帰国できない元留学生困窮 ネパール人のヤダブさん、病気でAPU退学【大分県】

新型コロナ

©有限会社大分合同新聞社

蓄えていた貯金も使い果たし、所持金が5円だけになったヤダブさん=別府市

 【別府】別府市の立命館アジア太平洋大(APU)を3月末に退学したヤダブ・ヤショダナンドさん(23)が、新型コロナウイルスの影響で母国ネパールに帰れずにいる。ビザの関係で働けず、知人らの助けで何とか食べつなぐ日々。母国はロックダウン(都市封鎖)のさなか、八方ふさがりの状態に頭を抱えている。

 病気が原因で大学を辞めて帰国する予定だった。手続きを進めていた3月、新型コロナの感染が広がり予約していた航空機が飛ばなくなった。退学と同時に留学ビザを失い、観光目的などで使う短期滞在ビザを取得して別府市内にとどまった。

 帰国するつもりだったため蓄えは少なく、借家の契約が切れた4月からは知人の家を転々とした。受け入れた知人の中にも新型コロナの影響で生活が厳しくなる人がいて、「肩身の狭い思いをすることが多かった」と振り返る。短期滞在ビザでは労働ができない。窮状を知った地元の民泊経営者が、ただ同然で受け入れてくれた。5月25日からそこで生活を始めたが、所持金はポケットに一円玉が5枚。26日、APUの卒業生から食料が届き、何とか食べつないでいる。

 母国の両親は農家。「新型コロナの影響で生活が苦しくなり、頼れる状況ではない」と打ち明ける。ネパール出身の卒業生によると、「ネパールから日本への送金は手続きが難しく、容易ではない」という。

 日本は緊急事態宣言が解除されて日常に戻りつつある一方で、ネパールのロックダウンがいつまで続くか先行きは見通せない。

 「いつまでこんな生活が続くのか。どうしたらいいのか。とにかく早く帰りたい」。ヤダブさんは途方に暮れている。

〇ビザ変更、支援の妨げに

 別府市文化国際課によると、ヤダブさんは短期滞在ビザに切り替わったことが支援の妨げになっているという。

 学生でないため学生向け支援の枠組みは適用できず、労働が認められないため、緊急雇用で雇うこともできなかった。10万円の定額給付金は基準日に住所がないため支給できず、帰国前提では生活福祉資金も融資できない。

 駐ネパール日本大使館の情報では、首都は6月2日までロックダウン。ネパール発着の航空機は14日まで運航しない見通し。

 APUを3月に卒業したベトナム人からも「帰れない。働く場が欲しい」とのメールが届いた。市の緊急雇用で雇える可能性があることを伝えた。

 APUによると、卒業生1人から帰国できないとの相談が寄せられている。別府大は4月末時点で、中国人2人が帰国できていないことを把握している。溝部学園短期大は就職や進学で、留学生全員が日本国内にとどまった。