県展 史上初の中止 実行委「心苦しく、悲しい」

今年の県展の中止を発表する江副県展実行委員長(中央)=県庁

 9月開幕予定の県内最大の美術公募展「第65回県展」について、同展実行委(江副功実行委員長)は29日、新型コロナウイルスの流行により運営面で安全性の確保が困難として、中止すると発表した。1956年から始まった同展の中止は史上初めて。
 同展は毎年、日本画、洋画、彫刻、工芸、書、写真、デザインの7部門で県民から作品を募集。各部門で県知事賞など入賞、入選作品を決め、県内各地で展覧会を開いている。65回展は9月13日~11月23日、長崎、諫早、佐世保、東彼杵、対馬の5市町で開催予定だったが、約1500点もの搬入作業に加え、観覧者は1万5千人以上で約500人の運営スタッフも必要なため、「3密」回避や安全性の確保が困難と判断、中止を決めた。
 29日、県庁で記者会見した江副実行委員長は「会議を重ね、中止はやむなしという結論に至った」と説明。インターネットを活用した開催も検討したが「芸術作品はウェブ画面だけで(審査などの)判断はできず難しい」と話した。また、自身も書家である立場から「県展は県内の芸術を愛する人にとっての1年1度の場。心苦しく、悲しい。環境が整えば何らかの方法を考えたいと個人的には思っている」と語った。

© 株式会社長崎新聞社