションで、間取り変更リフォーム、リノベーションを検討している場合は、注意が必要です。マンションには、管理規約があり、そのマンションによって、リフォームに関する禁止事項や制限が異なります。防音性を維持するため、畳やカーペットの床をフローリングに変更することを禁止していたり、窓の取り付けを禁止していたりといった規約があります。ベランダやバルコニー、玄関や窓は、マンションの共用部分であり、リフォームは禁止されているのが一般的です。

規約を破ってリフォーム、リノベーションしてしまうと、原状回復を求められたり、多額の違反金を支払わなければならなくなるため、マンションでリフォームを行う際は、管理規約をしっかりと確認するようにしましょう。

リフォーム業者の選び方

間取り変更リフォームは、大掛かりな工事になることが多いため、リフォーム業者選びも非常に重要なポイントです。部屋の間仕切り壁の撤去や、仕切り壁の設置などの簡単な間取り変更だけであれば、工務店や内装リフォーム業者など、小規模な業者に依頼しても問題ないでしょう。

しかし、水回りの移動や電気工事など大規模なリフォームになる場合は、建設会社や住宅メーカー、建築士事務所などに依頼するのがおすすめです。業者によって、得意なリフォーム工事は異なるため、ネットなどで施工事例などを確認してみてください。また、複数の業者にリフォームの見積もりを依頼してから、ぴったりな業者を選びましょう。

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