元中日ドラゴンズ井端弘和氏、先輩からのアドバイスは「まっすぐ。目をつぶって行け」

東海ラジオ『ドラゴンズステーション』で、野球解説者の井端弘和氏が話した「記憶に残るあの1球」(5月27日18:25頃~)。入団3年目(2000年)5月の大型連休中の東京ドーム巨人戦、工藤公康投手が投げた1球を捕らえ適時打を放った。井端氏が「たった1本のヒットで、精神的なものが、これだけ変わってくるのか」と実感した瞬間だった。

中日は、前年(2019年)の日本シリーズをダイエーと戦った。ダイエーのエースは工藤投手。中日は大切な初戦を完璧に抑えられ、シリーズもダイエーが制した。その翌シーズン、中日は序盤のナゴヤドームでの巨人3連戦で、ダイエーから移籍した工藤投手をはじめとする左腕投手に抑えられ3連敗を喫した。井端選手は、ベンチで「(工藤投手は)すごいピッチャーだなあ」と、その快投ぶりを見ていたそうだ。そして、迎えた東京ドームでの巨人戦、先発は、またしても工藤投手だった。

この試合でスタメン起用された井端選手は、工藤投手に対して、第1打席ストレートを空振りして三振だった。「これはマズい」と、走者を2塁に置いた第2打席、打席に入る前に、次の打者の立浪選手に「何を打てばいいか」と聞いた。すると立浪選手から「まっすぐ。目をつぶって行け」とアドバイスされた。そこで、井端選手は「しっかり落ち着いて、よし、まっすぐ」と腹を括って打席に入ることができた。

「アウトコース低めに、いいボールが来たが、まっすぐに的を絞っていたので、そこまで速さを感じなかった」「1打席目は冷静ではなかった。2打席目は、しっかりボールも見えた」「そこから、打席で緊張するとか、冷静さを失くすとかがなくなり、明らかにボールの見え方がよくなったと感じた」と振り返った。実際には、目をつぶってはいないが、初球を、目をつぶっていく感じで、思い切りバットを振ったことが好結果に結びついた。

井端氏は「自分の中でも会心の当たり」というタイムリーヒットを、工藤投手から打ったことで「だいぶ自信になった」と話し、次の日もスタメンで起用されタイムリーを放った。そして、この試合を起点に、レギュラー獲得へと大きく前進していったのだ。本人が「たった1本のヒットで、これだけ変わってくるのか」と感じた瞬間だった。

東海ラジオのプロ野球解説者がコメンテーターを務める『ドラゴンズステーション』(月~金16:00~19:00)。番組の中の「記憶に残るあの1球」のコーナーでは、解説者が、現役時代・コーチ時代を通して経験した、今でも鮮明に記憶に残っている試合や出来事を紹介している。井端氏のほか、ドラゴンズステーション東海ラジオのプロ野球解説者は、権藤博氏、鈴木孝政氏、鹿島忠氏、山本昌氏、山﨑武司氏、谷繁元信氏、大西崇之氏、森野将彦氏、など。

ドラゴンズステーション

放送局:東海ラジオ

放送日時:毎週月曜~金曜 16時00分~19時00分

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