ヘリンボーン床でおしゃれにリフォーム。費用相場や事例を紹介

インテリア好きが憧れる、ヘリンボーン床のある住宅。近年は、自宅のリフォーム・リノベーションをきっかけに、ヘリンボーンのフローリングを選ぶ方が増えています。今回は、ヘリンボーン床の特徴と最適な木材の種類、お手入れ方法についてご紹介します。

《目次》- ヘリンボーン床とは?

リンボーン床とは?

ヘリンボーン床とは、短くカットした床材を山型に張り付けたフローリングのことです。「ニシン(Herring)」の「骨(Bone)」の形に見えることが由来であり、日本では“杉綾”や“矢筈模様(やはずもよう)”という名の伝統模様で知られます。

一般的なフローリングの張り方は、「乱尺張り」と「りゃんこ張り」の2種類にわかれます。

・乱尺張り:異なる長さの床材を組み合わせる手法
・りゃんこ張り:同じ長さの床材をずらしながら張り付ける手法

私達が普段目にするフローリングは、多くが「乱尺張り」や「りゃんこ張り」です。これらはデザインこそ無難ですが、各種インテリアと合わせやすい特徴があります。

対するヘリンボーンは “寄木張り”の一種です。古代ローマ時代の建造物や「ベルサイユ宮殿(フランス)」、国内の「迎賓館」などの床に採用されていました。

現代では、スタイリッシュでレトロモダンな印象を与えるフローリングとして、リフォーム・リノベーション時にヘリンボーン床を指定する方々が増えています。なお、接合面を45度にカットして張り合わせる「フレンチヘリンボーン」という手法も人気です。

ヘリンボーン床のメリット

ヘリンボーン床の最大のメリットは、床そのものがおしゃれなインテリアとして機能することです。「乱尺張り」などに比べて主張が強く、部屋の雰囲気にさまざまな影響を与えます。

組み合わせる床材の色・木目・質感によって、仕上がりの印象は異なります。例えば、白を基調とするヘリンボーン床は爽やかな印象に、黒やブラウンなら上品で重厚な印象になります。いずれも床材が空間イメージを左右するため、リフォーム時によく吟味する必要があるでしょう。

またヘリンボーン床は、他の張り方に比べて多くの床材を使用します。定尺フローリングよりも小さめの床材をたくさん使うため、乾燥収縮による影響を受けにくい特徴があります。結果、湿度変化にともなう木材の反りなどが軽減され、フローリングの隙間が空きにくくなるのがメリットです。

ヘリンボーン床のデメリット

ヘリンボーン床のデメリットとして、空間レイアウトが難しい点が挙げられます。乱尺張りやりゃんこ張りはいわば、「家具で魅せる」フローリングの張り方です。シンプルゆえに家具の魅力が引き立ち、お部屋に統一感が生まれます 。

一方のヘリンボーン床は、「床で魅せる」フローリングといえます。同じく主張性の強い家具を配置するとお互いの個性がぶつかって、バランスが崩れます。この観点からいうと、ヘリンボーン床はインテリア中級者~上級者向けのフローリングかもしれません。

先述した通り、ヘリンボーン床には専用の床材を使用します。他の張り方よりも材料費がかかり、施工費も割高です。レイアウトの難しさに加え、コスト面のデメリットがあることも覚えておきましょう。

ヘリンボーン床材の種類と特徴

ヘリンボーン床とひとくちに言っても、見た目の印象から耐久性まで、床材によって性質は異なります。ここでは、ヘリンボーン床に使われる床材の種類や特徴、選択するメリットとデメリットをご紹介します。

無垢フローリング|表情豊かで風合いを楽しめる

無垢フローリングは経年変化によってヴィンテージ家具のような味わいが生まれる

無垢フローリングとは、無垢材(原木から切り出した天然木の一枚板)をフローリング用に加工した床材のことです。天然木を使用するため、木材本来の質感や色合いや美しい木目を楽しめます。

無垢フローリングの醍醐味は、歳月が経つにつれて変化する天然木の表情が楽しめることです。とりわけブラウン系の無垢材は、経年変化とともにヴィンテージ家具のような風合いに変わります。ヘリンボーンによるスタイリッシュな印象も相まって、大人好みの空間に仕上がるでしょう。

