<いまを生きる 長崎コロナ禍> 高田明氏 インタビュー 強い意志持ち行動を ジャパネットたかた創業者 有識者らに意見を聞く

 新型コロナウイルス感染症対策は、緊急事態宣言が解除され新たな局面に入った。一人一人が「新しい生活様式」を心掛け、経済活動を維持しながら、第2波、第3波に備えることになる。人類と新型コロナが共存する「ウィズ・コロナ時代」をどう生きていけばいいのか。各界の有識者らに意見を聞く。1人目はジャパネットたかた創業者の高田明氏(71)。

テレビ会議アプリによる取材で県民にメッセージを届ける高田氏

 -新型コロナ感染拡大をどう受け止め、どんな行動をしているか。
 人類の危機。中国・武漢市で感染者が出た時、そんな意識は世界のどこにもなかったと思う。私も2月に北海道や熊本に行った。だがその後、感染が拡大し、危機感が出てきた。それから自分にできることは何かを考え、人にうつさないために巣ごもりを始めた。4月、親交のあった企業の会長がコロナで亡くなった。一回きりの命を守らないといけないという思いが強くなった。

 -PCR検査の拡充に役立ててもらうため、長崎大学病院に約1億円を寄付した。どんな思いか。
 緊急事態宣言が解除されても飲み屋街などに人が戻らない。それは、どこで感染するか、誰からうつるか分からないという不安があるからだ。全員検査をして誰が陽性か分かれば、安心して出掛けられるし、経済回復につながる。不安な人は誰でも検査を受けられる環境になればいい。病院の取り組みを応援したい。

 -国や自治体に求めることは。
 最悪の事態を想定し、無駄を覚悟して政策を打ち出していかなければ、この危機は乗り越えられないと思う。感染拡大はある程度収まったが、第2波、第3波の対策は後手後手になっていると感じる。今こそ思い切った投資をし、検査や医療体制の強化を進めなければならない。経済対策も、もっと知恵を出すべき。国が呼び掛ければ、経済学者や一流の経営者、医療関係者は100人でも200人でも集まる。意見を吸い上げ、議論を重ねてほしい。

 -ジャパネットとしてできることは。
 今は経営に1%も関わっていないが、よくやっていると思う。例えば「生産者応援プロジェクト」。販路が減少した生産者から肉や魚を買い取り、通販番組やインターネットで販売している。(長男の旭人社長から)利益は二の次で、生産者と消費者をつなぐ役割を果たしたいという思いを聞いた。このような「共助」の考えは大切だ。

 -長崎の経済回復のためには何が必要か。
 コロナの経験を生かし、県全体で何か取り組めないか。例えば「IT立県」。在宅勤務が増え、オンライン会議などが普及した。環境を整えて企業誘致に生かす手もある。「スポーツ立県」でもいい。さまざまな大会が中止になり、人生の中でいかにスポーツが大事かを世界中が痛感したはずだ。長崎にはサッカーのV・ファーレン長崎がある。スポーツの町としてPRすれば、観光客誘致につながらないか。

 -県民へメッセージを。
 私は医者でも専門家でもない。コロナに関して発言する立場ではないが、これまで伝える仕事をしてきた。強い意志を持って、(感染防止のため)一人一人が自分にできる行動をすれば、必ず明るい世界があるということを発信していきたい。日常が戻ってくることを信じて、一緒に頑張っていきたい。

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 【略歴】たかた・あきら 1948年生まれ、平戸市出身。大阪経済大卒。74年に父が経営する「カメラのたかた」入社。86年に「たかた」を設立し、99年に「ジャパネットたかた」に社名変更。2015年に社長を退任。17年にV・ファーレン長崎の社長に就任し今年1月に勇退した。現在、個人事務所「A and Live」代表取締役。

 


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