土間のある家にリフォーム。玄関をおしゃれで機能的な空間に

昔の家、とくに農家を営んでいた家などは玄関扉を開くといきなり広い土間があり、農機具や肥料、休憩のための椅子やテーブル等を置いて実用的に生活していました。広い土間が奥の台所に続いている家もあり、土足のまま台所や裏口まで移動してスムーズに家事をこなすこともできたのです。現在の家に土間がつくられることは少なくなりましたが、土間は、さまざまなメリットがある使い勝手のいい自由な空間なのです。土間のメリットやデメリット、リフォームで土間をつくるときの注意点、床材の選び方などを紹介しています。

《目次》- 土間とは?玄関だけでなくリビングにも

土間とは?玄関だけでなくリビングにも

玄関としてだけでなく、リビングのようなくつろぎ空間にもできる

土間とは「室内にあり、土足のまま利用できるスペース」を指し、床はコンクリートやタイル、土に石灰などを混ぜ合わせた三和土(たたき)仕上げなどいくつかパターンがあります。

一般的な住宅は玄関ドアを開けるとすぐに土間がありそこに靴を脱いですぐに居室に上がれるようになっていますが、昔の家は土間部分がかなり広く、土間には靴箱や傘立てはもちろん、農作業道具・漁具、テーブルや椅子、土間に置いていても差し障りない荷物などを置いて使っていました。頻繁に使う道具を土間に置いておけばサッと持ちだせますし、来客の方と土間でお茶を飲みながらお喋りすることもできます。

特定の用途に縛られない、自由な使い方ができるのが土間の魅力

新築の家に土間を設置する場合、玄関の土間スペースを広げて自転車、三輪車、ベビーカー、ゴルフ道具や釣り道具、お子さんの部活の道具などを置いて玄関の延長として利用できます。土間スペースに小さめのテーブルや椅子を数脚置いておけば、来客者を自宅にあげずに土間でゆっくりお茶を飲んで歓談できるのもメリットです。

土間は屋内と屋外のちょうど中間的立ち位置のスペースなので、プライバシーを大事にしながらもお客様に対応できる使い勝手のいい空間になります。土間スペースを広めにとればテーブルやソファーを置いてリビングとして使えますし、土間で趣味の大工仕事や工作、バイクの修理の休憩に、靴を脱がずにダイニングテーブルでお茶を飲むこともできとても便利。土間は玄関として使うものではなく、土間を広げればダイニングスペースや趣味のための空間、収納スペースなど多目的に使えるのです。

土間のメリットと用途

収納や趣味のスペースだけでなく、書斎として使うスタイルもおすすめ

土間は、収納スペースとしてはもちろん、趣味やペットのためのスペースにもなりマルチに使えるのが大きなメリットです。ではどのような使い方ができるのでしょうか? 具体的な例をあげてみましょう。

見せる収納、自転車やバイク、ベビーカート置き場

通常、一般的な玄関の土間スペースは狭く、靴箱や傘立ては狭いスペースに押し込められてしまうもの。靴箱や小物収納棚は通常、来客者や家族の目に触れないようしっかり扉がつけられており、中身を確認するのに扉を開けなければなりません。

靴や傘などの小物は「隠すもの」という意識をもつ方も多いのですが、土間のリノベーションではこれら「隠すべき小物」をディスプレイして見せる収納として、インテリアの一部にすることもできます。

玄関土間を広めにリノベーションし、あえて扉をつけないオープンな棚を複数設置

家族の靴やサンダル、傘、外出時に持ち出すバッグ、上着などを掛けあえて「セレクトショップ風」にディスプレイするお洒落な玄関を演出するのも楽しいです。土間スペースは土のついた物も保管できるので、家族で使っている自転車、外出時に使うベビーカー、一輪車、スケートボード、バイクなどもサッと収納できるのもメリット。自転車やベビーカー、バイクなどは雨に濡れると錆びてしまうため、外で保管するには庭にガレージや物置を設置しなくてはなりません。