ただし、無垢材は汚れや傷がつきやすいデメリットがあります。多少の傷はサンドペーパーやカンナで修繕できますが、慣れない方には対応が難しいかもしれません。

集成フローリング|変形しにくく強度がある

集成フローリングとは、細かい材木を集めて形成した集成材を用いる床材です。集成材自体はホームセンターで販売されており、DIYでもお馴染みの建材として知られています。集成材に薄くカットした天然木やプリントシートを貼ることから、別名「3層フローリング」とも呼ばれます。

集成フローリングは、無垢材フローリングに比べて費用相場が安く、変形やヒビ割れが生じにくいメリットがあります。コスト面と耐久性においては、無垢フローリングよりも集成フローリングに軍配が上がるでしょう。

集成フローリング特有のデメリットもあります。まず、集成材が「天然木の質感に劣ること」です。床に立った時の感覚や足触り、天然木特有のウッディな香りは無垢フローリングに及びません。

また集成材の形成時に使われる接着剤のにおいなど、人によって気になる点があるでしょう。

Pタイル|傷や汚れに強く、施工しやすい

Pタイルは、塩化ビニル樹脂を原料としたプラスティック系の床材です。傷や汚れに強いほか、耐水性・耐摩耗性・耐薬品性・耐燃焼性にも優れます。ピース自体が軽くて薄く、カッターナイフで容易に加工できるのも特徴です。

Pタイルの中には、木材を再現した製品が登場しています。表面の凹凸や木目調など、本物と見間違えるほどのクオリティです。そのデザイン性の高さから、木材代わりにPタイルを採用することがあります。

クッションフロア|安く簡単にヘリンボーンを試せる

クッションフロアは、耐衝撃性・遮音性に長けたビニル系の床材です。1.8~3.5mm程度の厚さが一般的で、住宅向け・店舗向け・土足向けの3種類が販売されています。ホームセンターなどで安く買えることから、低コストでヘリンボーン床を試せる床材です。

一般的なクッションフロアは、中間層に発泡塩化ビニル樹脂のクッション材、裏面に不織り布を使用しています。これにより、Pタイルに比べてクッション性が向上するのが利点です。転倒による怪我から守るため、子どもや高齢者が暮らす住宅に用いられます。

床には接着剤で張り付けるのが基本ですが、カーペット用の両面テープを使う場合もあります。接着剤よりも「のり残り」しにくいため、賃貸物件でセルフリフォームする際に有効です。

また、あらかじめヘリンボーン柄をプリントした製品も販売さています。木材の凹凸などは再現されていますが、ややチープな印象を与えることもあります。本物の質感を求める場合、無垢フローリングや集成フローリングを選ぶのが無難でしょう。

人気の無垢フローリング材は?

写真はオーク材のヘリンボーン床。これだけで部屋がぐっとスタイリッシュに仕上がる

ここでは、ヘリンボーン床におすすめの無垢フローリング材をご紹介します。樹種によって見た目や質感が異なるため、部屋の雰囲気に合わせてフローリング材を選ぶことが大切です。

オーク(ナラ)

中国や北米などに分布し、日本では「楢(ナラ)」という名称で親しまれる木材です。住宅の内装建材や木製家具、ウィスキーの醸造樽など、幅広い分野で利用されています。

重くて密度の高いオークは、耐久性・耐水性に優れる木材です。傷がつきにくいため、フローリング材としても人気があります。とりわけオークの無垢フローリングは耐久度が高く、適切なメンテナンスさえ施していれば、半永久的に張り替える必要がありません。

オークの特徴として、表面加工の自由度の高さが挙げられます。素地のナチュラルな色合いを活かせば爽やかな雰囲気に、ダークブラウンに着色すれば落ち着いた雰囲気の部屋になるでしょう。オイル仕上げにも対応するため、木材の風合いを残したまま艶を出せます。

大きなデメリットのない優秀な木材ですが、強いていうと「熱伝導率が高い」のが難点です。熱伝導率の高いフローリング材は、人間の体温を瞬間的に奪います。したがって、冬場は足元が冷たく感じられるかもしれません。

チーク

チークとは、東南アジアに分布する「クマツヅラ科」の落葉性高木です。世界三大銘木の一種であり、その希少性の高さから“木の宝石”と呼ばれます。古くから高級家具や船舶のデッキなどに使われる木材です。

最大の特徴は「木タール」と呼ばれる天然油分を豊富に含むことです。「木タール」のテクトキノンという成分には、防虫・防菌効果が認められており、菌の繁殖やシロアリによる被害を自然の力で防げます。また油分が水をはじくため、耐水性に優れる点もポイントです。

