屋根リフォームの費用相場は? 補助金や保険の申請方法も解説

あなたのご自宅は、どのような屋根材を使用していて、次のリフォーム時期がいつであるかを把握していますか?「以前、屋根リフォームをしたのはいつだろう…」と思い返してみると、すでに適切な時期を逃しているかもしれません。現在雨漏りをしているなら、リフォームの時期を逃しており、屋根材や下地がしている可能性も考えられます。

そこで今回は、屋根リフォームの費用相場を中心に、各種屋根のリフォーム時期、リフォーム方法、リフォームする際に利用できる補助金や火災保険について、詳しく解説をしていきます。

屋根リフォームの時期、目安は何年?

屋根リフォームで知っておきたい重要なものとして、リフォームの時期があります。屋根材によって耐用年数、寿命、メンテナンス頻度が異なるため、ご自宅に使用されている屋根についてはしっかり把握をしておきましょう。

リフォームしないまま放置してしまうと、屋根材の下の防水シートが劣化して雨漏りが発生したり、建物の基礎が腐食したりする可能性があり、屋根全体の大規模工事をしなければいけないこともあります。

瓦とは、日本の建築において使用される屋根材ですが、日本瓦(和瓦)、洋瓦(セメント瓦)などさまざまな種類があります。日本において長い歴史を持つ瓦は耐用年数が長く、釉薬を塗っている「陶器瓦」は50年~100年のものがありますが、手軽なリフォームには不向きかもしれません。

洋瓦と呼ばれるものは、セメントやコンクリートでできており、欧米の住宅を思わせる波形状が特徴的です。洋瓦の耐用年数と費用は、瓦のグレードにより大きく異なり、屋根の段数が多い場合や勾配の角度が急になっているものは、相場より高額となるケースもあります。

屋根瓦のメリットとしては、デザイン性と耐久性に優れていることが挙げられます。デメリットとしては、他の屋根材よりも重量があるため、耐震性の面では心配があると考えられるでしょう。

瓦の種類には軽量なものも登場しており、リフォームの際に新しく軽量のものを選ぶのも、耐震性を高めるひとつの手段です。

スレート

スレート屋根とは、薄い板状の屋根材を指します。コロニアルとも呼ばれており、これはケイミュー株式会社が販売しているスレートの商品名のことです。耐用年数は15年~25年ほどで、メンテナンスは8年に1回が目安。30坪程度の建物で劣化がひどくなければ、100万円未満でリフォームできるでしょう。

スレートのメリットとしては、他の屋根材と比べると職人にとって施工しやすいこと、材料費が高額ではないことから、結果的にリーズナブルな費用になりやすいといったものです。デメリットとして、薄い材質であることから他の屋根材と比べ耐久性が若干劣ること、定期的にメンテナンスを行わなければ、板の割れや欠け、ズレ、色あせなどが発生しやすいことです。

定期的なメンテナンスを行わなければ、雨漏りの発生につながり、放置してしまうと、屋根の全体部分を取り替えなければいけない事態となってしまいます。

ガルバリウム鋼板

ガルバリウム鋼板とは、亜鉛・アルミニウム・シリコンなどから作られる、金属の合金です。耐用年数は40年~50年と長く、塗装メンテナンスは10年~15年に一度が目安といわれています。

ガルバリウム鋼板のメリットとしては、軽量であること、耐熱性が高い、サビにくいといったものがあり、耐久性の高さが最大の特徴といえるでしょう。デメリットとしては、素材が高品質で耐久性が高いぶん、費用が高額となることです。

昨今、新築の戸建て住宅で取り入れられることも多く、デザイン性の高さと耐久性の高さを併せ持つとして、注目を集めています。

トタン

トタンとは、ガルバリウム鋼板以前に主流であった金属の屋根を指します。耐用年数は15年ほどで、メンテナンスは5年~8年に1回が目安です。

トタン屋根のメリットとしては、日本瓦の1/10の軽さであり、積雪や地震の際に建物への負担が少ないこと、材料費・施工費がリーズナブルであることが上げられます。デメリットとしては、遮音性の低さがあり雨が打ち付ける音が大きく、音に敏感な方にとっては不快感があるかもしれません。

また原材料が鉄であることから、表面の塗装がはげてしまうとサビが発生し、屋根全体の腐食につながる可能性があります。長く快適に過ごすために、メンテナンスが特に重要であるのがトタン屋根の特徴といえるでしょう。

屋根リフォームの費用相場は?

