大貫勇輔◆「お会いした瞬間“宮野さんだ!”ってテンションが上がっちゃって…」宮野真守◆「大貫さんは感性がすごく鋭いんですよ」

作家・筒井康隆が40年以上前に連載していた推理小説「富豪刑事」(新潮文庫刊)を原作とし、資産家の息子・神戸大助が大金を使って難事件を解決していく姿を描くフジテレビの深夜アニメ枠「ノイタミナ」の「富豪刑事 Balance:UNLIMITED」。今回は、本作で大助役を務める大貫勇輔と、彼とバディを組む刑事・加藤春を演じる宮野真守のインタビューを敢行! お互いのことや演技のウラ側について語り合っていただいた。

――ダンサー・俳優として活躍している大貫さん。アニメの声優を務められるのは初めてだそうですね。

大貫 「そうなんです。以前からアニメの声優にも興味はあって、今回オーディションのお話をいただいたので“やってみたい!”と二つ返事で挑戦しました。何とか役をいただくことができて、すごくうれしかったです。それに、以前『富豪刑事』が(テレビ朝日系で)ドラマ化された時、昨年『ルパンの娘』(フジテレビ系)で共演した深田恭子さんが主演をされていますし、原作者の筒井康隆先生も同じ事務所で…(笑)」

宮野 「えっ! そうなの!?」

大貫 「はい(笑)。そんなご縁もあり、勝手に運命を感じています」

――では、宮野さんは出演が決まった時、どう思われましたか?

宮野 「この作品って、物語の舞台を現代に置き換えるといった大胆なリメークをしているじゃないですか。だから斬新な企画だなと思っていましたし、そんな作品に出演できるのは純粋にうれしかったです。これまでにもいろんなリメーク作品をやらせていただいていますが、オリジナルをリスペクトしつつ、新たなエンターテインメントを作り上げられるのは日本のアニメの誇れるところだと思うので、今回の作品もきっと面白くなるだろうというワクワク感が最初からありました」

――では、お互いに共演すると知った時はどうでしたか?

宮野 「元々テレビで見させていただいていたので、すごくうれしかったです! 大貫さんが演じる大助の声を初めて聞いたのはPVだったのですが、クールでカッコよくて大助にぴったりで! 現場でご一緒するのが楽しみでした」

大貫 「ありがとうございます。僕もすごくうれしかったです! 『DEATH NOTE』(2006~07年)の夜神月(やがみライト)の声を聴いて、“何? このカッコいい声!”と気になって初めて声優の方を調べたら宮野さんで、それからバラエティー番組などでも活躍されているのを拝見していて、パーソナルもすてきな方だなと思っていました」

宮野 「ははははっ!(笑)。 そんなに!? うれしいな。アフレコは、3話まで大貫さんがお一人で収録していて、4話から一緒に録ることができました」

大貫 「4話で初めて皆さんとご一緒して、お会いした瞬間“宮野さんだ!”ってテンションが上がっちゃって…。リハーサルの時、大助のキャラが変わってしまうくらいでした(笑)」

宮野 「(笑)。自分で言うのもあれだけど、僕らの掛け合い、いい感じだよね?」

大貫 「はい。バランスがいいですよね!」

宮野 「うん。気持ち良くて、すごくしっくりきますね。よくよく話を聞いていると、大貫さんは感性がすごく鋭いんですよ。アフレコ現場でも常に何かを吸収しようとしているし、“あっ、声ってこういう表情があるんですね”と、すぐにキャッチできるんです。そうやって、自分の言葉にできるということは現場を生き生きと楽しんでいる証拠。だからこそ、波長も合うのかなと思います」

――お互いに刺激を受けていらっしゃるんですね。

宮野 「僕に限らず、現場の声優陣はみんな刺激を受けています。大貫さんがいることで、いつもと違う空気を感じられて、現場が活気づいていると思いますよ。この前なんて、大貫さんがディレクションを受けてから演じたお芝居について、若手の子が『絶妙…!』と言っていました。みんなが刺激し合いながら、何かしらフィードバックさせているのだなと思います。それが、今回の作品の魅力につながっていると思いますね」

大貫 「光栄です!」

――ところで、本作の台本を読ませていただいたのですが、比較的セリフに「…」が多いように感じました。これを、お二人はどのように解釈していますか?