通常、膨張・収縮しにくい木材ほどフローリング材に適しています。伐採直後のチークは水分量が多く、そのままでは使い物になりません。しかし、時間をかけて乾燥させたチークは、寸法安定性が非常に高くなることがわかっています。施工後の反りやズレが生じにくい、精度の高い木材になります。

ウォールナット(クルミ)

ウォールナットとは、北米大陸を主産地とするクルミ科の落葉広葉樹で、チークやマホガニーと並ぶ世界三大銘木のひとつです。一般に「アメリカンブラックウォールナット」のことを指します。重硬で適度な粘りを持ち、耐衝撃性に優れる性質を持ちます。これにより、さまざまな建材やライフルの銃床などに使われる木材です。

暗褐色の木肌が美しく、木目は重厚感があふれます。これはウォールナットが含有する「フェノール酸化酵素」によるものです。製材直後のウォールナットは明るい色合いですが、「フェノール酸化酵素」が空気に触れると、数時間程度で暗褐色に代わります。

また、一般的な木材は時間が経つにつれて濃色へと変化しますが、ウォールナットは違います。紫外線を吸収することで黒色・紫色が抜けていき、明るい赤褐色へと変化するのが特徴です。さらに油分を適度に含むため、使い込むほどに艶が増していきます。歳月とともに異なる表情が楽しめるのも、ウォールナットの魅力です。

ヘリンボーン床材にリノベーションするのにかかる費用、工期、注意点は?

ヘリンボーン仕上げは床面積の大きいLDKなどにフィットする

自宅をヘリンボーン床にリノベーションするための費用や工期、知っておきたいポイントをご紹介します。狭い部屋をリノベーションしたい方、床暖房を検討している方は注意が必要です。

費用相場は8畳で約20万円から

一般的な定尺フローリングに比べ、ヘリンボーン床の張り替え費用は割高です。依頼する業者や使用木材、工数によりますが、1㎡あたり1万000円~1万5000円程度となります。

4畳半(約8㎡)で5万4000円~、8畳(約15㎡)で20万円~が相場です。材料費は定尺の1.5倍、施工費は2倍程度となります。実際の金額は千差万別のため、リフォーム会社に見積もりを取ることが大切です。

ただし、カバー工法ならもう少し安く抑えられます。カバー工法とは、既存の床に新しい床材を張り付ける施工法の一種です。廃材費などがかからないため、1㎡あたり1万円~1万2000円程度で依頼できます。

工期は一般的なフローリング工事の2倍

ヘリンボーン床を仕上げるには、職人の技術と時間が求められます。例えば、木材をヘリンボーン用に加工する工数が生じたり、1枚1枚のピースを手作業で張り付けたりと、非常に手間がかかります。そのため、工期は一般的なフローリング工事の2倍はかかるでしょう。

「狭い部屋」と「床暖房」には注意!

ヘリンボーン床は主張が強く、見た目にインパクトがあるのが魅力のひとつです。一方で、狭い部屋では圧迫感が生じるデメリットがあります。できればスペースの広いリビング・ダイニングに採用するのがおすすめですが、「狭い部屋でもヘリンボーン床にしたい!」という場合は、横幅の小さなフローリング材を選ぶと良いでしょう。全体がシャープなイメージとなり、圧迫感を軽減できます。

また、一般的な無垢材は熱に弱いため、フローリング床を床暖房に対応させるのは、専用の「床暖房対応無垢材」を選ぶ必要があります。

ヘリンボーン床のお手入れ方法

ここでは、ヘリンボーン床の基本的なお手入れ方法をご紹介します。ヘリンボーン床を導入したら、定期的にメンテナンスを行いましょう。

日頃のお手入れは乾拭き、掃除機でOK!

表面仕上げの種類によりますが、基本は乾拭き・掃除機で問題ありません。ドライタイプのフロアワイパーで汚れを落とし、ほこりは掃除機で吸い取りましょう。また、床にこぼれたジュースなどの水分は、すぐに拭き取ります。放置するとカビ菌の繁殖・腐食の原因となるため注意してください。

汚れを落としたい時に水を使うのはNG?

水分はフローリングの天敵です。隙間から入った水分が木材の変形や傷み、塗装剥がれを招く恐れがあります。そのため、水分を多く含む雑巾などでのお手入れは避けましょう。

乾拭きで汚れが落ちない場合は、中性洗剤を混ぜたぬるま湯を使い、かたく絞った雑巾で拭きます。仕上げに乾拭きを行い、水気を残さないようにしましょう。

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