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■[リモートインタビュー]大府という共通項を頼りに演劇を広めたい。
劇作家 土田英生 TBS系『半沢直樹』に出演します!

京都を拠点に活動する劇団「MONO」の代表で、舞台の劇作・演出やテレビドラマの脚本など数多く手掛ける土田英生さん。
俳優として自ら演じることもある土田さんと演劇との出会いは神田小学校に通っていた頃までさかのぼります。「小学2年生の時、学芸会で小鳥2という役をやったんです。セリフは『チュンチュン』だけだったけど、私のセリフに続いて、みんなが『チュンチュン』と言うので、特別な感じがしてうれしかった。人前で演じたのはこれが初めて」。演劇の原点はこの時だそうで、土田さんは脚本にも興味を持ちます。「小学生の頃に見た芝居で『自分ならこう書くのにな…』と物語に違和感を抱くことがあった」と、小学生ながら脚本を意識していたエピソードを語ります。
土田さんが本格的に演劇を始めたのは立命館大学時代で、「最初はお笑いにも興味があったから落研と迷っていたんです。でも演劇って面白そうと思い、友達と始めて」と、演劇の世界に足を踏み入れます。
軽い気持ちで演劇を始めた土田さんにその年の冬、早くも転機が訪れます。「鴻上尚史さんの『デジャ・ヴュ』という作品の公演でなぜか主役に抜てきされたんです。あれほど緊張したことはこれまでなかったんだけど、終わった後は充実感でいっぱいでした」と当時を振り返ります。
そして、この体験が土田さんの内面を大きく変えます。「高校までは、周囲が楽しんでいても自分は楽しめない、ずっとそんな孤独感や虚無感にさいなまれていました。でも主役を演じたことで、緊張感だったり、充実感だったり、人間的な感情が芽生えました。もう、一生演劇をやろうと思いました」とずっと抱えていた悩みを克服するとともに、演劇をなりわいとすることを決意しました。
その後、土田さんは大学を中退し、平成元年に「B級プラクティス」という劇団を結成します。この劇団が後に名前を「MONO」に変え、今に続きます。これまでに上演した作品はすべて土田さんが作・演出を担当しています。その中の代表作『その鉄塔に男たちはいるという』は、外国の戦地に慰問で送り込まれた芸人らが、森の中の鉄塔に脱走し、戦争が終わるのを待つという内容。北朝鮮が弾道ミサイルを発射した頃、気軽に「戦争すればいいじゃん」と話す人がいたことに、この物語の着想を得たと話します。
土田さんの作品には、その時々の社会情勢が反映されたものがありますが「演劇を通して啓蒙(けいもう)しようとは思っていません。楽しいと思ってもらえるものを表現し続けたい」と脚本を書き上げる上での心構えを語ります。
そんな土田さんに、地元大府のことについて改めて聞いてみると「大府は住んでいた頃から人口が増えた。これは発展している証し。大きなまちになってほしいね」と大府への期待をのぞかせます。
「演劇は表現の中ではマイナーなジャンル。でも市民の皆さんに僕らの演劇を理解してもらえるような活動を今後していきます」。土田さんは大府という共通項を頼りに演劇が好きなまちになってほしいと願い、今後も表現者であり続けます。

◇ビデオメッセージ公開中 大変な時だからこそとにかく優しく、寛容に。
土田さんから新型コロナウイルス感染症に関して、市民の方へのビデオメッセージをいただきました。市ホームページに掲載していますので、ぜひご覧ください。

◇PROFILE
劇作家、演出家、俳優。1967年、大府市生まれ。神田小、大府中、星城高校を経て、立命館大学に入学後、「立命芸術劇場」に入り演劇の世界へ。1989年に「B級プラクティス」(現MONO)結成。1990年以降全作品の作・演出を担当。1999年『その鉄塔に男たちはいるという』で第6回OMS戯曲賞大賞を受賞。ドラマや映画の脚本も多く手掛け、代表作に映画『約三十の嘘』、テレビドラマ『斉藤さん』など。2020年、『半沢直樹』の続編に役者として出演決定。