夫の退職迫り老後資金に焦るパート女性。いくらのマンションなら買える?

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読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。

今回の相談者は、歳上の夫の退職時期を考え、老後資金作りに焦る35歳パート女性。いくらの中古マンションなら手が届くでしょうか。FPの渡邊裕介氏がお答えします。

主人が11歳上で老後までそれほど時間がなく、退職金も出ないので老後のお金が不安です。子どもはいません。中古で戸建かマンションを購入したいのですが、いくらの物件だと無理がないか知りたいです。

<相談者プロフィール>

・35歳、女性、既婚(夫:45歳)

・猫を2匹買っており、病気持ちのため、餌代を含め月3万円くらいかかります。

・職業:パート・アルバイト

・居住形態:賃貸

・毎月の世帯の手取り金額:35万円

・年間の世帯の手取りボーナス額:30万円

・毎月の世帯の支出目安:約20万円

【支出の内訳】

・住居費:4.4万

・食費:3万円

・水道光熱費:1.2万円

・教育費:なし

・保険料:1万円

・通信費:0.5万円

・車両費:0.8万円

・お小遣い:2万円

・その他:4〜5万円

【資産状況】

・毎月の貯蓄額:10万円

・ボーナスからの貯蓄額:20万円

・現在の貯蓄総額:900万円

・現在の投資総額:なし

・現在の負債総額:なし


渡邊: こんにちは。ファイナンシャルプランナーの渡邊です。老後に向けての住宅購入のご相談です。退職金が無いので、老後の資金を準備した上で、住宅の購入を検討されているとのことです。老後に向けて、どのくらいの金額の準備をするべきなのか、その上でどれくらいの価格の物件が適正なのかについてみていきましょう。

誰でも2000万円が必要なわけじゃない?

まず、老後に向けてどれくらいの資金準備が必要なのかについて考えてみましょう。老後2000万円問題など話題になりましたが、世帯によって、収入も生活費も異なります。ご自身の家庭に合わせた準備が必要です。必要な資金は下記の式で試算することが出来ます。

[老後資金準備]=[老後生活費]―[公的年金受給予定額]―[退職金・企業年金等]

まず、老後の生活費について考えてみましょう。
参考までに、一般的なご夫婦お二人の老後の生活費を見てみます。総務省の2019年家計調査報告によりますと、高齢夫婦無職世帯(夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの無職世帯)の平均消費支出は23万9947円となっています。
参考:家 計 調 査 報 告 家計収支編

一方、ご相談者の現在の月々の生活費は約20万円です。そこまで大きく生活費の変化は無いとしても、少し余裕を持たせて考えておくと良いでしょう。

年金の見積もりで注意したいこと

では、公的年金受給額はどうでしょう。厚生年金については、加入していた期間とその間の収入によって受給額が変わります。夫の就職時年齢が22歳、退職時年齢65歳、平均標準報酬額を35万、妻は国民年金のみと仮定すると、現状の年金制度における概算で、夫が65歳~74歳の間は217万2000円/年、75歳からは256万2000円/年となります。

ご相談者は退職金などがないとのことですので、老後資金準備で必要な金額は、65~90歳までと仮定すると下記となります。

[老後資金準備]=[老後生活費]―[公的年金受給予定額]
404万9000円=[24万円×12ヶ月×25年=7200万円]―[6795万1000円]

これを見ると、400万円程度を準備すれば良いように見えますが、注意点があります。それは、公的年金の試算があくまで現状の制度が続いた上での試算ということです。ご存知の通り、日本は人口が減少しており、また少子高齢化も進行しています。現役世代の人数が減り、高齢者の人数が増えていくということは、将来受け取る年金額も減ることになります。

今後の人口ピラミッド予測を考慮すると、約20年後の年金受給額は約2割程度は少なくなると考えても良いかもしれません。その前提で試算をすると、老後に準備が必要な金額は、約1800万円となります。

以上をまとめて、適正な物件購入金額は?

これらを踏まえて、どのくらいの物件購入が適正でしょうか。

65歳退職までに1800万円を準備するとすれば、あと20年で900万円を貯める計算となります。単純計算で、年間45万円の貯蓄が出来れば可能です。現在の年間貯蓄が140万円/年なので、住宅ローンを組むことにより95万円/年、月々約8万円の負担増が目安となります。現在の家賃が4.4万円/月なので、足すと12.4万円/月が住居費となります。もし、中古マンションを購入して管理費・修繕費が2.4万円/月程度と仮定すると、住宅ローンの返済額の目安が約10万円/月となります。
→借入金額2000万円、固定金利1.5%、返済期間20年、返済額9万6509円/月

頭金等は考慮していませんが、大体2000万円程度の物件であれば、目標とする貯蓄は可能です。

今回は、現在の生活費を基準に試算をしましたが、実際にどのような老後の生活を送りたいか、その為にはどのくらいの生活費が必要かによって金額は異なってきます。また、現在奥様はパートでお仕事をされているので、どのくらいの収入が何歳まで見込めるかによっても変わってきます。

大事なのは、これから住宅購入も含め、どのような生活を送りたいのか。それに対して、どれくらいの収入が見込め、どう生活設計をするのかです。ぜひ、住宅購入の検討と合わせて、ご主人と今後の生活について話し合ってみてください。経済的な目標の優先順位を付けることで、具体的な貯蓄計画や生活設計が見えてきます。