【詳細解説】これだけ支持されていない検察庁法改正案は、今後どうなるの?2020年5月電話・ネット意識調査

選挙ドットコムでは、5月16日(土)・17日(日)に日本国内の18歳以上の方を対象としたハイブリッド調査(電話調査とインターネット調査を同じ設問で同時に行う方式)による全国意識調査を実施しました。
電話調査(JX通信社と共同実施)では1,043件、インターネット調査(Gunosyリサーチを使用)では1,000件の有効回答を得ました。

「選挙ドットコムちゃんねる」でもゲストにJX通信社の米重克洋さんをお招きし、今回の調査について解説をしていただきました。
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検察庁法改正案はどれくらい支持されていて、どれくらい不支持だったのか

首相、検察庁法改正見送り「国民の理解なく、前には…」:朝日新聞デジタル

検察官の定年を引き上げる検察庁法改正案をめぐり、安倍晋三首相は18日夜、今国会での成立を断念したことについて「国民のみなさまのご理解なくして、前に進めていくことはできないと考える」と述べた。首相官邸で記者団の取材に応じた。 …

検察官の定年を引き上げる検察庁法改正案をめぐり、安倍晋三首相は18日夜、今国会での成立を断念したことについて「国民のみなさまのご理解なくして、前に進めていくことはできないと考える」と述べた。首相官邸で記者団の取材に応じた。

4月10日から11日にかけてTwitter上で500万近くツイートがされた「#検察庁法改正案に抗議します」。一人の女性から始まったこの活動は、多くの著名人を巻き込むオンラインデモに発展しました。

では、その検察庁法改正案はどれくらい支持されていて、どれくらい不支持だったのか、今回はその調査結果について分析していきます。

検察庁法改正案は圧倒的不支持!?

検察庁法改正案について1

ハイブリッド調査結果は上の図の通りです。

「強く支持する」が4.1%、「どちらかと言えば支持する」が9.1%、「どちらとも言えない、分からない」が25.7%、「どちらかと言えば支持しない」が15.7%、「全く支持しない」が45.4%でした。

「強く支持する」と「どちらかと言えば支持する」を合わせて、支持は13.2%、「全く支持しない」と「どちらか言えば支持しない」を合わせて、不支持は61.1%となりました。また、「全く支持しない」だけで5割近くを占めています。

検察庁法改正案は、不支持が過半数との結果となりました。

検察庁法改正案について2

ネット調査と電話調査の比較は上の図の通りです。

ネット調査では、「強く支持する」が2.3%、「どちらかと言えば支持する」が7.4%、「どちらとも言えない、分からない」が29.4%、「どちらかと言えば支持しない」が16.9%、「全く支持しない」が44.0%でした。

電話調査では、「強く支持する」が5.8%、「どちらかと言えば支持する」が10.6%、「どちらとも言えない、分からない」が22.1%、「どちらかと言えば支持しない」が14.6%、「全く支持しない」が46.8%でした。

ネット調査と電話調査の比較では、傾向として大きな差は見受けられませんでした。

年代別・支持政党別・内閣支持層別の検察庁法改正案への評価は?

検察庁法改正案について1

年代別でのクロス分析は上の図の通りです。「18・19歳」「20代」「80代」はそれぞれ全体の10%にも満たないため参考値となります。

どの年代においても、「不支持」が「支持」を大きく上回っています。特に60代と70代では不支持が7割を超えており、他の世代と比べて突出して支持されていないことがわかります。

また、30代~70代で見ると全体的な傾向として、年代が上がるにつれて「どちらとも言えない、分からない」の割合が減少しています。年代が上がるにつれて、支持・不支持の態度が強く分かれていると考えられます。

支持政党別でのクロス分析は上の図の通りです。

与党・自民党の支持層では、支持と不支持が拮抗しています。一方で、無党派層(支持する政党はない)・公明党・その他野党では不支持が支持を大きく上回っています。

検察庁法改正案について5

内閣支持でのクロス分析は上の図の通りです。

安倍内閣を「強く支持する」層では、支持が不支持を大きく上回りました。一方で、「どちらかと言えば支持する」層では支持・不支持が拮抗、それ以外では不支持が支持を大きく上回っています。

安倍内閣を支持する層の中でも、検察庁法改正案については意見が割れていたと考えられます。

審議の舞台は秋の臨時国会へ?

今国会での検察庁法改正案の成立は見送られましたが、廃案にはなっていません。政府は、秋の臨時国会での継続審議とする方針だと報道されています。

黒川検事長の定年延長を閣議決定するなど、国民に疑念が残ったまま、検察庁法改正案の審議は進められていました。法案可決のためには丁寧な説明が必要となりそうです。

今後も選挙ドットコムでは毎月定例で意識調査を実施し、みなさまにお伝えしていきます。また、選挙ドットコムのハイブリッド意識調査では、これまでわからなかった全世代の声を集めることができます。政党や政治家の方からの依頼に基づいて調査を実施することも可能ですので、ご興味がある方はぜひお問い合わせください。

調査概要:調査は令和2年5月16日(土)と17日(日)に実施。日本国内の18歳以上の方を調査対象とし、有効回答数は電話調査(JX通信社との共同実施)で1,043件、インターネット調査(Gunosyリサーチを使用)で1,000件を取得。電話調査は無作為に電話番号を発生させるRDD方式をオートコールで実施。ネット調査ではスマートフォンアプリのダウンロードユーザーを対象にしたアンケートツールにより実施。各数値は小数第2位以下を四捨五入。

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