【新型コロナ】6月から学校再開、でも… 「子どもの声、受け止めて」

 新型コロナウイルスの感染拡大の影響で臨時休校を続けていた県内の多くの公立学校が6月1日、再開する。異例の事態が長期化し、約3カ月登校できなかった子どもの心理状況は揺らいだ。不登校の問題に取り組む団体には不安の声が寄せられ、担当者や識者はケースの増加を懸念した。

 「大人でさえ先が見えない状況。子どもはより一層不安を抱えている」。不登校支援センター横浜支部(横浜市中区)のカウンセラー本沢裕太さん(39)は手元の相談リストを眺め、子どもたちに思いをはせた。

 4月7日の緊急事態宣言以降、オンラインや電話によるカウンセリングに切り替えた同支部には約130件の相談が寄せられた。ほとんどが保護者からの問い合わせで、「長期休暇で生活リズムを崩し、登校できるか不安」との声が多くを占めた。

 「不登校」は「病気」と「経済的理由」を除いた長期欠席者。文部科学省の調査によると2018年度、全国の国公私立学校のうち、小中高校生は約22万人に上った。少子化の影響で生徒数の減少が続く中にありながら、小中学生は10年前に比べ計約3万8千人増加した。

 横浜国立大の堀井俊章教授は「学校再開を待ち望む声も少なくないが、不登校につながる不安材料を挙げればきりがない」と懸念し、続ける。「長期休校で生活リズムを乱したり、勉強への不安が高まったり。閉鎖的な環境で親から虐待を受けたケースもある。学校で抱く感染への不安もストレスにつながる」

 一方、「なんとか通学していた子どもたちが不登校に陥りかねない」と案ずるのは、いじめや教育問題に取り組むNPO法人「ストップいじめ!ナビ」(東京都新宿区)の須永祐慈副代表だ。日本財団の調査では、「保健室登校」や学校への行きづらさを心の内に秘めた「仮面登校」など、不登校傾向の中学生は全国で推計33万人という。

 本沢さんは「外出自粛で親も子も外部とコミュニケーションが取れず、ストレスを抱えて衝突するなどしたケースもある」と指摘。周囲の大人たちには、「学校へ行かせる方向に意識を集中してしまうと、子どもが精神的に押しつぶされてしまう。まずは子どものメッセージを受け止めて」と呼び掛けた。

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