屋根リフォームの費用は、時期同様に使用している屋根材により異なります。7年~10年に1度は塗装の塗り替えを、15年~20年に1度葺き替えをするのが一般的なリフォームのサイクルといわれています。

リフォーム時期を迎えていなくても、強風や台風などによる被害や劣化の状況を見ながら「そろそろリフォームをしたほうがいいかもしれない」と感じた時は、業者に相談してみるのもよいでしょう。

ここでは、屋根の塗り替え、葺き替え、重ね葺きの3種類の費用相場を紹介します。同じリフォーム内容でも、坪数と屋根材で異なるので一般的な相場として参考にしてみてください。

塗り替え(塗装)

塗り替えリフォームをした際の費用は、約60万円以下が相場といわれています。屋根の塗装をしなおす工事であり、屋根リフォームのなかでは費用面ではお手軽な部類です。

メリットとしては、屋根の塗装のみであることからリーズナブルで工期が短いことが上げられます。デメリットとしては、塗装のみではメンテナンスの頻度が高くなり、その都度費用がかかること、時間経過とともに色あせが発生することなどです。

屋根そのものの寿命がきておらず、色あせやメンテナンスのタイミングがきた時に塗装工事をするのが一般的です。メンテナンスの頻度や費用のバランスを考えたうえで、塗装のみのリフォームか、葺き替え・重ね葺きにするかを決めるとよいでしょう。

葺き替え

葺き替えリフォームをした際の費用は、だいたい120万円以上が相場といわれており、使用する素材により価格が異なります。葺き替えとは、既存の屋根材と屋根材の下にある下地と防水シートを、すべて撤去し、新しいものに取り替える工事です。

メリットとしては、下地や防水シートを含めまるごと屋根材を新しくできるため、自然災害のリスクを下げられることが挙げられます。デメリットとしては、屋根リフォームのなかでは最も高額であることや、工期が長く生活において不便が発生する点です。

築30年以上の建物や、スレート屋根の劣化が激しい時は、葺き替えリフォームをするとよいでしょう。また、耐震性を向上させるために軽い屋根に葺き替えるケースもあります。

重ね葺き(カバー工法)

重ね葺きリフォームをした際の費用は、100万円以上が相場といわれており、葺き替え同様に素材で価格が異なります。

重ね葺きはその名の通り、既存の屋根のうえに新しく屋根材を設置する工事です。メリットとしては、既存の屋根の撤去がないため、そのぶん工事費用が安く上げられることです。

デメリットとしては、防水シートや下地が劣化しているうえに新しい屋根材を貼ってしまうと、劣化がさらに進行してしまうことが挙げられます。このデメリットは、リフォームをする前にチェックしてもらえば防げるため、葺き替えがよいのか重ね葺きでよいのかは、しっかりと調査してもらいましょう。

外壁と同時リフォームがおすすめ

屋根のリフォームをする際には足場を組みますが、足場を組む手間が大きく、費用面でも大きな負担となります。

足場代はリフォーム費用の約2割、または戸建て住宅で20万円前後の費用がかかるといわれています。費用はそのぶんかかってしまいますが、いずれリフォームをするのであれば、同時に工事すると足場代を節約できるので、長期的な目で見たことを考えて、外壁の塗り替え等と同時リフォームがおすすめです。

DIYできる?

