福江島の山を題材に童話 郷土史家・中村さんが絵本を自費出版

福江島の山をテーマに、絵本を自費出版した中村さん=五島市

 五島市の郷土史家、中村眞由美さん(66)が、福江島の山を題材にした童話を創作し、絵本として自費出版した。タイトルは「ごとうのやまのおよめさん」。擬人化した四つの山の“結婚相手探し”を描き、山の特徴や位置関係を学べるストーリー。中村さんは「子や孫に読み聞かせたり、一緒に見に行ったりして、家族で島の自然のすばらしさを知ってほしい」と願う。
 中村さんは五島の歴史や民話に詳しく、20年以上前から学校や老人会などで講話を続けている。今回の出版は、五島列島の日本ジオパーク認定を目指す官民の取り組みに携わったことがきっかけ。地質や地形などの専門的な話ではなく、得意の民話を通じて、ジオパーク活動の普及に協力したいと考えた。
 絵本は、福江島北西部の「脇山」を女性に見立て、男性として登場する「父ケ岳(ててがだけ)」「七ツ岳」「鬼岳」の中から結婚相手を選ぶオリジナルの物語だ。童話の前後には大人向けに、五島列島の成り立ちや山の解説も盛り込んだ。
 幼児や小学生低学年向けで、市内の保育所や学校などに寄付する予定。希望者には販売する。今後、五島の海や川をテーマにした作品を制作する構想もある。中村さんは「読んだ子どもたちの頭に残り、大人になった時に島の魅力をふっと思い出してもらえれば」と話している。

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