庭にガレージを設置するスペースがない、物置に保管するのは防犯上心配という方は、屋内に土間スペースを設置すれば安全です。

DIYなどの作業場・工房・趣味の場

自宅に土間スペースを設置すれば、日曜大工のスペースやトレーニングジムとして、車やバイク改造のため、ガーデニングなど趣味を楽しむ場所としても使えます。とくに車やバイクは重量があるため、屋内の床の上に乗せて作業することはできません。

ところが床がコンクリートやモルタル、タイルで補強された土間であれば車やバイクの移動も楽、さらに屋内なので雨風をしのぎながらカスタマイズができ、自宅照明も利用できるので夜間でも趣味に没頭できます。自宅の床の上は家族のためのパブリックスペースとして、それに加えて土間スペースは趣味を楽しめるパーソナルスペースとして使い分けができるのが嬉しいですね。

ペットのくつろげる場所

犬や猫を飼っている方にも土間はおすすめ

土間スペースはペット、とくに犬がくつろげる空間としても利用できます。犬は定期的な散歩を欠かすことができず、どうしても足が汚れてしまいます。そのため屋外に犬小屋を作りそこで飼育するケースが多いのですが、最近は夏場の異常な暑さで犬が熱中症になってしまうリスクがアップ。

そこで玄関土間を広げて犬用のスペースを確保し、酷暑の季節は土間で犬を飼う方法が安全です。土間は夏場でもヒンヤリとしているので犬も気持ちよく過ごせますし、土間に換気用の窓を設置すれば空気の入れ替えも簡単。逆に雪の降る寒い日も土間にペット用のクッションを敷いて保温すれば、土間の上でも暖かく過ごせますよ。

猫も真夏は涼しくヒンヤリした土間で過ごすのが大好きなので、ペットを飼っている方にとって、土間はとても有効に使えるスペースなのです。

土間のデメリット

土間は地面の上にコンクリートなどで作られるため、寒さがダイレクトに伝わってしまう

土間は収納や趣味を楽しむ場所として、ペットも快適に過ごせる多目的スペースとして使い勝手がよいのですが、屋内と屋外の中間に位置する場所だけに注意しなければならない点もあります。どんな点に注意するべきなのでしょうか?

冷え込む冬場の温度と湿度対策が必要

土間は冬場に冷えやすく、とても寒く感じるという欠点があります。土間は地面の上にコンクリートやモルタルを使って作られるため、寒さがダイレクトに伝わり土間を冷やしてしまうのです。

コンクリートをどれだけ厚くしても、熱伝導率が高いので土間が冷えることに変わりはありません。またコンクリートの土間は湿気の多い環境では湿気を放出し、湿気の少ないときはより乾燥する木とは真逆の性質があり、湿度の高い季節は表面が濡れてカビが生えるリスクもあります。

玄関は外部からの冷たい空気によって冷やされ、室内からは暖かい空気が流れ込んでくるため二つの空気がぶつかり、結露しやすい場所のひとつです。そのため土間の冷えや湿気を防ぐため、地面に防湿シートを敷き断熱材を入れてコンクリートを打ち直す、または床暖房を入れるなどの施工方法が有効です。湿気は家にじわじわとダメージを与えるため、土間まわりの湿気対策をしっかり考えてくれる業者を選ぶと安心です。

段差で使い勝手に変化がある場合も

土間と玄関との間には「上がり框(あがりかまち)」があり、玄関の顔としてお洒落なデザインも増えています。自宅に土間スペースを作る場合、どうしても土間と生活スペースとを隔てる上がり框が必要になり、段差が生じることに。

若いうちは多少の段差でも乗り越えることができますが、高齢になると足腰が弱り段差でつまずき骨折やケガをするケースも考えられます。高齢者でなくても段差が大きいと使い勝手が悪くなることも十分考えられるため、できるだけ段差の高さを低めに施工してもらう方が無難です。上がり框が低ければ将来介護リフォームする際にも段差解消しやすくなり、施工の手間も少なくてすみます。

リフォームで土間を作るときの注意点

マンションでも土間リノベーションは可能だが、制約は多くなる

さまざまな用途で自由に使える土間スペースですが、リフォームで土間を設置する際の注意点についてチェックしてみましょう。

マンションでも土間リノベーションは可能?