屋根リフォームのDIYは、高所作業で危険が伴います。「できるだけ費用を抑えたい」「自分でできることは自分でやりたい」とお考えの方もいるかもしれませんが、万が一の事故を考えるとおすすめできません。

塗装のため、自宅の一階部分の屋根から転落をした死亡事故も起きており大変危険です。作業そのものが簡単に見えることがあるかもしれませんが、それはプロの職人による作業であり、長年の経験があるからといえるでしょう。

確実な工事ができること、トラブルの際の保証や補修をしてくれる面においても、プロである職人や大工に任せましょう。

屋根リフォームの補助金や保険の申請方法

屋根リフォームをすることにより、補助金・助成金が受け取れるケースや、火災保険が適用となり、修理費用をまかなえるかもしれないケースがあります。

もちろんリフォームをするだけでお金が受け取れるわけではなく、ご自身で書類を準備したり、申請をしたりとある程度の手間や時間がかかるでしょう。ここでは、各自治体から申請できる補助金・助成金の制度、火災保険が適用となるケースとあわせて、屋根リフォームをする際に必要となる建築確認申請について紹介します。

不明な点は、リフォームをする前に業者の担当者と相談することもできるので、疑問を解決したうえで確実なリフォームを進めていきましょう。

補助金

屋根リフォームをする際に、補助金・助成金が使用できる制度があります。耐震リフォームまたは省エネリフォームどちらかに該当するリフォームをすれば、お住まいの自治体から補助金が受け取れるかもしれません。

耐震リフォームとは、屋根を軽量にするなど、耐震の基準値を下回る建物の補強を指します。たとえば、昭和56年5月31日以前に建築された木造一戸建て住宅では、現在の耐震基準で倒壊しないかを診断し、基準以下であった場合、耐震対策のリフォーム費用の補助金が受け取れます。耐震基準の診断には費用がかかりますが、診断に関する補助金申請をすれば、診断費用も助成してもらえるのです。

省エネリフォームとは、太陽光発電パネルの設置や、屋根に断熱塗料を施す工事を指すため、屋根リフォームの場合、どちらかが当てはまるでしょう。

断熱とは、屋根塗装、葺き替え、重ね葺き(カバー工事)において、夏は外部からの熱を防いで、冬は室内から温かい空気を逃さないようにするものです。これは、冷暖房の使用機会を減らし、設定温度を省エネモードにできることから、環境に配慮している建物に対して補助金が出ます。

以下は、補助金申請の際に必要となるものの一例です。
・補助金、助成金の申請書(各自治体の様式のもの)
・リフォームする建物の図面
・施工前、施工中、施工後の写真
・リフォームの見積書、契約書(写し可)
・工事完了書

また、以下を満たしていることが補助金申請の条件です。
・各自治体で決まっている期間に申請すること
・リフォーム業者の本社住所が、補助金を受け取る市区町村であること
・市区町村の税金を滞納していないこと
・過去に同様の補助金を受け取っていないこと
・居住するための家であること

申請の条件と申請受付期間、必要なものは、各自治体によって異なります。不明点があった時は、お住まいの自治体のwebサイトで検索したり役所で相談をしたりして、補助金が受け取れるように手続きをしてみましょう。

火災保険

ご自身で加入している火災保険が、屋根修理の際に使用できるケースがあります。

風災に当てはまる場合のみ、火災保険が使用できますが、経年劣化によるリフォームでは適用にならないので要注意です。火災保険における風災とは、強風・大雪・ひょうなどの自然災害を指します。

・雨漏り
・屋根材のずれ、割れ、欠けなどの破損
・屋根の頂点にある棟板金の浮き
・雨どいの破損

これらが風災により発生した時、火災保険適用と認定される可能性が高いです。

火災保険申請をする際の流れは、
・リフォーム業者に見積もりを出してもらう
・保険会社に屋根の状況を伝える
・必要書類を準備する
・保険会社に屋根の状態を鑑定してもらい、適用か否かを確定してもらう

このようになります。あくまで、保険会社に連絡するのは自分自身であることを覚えておきましょう。

建築確認申請

建築確認申請とは、建物を建築したり大規模な修繕をしたりする時、着工前に各自治体の担当課に必要書類を提出する、建築確認の手続きを指します。

建築確認をする理由として、工事が建築基準法に適合しているかを確認し、法律に背く建物ではないか、基準を満たしている建物であるかを確認するものです。屋根材の半分以上を葺き替えるリフォームは、建築基準法の「大規模修繕・模様替えの定義」に当てはまるため、確認申請が必要となるケースに当てはまります。

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