母との再会わずか数分「反応なくなった」 病院のコロナ面会制限解けず

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 新型コロナウイルス感染防止のため、県内の病院の多くが入院患者との面会を制限している。面会の機会が減少したことで、久しぶりに家族に会った高齢の患者が家族の顔を認識できなくなっていた事例もあった。家族は面会制限に理解を示しつつも、制限や緩和の基準を示してほしいと要望する。緊急事態宣言の解除などを受け、病院側に制限緩和の動きもあるが、感染防止策に気が抜けない状況は続く。 「入院中の母親になかなか会うことができない」。那覇市内に住む60代の男性はため息をついた。男性の90代の母親は肺炎の治療のため本島南部の病院に入院中だ。「時間を見つけては病室に通っていた。4月中旬に面会が禁止されてからは1カ月近く会っていない」と明かす。

 5月の下旬に病院側から許可が下りて数分だけ母親に再会できた。しかし、久しぶりに会った母親は男性を家族として認識できなくなっていた。男性が呼び掛けても、ほとんど反応がなかったという。「面会が禁止される前は反応があった。とても悲しい気持ちだ」と声を落とす。

 男性は「新型コロナの感染防止を考えると面会の制限は理解できる」とする一方で、「次はいつ会えるか分からない」と不安そうな表情を浮かべた。その上で「急に会えなくなるのはつらい。面会の制限や緩和に関するロードマップを示してほしい」と第2波の発生に備えて、入院患者と家族に対する配慮を求めた。

 第2波が懸念される中、多くの病院は面会の時間や人数を制限したり、許可制にしたりするなど引き続き感染防止に努めている。ある病院は面会時間を20分に制限している。担当者は「まだ感染の危険性があるので一部の緩和措置にとどまっている」と理解を求める。

 面会の緩和について県医師会の宮里達也副会長は「各医療機関によって事情が異なる。必要な感染防止策を取った上で個々の事例に応じて判断している」と述べた。 (長嶺晃太朗)