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■ハンセン病差別から学んだ教訓

新型コロナウイルスのまん延に伴い、世界中で人権侵害や差別的な事象が起きました。ヨーロッパでは音楽学校がすべてのアジア人生徒の登校を拒否したり、日本料理店のガラス窓に差別的な落書きをされたりしました。アジア人がいわれなく暴行を受ける事件も各国で起こっています。
日本国内でも、感染者が出たクルーズ船内で献身的に患者の治療に当たった医師や看護師、そしてその家族に対して職場や地域で心無い誹謗中傷がなされているというニュースがありました。
感染症は、人々が潜在的に持つ差別意識を顕在化させると言われています。それゆえ、私たちは正しい知識や情報をもとに判断し、冷静に行動することが求められます。これはまさに、私たちが過去にハンセン病差別から学んだ大事な教訓です。
1954年、ハンセン病の親を持つ児童が、本人は感染していないにもかかわらず小学校に通学することを地域住民や他の保護者から反対され、反対する保護者が我が子の登校を拒否するという事件がありました。
2003年には、ある温泉旅館がハンセン病からの回復者に対してホテルの宿泊を拒否した事件も起き、大きく報道されました。
ハンセン病患者に対する厳しい差別の歴史を振り返ると、患者本人だけではなく、家族さえも地域社会から冷たい目で見られ、肩身の狭い生活を余儀なくされました。元患者に対しては、2001年に国が対応の誤りを認め賠償を行うとともに、昨年11月には家族補償がなされることも決まりました。
いずれのケースも、不安から生じた思い込みによって誤った情報に振り回され、正しい行動がとれなくなったことが原因と言えます。そして、残念ながらハンセン病の歴史から学んだ教訓が十分に生かされず、同じようなことが2020年の今、新型コロナウイルスまん延の中で起こっているように思えます。
「正しく知って、正しく行動する」これこそがハンセン病差別の歴史を通して私たちが学んだ大切な教訓であり、時代や状況が変わろうともしっかりと引き継いでいくべきものではないでしょうか。