「ソサエティー5.0」実現へ新組織 県が産学金と連携 今夏めどに設立 先端技術で課題解決、経済発展の両立を

ソサエティー5.0実現のイメージ図

 AIやロボットなど先端技術を活用して課題解決と経済発展を両立する社会「ソサエティー5.0」の実現を目指し、長崎県は本年度、産学官金が連携した体制づくりに着手する。農漁業や福祉、医療、教育など多くの分野から課題を吸い上げ、各企業が持つ先端技術と結び付けて解決策を探る組織体「ながさきソサエティー5.0推進プラットフォーム」(仮称)を、今夏をめどに設立する方針。
 県によると、ソサエティー5.0の社会像として▽ロボットやドローン技術による省力化▽AIを活用した情報処理・分析の効率化▽検索・予約・決済が一括してできる次世代移動サービス「MaaS(マース)」の実用化▽遠隔医療の高度化-などといった未来を描く。
 実現すれば、高齢化で人手不足に悩む農漁業の負担軽減や、リモートワークの発展で離島や山間部のデメリットを補うなど、本県が抱えるさまざまな課題の解決が見込まれるという。ただ、実現には多くのプロセスが必要になってくる。
 県は、各業種が抱える課題と、先端技術を持つ企業とのマッチングを図る調整の場として「推進プラットフォーム」の設立を急ぐ。県次世代情報化推進室は「AIやビッグデータなど多様な先端技術を、必要な業種とどう組み合わせるのかが重要になる」として、業種別のワーキンググループ形式にするかなど効率的な組織づくりを模索中だ。
 県は本年度、次期ICT戦略の策定に250万円、ロボットなど関連産業育成事業費に1億800万円、MaaS導入推進事業に720万円を計上するなど、ソサエティー5.0戦略関連として計3億4700万円を当初予算に計上。同推進室は「社会全体がすぐに変わるわけではなく、課題解決を積み上げていくしかない。社会の在り方が変わる中、長崎だけが取り残されるわけにはいかない」としている。

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