医療現場だけじゃない! 介護現場も「ハイリスク」

TOKYO MX(地上波9ch)朝のニュース生番組「モーニングCROSS」(毎週月~金曜7:00~)。5月13日(水)放送の「オピニオンCROSS neo」のコーナーでは、介護福祉士の上条百里奈さんがコロナ禍における“介護現場の現状”について述べました。

◆介護現場がハイリスクな理由

身体的距離の確保や「3密」の回避、外出を控えることなどを示した「新しい生活様式」。しかし、高齢者の多い介護の現場からは、安全のために身体的な接触が避けられないことから戸惑いの声が上がっています。

介護現場は、重篤化するリスクの高い高齢者がいることに加え、超濃厚接触の機会が多いことから、上条さんは「ハイリスク」と断言。

現場ではそもそも遠隔でのコミュニケーションが取りにくく、耳が遠い高齢者の場合は、耳元で大きな声でしゃべらないと伝わりません。また、認知症の方のなかには相手の表情を読み取りながら情報を得ている人もいて、介護職員がマスクを着用していると表情がわかりにくいためコミュニケーションが取りづらいなど、「(新しい生活様式では)生活に支障が出る方がいる」と言います。そうしたハイリスクな環境下でありながら、「医療職に比べると、(介護職は)感染予防対策に疎い」と主張します。

◆介護福祉士が訴える、現場に必要な対策は?

上条さんは、「ハイリスクな場所にいながら、これからコロナと(共存して)一緒に生きていかなければならないことを考えると、介護福祉士の教育課程の見直しをする必要があるのではないか」と提起します。とはいえ、感染予防と言っても介護現場では「限界がある」と本音も。「感染拡大を防ぐことしかできないので、介護現場では優先的なPCR検査と1人でも感染者が出たときの隔離部屋の確保が、今後必要だと思います」と現場で感じたリアルな声を届けます。

MCの堀潤は、医療従事者が「患者さんがどういうコンディションなのか、医療従事者もちゃんと知った上で診察したい」と声を上げていたことを引き合いに、「介護の現場でも、お年寄りの皆さんがコロナウイルスを持っているのか、いないのかわからず、疑心暗鬼のなかで対応するのはしんどいですよね?」と問いかけます。

上条さんは「ぜひ知りたい」と答えつつも、「1人暮らしの高齢者のお宅を訪問するときなどは、行ってからじゃないとわからないので、なかなか難しい」と現実を語ります。

ちなみに、アメリカ、イギリス、フランスといった海外の介護施設では、新型コロナウイルス感染症による死亡者数が多いそうで、「『ニューヨーク・タイムズ』の記事などによると、全体の死亡者数の約3分の1が介護現場に関連する方々が占めているというデータがあります。他のところも4分の1を占めているなど、(介護施設での死亡者数が)とても多い」と上条さんは説明。

一方、日本では高齢者の関連施設での死亡者数は86人(4月末時点)。「全体の死亡者数のおよそ7分の1にとどまっている」と上条さん。さらには「あくまで私の仮説」と前置きした上で「日本の介護福祉士がやっているのは、免疫力を高めること。食事の管理や、運動、睡眠といったそもそものベースとなる体調管理をマネージメントすることによって整えていることがすごく大きいのではないかと思う」と推測します。

そして最後に、「『医療従事者ありがとう』だけでなく『介護従事者ありがとう』という声も聞きたい」と声を大にしていました。

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<番組概要>
番組名:モーニングCROSS
放送日時:毎週月~金曜 7:00~8:00 「エムキャス」でも同時配信
レギュラー出演者:堀潤、宮瀬茉祐子
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/morning_cross/
番組Twitter:@morning_cross

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