「東日本大震災」関連倒産(5月度速報値)

 2020年5月の「東日本大震災」関連倒産は、2011年3月の震災発生から9年3カ月目で初の0件となった。
 2011年3月に発生した東日本大震災に直接、または間接的に影響や被害を受けた企業の倒産は、2020年5月までの累計が1,953件に達している。年別では、震災発生の2011年の544件をピークに、12年490件(前年比9.9%減)、13年333件(同32.0%減)、14年175件(同47.4%減)、15年141件(同19.4%減)、16年97件(同31.2%減)、17年71件(同26.8%減)、18年44件(同38.0%減)、19年44件(同±0.0%)と、逓減傾向をたどっていた。
 2020年は5月までに累計13件(前年同期16件)が発生、減少傾向が続く。しかし、今年に入って「新型コロナウイルス」の影響を受けた経営破たんが192件(5月29日現在)に達し、「東日本大震災」で被害を受けた企業が破産申請の準備に入った情報も確認されている。震災で被害を受けた企業に「新型コロナウイルス」が追いうちをかけた格好だ。震災被害の回復途上にある企業に「新型コロナウイルス」が及ぼす影響が注目される。

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 累計件数1,953件の都道府県別で、最も多かったのは東京の572件。次いで、宮城190件、北海道85件、岩手85件、福島82件、神奈川と茨城が各79件、千葉77件、福岡71件、栃木62件、群馬61件、静岡50件、山形48件、大阪47件、埼玉46件と続く。東北6県の倒産件数は462件(構成比23.6%)だった。
 産業別では、最も多かったのが宿泊業や飲食業などを含むサービス業他の520件(構成比26.6%)。次いで、製造業457件(同23.3%)、卸売業354件(同18.1%)、建設業224件(同11.4%)、小売業186件(同9.5%)、運輸業80件、情報通信業64件と続く。
 被害型で分類すると、「間接型」1,725件(構成比88.3%)に対して、「直接型」が228件(同11.6%)だった。

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