野茂の2度のノーヒッターはいずれも球場史上唯一の快挙

メジャー通算123勝をマークした野茂英雄は、メジャー移籍2年目の1996年とレッドソックスへ移籍した2001年にそれぞれノーヒッターを達成している。両リーグでの達成は、サイ・ヤング、ジム・バニング、ノーラン・ライアンに次ぐ史上4人目の快挙であり、いずれも敵地での達成だった。ロッキーズの本拠地クアーズ・フィールドとオリオールズの本拠地オリオール・パーク・アット・カムデンヤーズの両方で、野茂は球場史上唯一のノーヒッター達成者となっている。

1996年9月17日(現地時間)の敵地でのロッキーズ戦、野茂は雨で試合開始が2時間遅れるなかで先発のマウンドに上がり、快投を披露。俊足好打のエリック・ヤングがリードオフマンを務め、エリス・バークス、ダンテ・ビシェット、アンドレス・ガララーガ、ビニー・カスティーヤという強打者カルテットを擁するロッキーズ打線にヒットを1本も許さず、「打者天国」でのノーヒッターという奇跡的な快挙を成し遂げた。

ドジャースからメッツ、ブリュワーズ、タイガースを経てレッドソックスへ移籍した野茂は、2001年4月4日(現地時間)の敵地でのオリオールズ戦、レッドソックス移籍後初登板初先発となったこの試合でまたしても見事なピッチング。電気系統の故障により試合開始が遅れるなか、クリス・リチャードとカル・リプケンJr.を除くオリオールズの7人の打者から合計11個の三振を奪い、自身2度目のノーヒッターを達成した。

1992年に開場したオリオール・パーク・アット・カムデンヤーズと1995年に開場したクアーズ・フィールドでは、ともに1度だけしかノーヒッターが達成されておらず、野茂は2つの球場で史上唯一のノーヒッター達成者となっている。打者有利の環境で前人未到の快挙を成し遂げている点は、逆境を乗り越えて夢の舞台にたどり着いた野茂らしいと言える。

なお、メジャー30球団の現在の本拠地球場では、2006年開場のブッシュ・スタジアム(カージナルス)、2009年開場のヤンキー・スタジアム(ヤンキース)、2010年開場のターゲット・フィールド(ツインズ)、2017年開場のサントラスト・パーク(ブレーブス)、そして今年開場するグローブライフ・フィールド(レンジャーズ)でまだノーヒッターが達成されていない。

© MLB Advanced Media, LP.