会社員が社会保険料をいくら払っているか意識しにくくなっている理由

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会社員が社会保険料を意識しにくい理由

例えば、会社員の場合、社会保険料は給与明細や源泉徴収票に記載されるため、金額は目にしたことがあるかもしれません。

このとき、総支給額から控除(差し引かれる)される金額として理解している方が多いと思います。お給料をもらうときに社会保険料はすでに差し引かれているため、手取りの給料が振り込まれる時点では、保険料は意識の外に追いやられてしまいます。

「払っているけど、いくらぐらいかよく分からない……」実際のご相談で、そう思われている方が多いと感じるのは、このような理由からだと私は考えています。このような無意識の感覚を家計簿で表現すると、次のようになります。

※筆者作成

会社員の方では、頭の中でイメージする社会保険料は支出の中にはなく、収入の中にあります。収入を手取りで考える癖がついてしまい、社会保険料が支出の中でどれぐらいの割合を占めているかが分からなくなってしまうのです。

社会保険料を見える化するには

会計的に見ると、社会保険料は「可処分所得」と関連づけられます。

可処分所得=収入-(税・社会保険料)

可処分所得は、収入から所得税や住民税といった税金と社会保険料を差し引いた残りのお金です。残金が生活上処分できるお金、つまり、生活するうえで使うことができるお金になります。このため、社会保険料はすでに支出されているお金として支出に分類されます。

※筆者作成

収入にあるお給料は、給与所得控除も、所得控除も、税額控除もされていない総支給額です。税金や社会保険料は支出の中にあります。そして、総支給額から税金と社会保険料を差し引いたものが可処分所得、つまり、生活上使うことができるお金として計上されます。

こうすることで、収入に占める社会保険料の割合がどれぐらいかを理解できるのはもちろん、支出に占める割合も確認できるため、社会保険料を感覚的に意識することができるようになります。

まとめ

このような社会保険料の感覚的な捉え方は、所得税・住民税も同じです。なぜならば、可処分所得は、収入から社会保険料だけでなく、税金も控除した金額だからです。

家計について考える際は、このような無意識に埋もれている部分を見えるようにする必要があります。一般的に、会社員の場合、源泉徴収制度により社会保険制度や税制が見えにくい仕組みになっています。

社会保険料や税金の額は示されるが、これらを自分ごとに落とし込む力は、自営業を営んでいる方と比べると、感覚的に見につきにくいのが実情です。この結果、人生にどのような影響があるのか。そんなことを考えるのもマネーリテラシーを育むことではあるので、ひとつのきっかけになればと思います。

執筆者:重定賢治
ファイナンシャル・プランナー(CFP)