マンションリノベーションで、土間の設置は可能です。ただマンションは広さに限りがあるため、制約は多くなってしまいがちですが、玄関に開放感が生まれ、生活動線の向上やベビーカーや自転車の保管ができるなどメリットは多数あります。

ただし、マンション(集合住宅)の場合はクリアしなければならない問題もあります。

・管理組合と事前に協議し施工できるかどうか確認する

・土間スペースは寒さや湿気が問題となるため対策をしっかり考える

・土間に収納したい物を決め広さを設定する

集合住宅の場合、土間が作れるかどうかは建物の構造によるところが大きくなります。あらかじめ管理組合に問い合わせ、土間リフォームができるかどうか確認しておく必要があります。また土間スペースは冬の寒さや湿気対策を万全にしておかないと暮らしにくくなるため、施工するとなれば床暖房や防湿シート設置を検討しましょう。

土間に荷物や趣味の用品を収納したい場合は、どれだけの収納スペースが必要なのかあらかじめ決めておかないと、施工後に「思ったほど荷物が保管できなかった」と後悔してもどうにもなりません。

コンクリートやタイルでおしゃれな空間に!床材の種類と選び方

タイルはデザインの豊富さが魅力。大理石は美しいが、それなりのケアが必要

土間リフォームに採用される床材は汚れや水分に強いタイルやコンクリートが多くなっています。土間に使われる代表的な床材は以下の3種類です。

タイル

タイルはデザインのバリエーションが豊富なので、インテリアイメージに合った色合いのものが自由に選べるのが魅力です。吸水性の低い磁器タイルはお手入れも楽でシミになりにくいのですが、テラコッタは吸水性が高いためマメにお手入れを。タイルは目地に汚れがたまりやすいため、雑巾などで拭いてケアすることで長く美しさが保てます。

コンクリートやモルタル

コンクリートは表面が固く平らに仕上がるため、タイルの目地を雑巾で拭くようなことはなく掃除がしやすいのがメリットです。コンクリートの床に防塵塗料を施していれば水汚れにも強く、気が付いたときにサッと雑巾やモップでケアすればOKです。ただ防塵塗料を施していても長期間水汚れを放置すると染み込んでしまい汚れが取れにくくなってしまので、気が付いたときにマメに水分を拭く必要があります。

天然石

御影石や大理石を土間に使用すると、高級感やゴージャスさが演出できて素敵です。建材としてはかなり耐久性があり傷がつきにくく、表面のホコリやゴミも取りやすく、お掃除も簡単です。ただ金属などの重く固い物を落とすと割れる恐れがあり、補修するのに広い範囲をはがさなければならないため時間とお金がかかってしまいます。耐久性のある材質ですが水分が染みこみやすいデメリットがあるため、ジュースやコーヒーなどの汚れはシミにならないうちにモップなどでケアしなければなりません。大変美しい大理石の床材ですが、その美しさを維持しようと思えばそれなりのケアが必要です。

選び方のポイントはデザインと機能性、お手入れのしやすさもチェック

土間のリノベーションを成功させるには、床材のデザインや機能性、お手入れのしやすさを事前にチェックしておく必要があります。もしお手入れしやすい床材を選びたいのであれば、磁器タイルやコンクリート、モルタルの床を選ぶのがおすすめ。

磁器タイルは水分を吸いこみにくいため床が汚れてもサッと一拭きすればきれいになりますし、防塵塗料を塗ったコンクリート床も水分に強く、モップなどでケアすれば美しさが保てます。デザイン性で選ぶならタイルや大理石が一番ですが、大理石は加工できる職人が少なく施工に費用がかかるデメリットが。

水分がつくとシミになるため、見た目のゴージャスさや美しさを維持するためにはマメなケアが必要です。タイルはさまざまなサイズや色がありインテリアに合った色合いが選べ、大理石に比べて施工費も安くすむのでおすすめ。コンクリートはお手入れしやすく機能性がありますが、冬場は冷えこむことや素材が固いため、小さいお子さんのいるご家庭では滑らないように注意しなければなりません。

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