大貫 「僕は最初、黙る部分だと思っていました。そこには何も入れてはいけないんだなと…。だけど、4話から皆さんのお芝居を見るようになって、必ずしもそうではないと感じたんです。もちろん、画によってですが、皆さん息遣いの表現をされていて…」

――それは、舞台やドラマとは違いますよね。

大貫 「そうですね。舞台やドラマでは体で表すことができますが、アニメの場合はそうはいかないですから。声にどれだけ感情を乗せられるかが重要なのだと思いました」

宮野 「『…』は、言わば“台本あるある”なのですが、僕はチャンスだと思っているんです」

大貫 「チャンスですか?」

宮野 「人間って、日常生活において息でニュアンスを表現していることが結構あるんです。驚いた時に息を吸うことがありますし、そもそも話し始める前は絶対に息を吸いますし」

――ああ、確かにそうですね。

宮野 「今の『ああ』も、息芝居に近いですよね。そういうニュアンスが、台本の『…』に込められていると思うんです。つまり、ここで自然な息を入れられると、すごく自然体の芝居になってキャラクターにリアリティーが生まれるんです」

――だから、チャンスなんですね!

宮野 「なので僕は、『…』があったらそこまでのキャラクターの行動を逆算して、どんな芝居で『…』を埋めるのが自然か考えています。たまに、“なぜここに『…』が入っているんだろう?”と理屈の通らないこともあるのですが、そういう時ディレクションで『入れてください』と言われると抵抗がありますね。不自然になってしまうので…」

大貫 「なるほど!」

宮野 「自然であれば、息はマイクに乗せていいと思いますよ。キャラクターは止め絵ではないですし、生きていますからね。ベテランの声優さんはこれをサラリとやっていらっしゃる印象で、6話と7話に出演される小山茉美さんがすごく自然にやっていらしたのを見て、すてきだなと思っていました」

大貫 「奥が深い! すごく勉強になりました」

【プロフィール】

大貫勇輔(おおぬき ゆうすけ)
1988年8月31日神奈川県生まれ。おとめ座。A型。近年の主な出演作品は、2019年のドラマ「ルパンの娘」(フジテレビ系)、「グランメゾン東京」(TBS系)、舞台「メリー・ポピンズ」(18年)、「ロミオ&ジュリエット」(19年ほか)、「ねじまき鳥クロニクル」(20年)。ミュージカル「ビリー・エリオット~リトル・ダンサー~」が上演予定。

宮野真守(みやの まもる)
1983年6月8日埼玉県生まれ。ふたご座。B型。「ウルトラマン クロニクル ZERO&GEED」が放送中で、6月20日から「ウルトラマンZ」(ともにテレビ東京系)がスタート予定。アニメ「銀河英雄伝説ーDIE NEUE THESEー」(NHK Eテレ)、「あひるの空」(テレビ東京系)が放送中。

【番組情報】

「富豪刑事 Balance:UNLIMITED」
7月16日スタート
フジテレビほか
木曜 深夜0:55~1:25

筒井康隆のミリオンセラー小説「富豪刑事」(新潮文庫刊)をアニメ化。大富豪の御曹司で刑事の神戸大助(大貫勇輔)と熱血刑事・加藤(宮野真守)の対立するバディを描く。加藤が警備にあたっていたフェスティバルの会場が爆破予告事件に巻き込まれて緊迫する中、大助が現れ…。
ⓒ筒井康隆・新潮社/伊藤智彦・神戸財閥

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取材・文/松本まゆげ 撮影/中村彰男

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