持続化給付金200万円が入金されるまで、中小企業社長が自力でやった「コロナ融資・給付金の資金調達」

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編集プロダクションを経営する社長が実際に行った、コロナ関連の融資・給付金申請の数々。どこでつまづき、どこでとまどったのか? 複数ある支援策、理想的な申し込み順は? 専門知識がなくても試行錯誤し、自力で申請まで行なった体験談。第3回は、返済不要、最大200万円がもらえる持続化給付金です。


「申し込まない手はない」返済不要の給付金

法人は最大200万円、個人事業主は最大100万円を給付。基本的に業種は問わず。そんなニュースを目にしたのは、政府の緊急事態宣言が出てから2日後、4月9日(木)のことでした。それまで、社協の緊急小口資金、金融公庫の特別貸付に申込済でしたが、どちらも無利息「融資」。こちらは給付金なので申し込めば必ずもらえる。融資ではなく給付なので返済能力の審査もない(返さなくて良いので)。正直、「申し込まない手はないな」と思いました。

もちろん、申請するための条件はあります。2020年1月以降で、売上が前年同月比で50%以上減となった月があること。さっそく弊社で確認してみると、収支を締めたばかりの3月が、前年が約650万円で今年が約300万円なので約54%減。該当しています。

「よし!」と思い、この時はこれ以上調べたりはしませんでした。4月末に補正予算が成立しないと支給されないので、細かな条件や必要書類は、しばらく待ち。複数のメディアで次々と発表されていましたし、なくなることはないはず。

売上50%以上減なのに一銭ももらえない!?

4月の最終週になると、次第に詳細が明らかになって来ました。ちょうど、前週末に金融公庫の特別融資(第2回の記事参照)が審査通過し、契約書類を送り終えたところ。「次は持続化給付金だな」と思い、本腰を入れて準備開始。

「200万円」はあくまで上限。「前年の総売上(事業収入)ー(前年同月比が50%となった月の売上×12カ月)」でもらえる金額が決まります(※)。早速計算してみると……。

3,259万円-(300万円×12カ月)=-341万円

なんと。マイナスになってしまいました。「50%以上減」に該当するので安心していて、盲点でした。これでは200万円どころか、申請しても一銭ももらえません……。

※個人事業主で白色申告の場合は、「前年同月比」ではなく、「前年1年間の総授業収入×1/12」との比較になります

2020年のうちで売上がなるべく少ない月を選ぶ

「いや、諦めるのはまだ早い」と考え直します。持続化給付金、対象となるのは2020年12月まで。チャンスはあります。ただ、4月中旬~下旬は、全国の感染者数が連日数百人カウントされていた頃で、収束時期は全く見えず。旅行関連の編集制作を多数手がける弊社としては、得られる資金は「一刻も早く」得ておきたい──。

さっそく、昨年4月の売上と、今年4月の売上予測表(というのをオリジナルで作っています)を見て、ホッとしました。

昨年が約267万円で、今年が約100万円強。4月最終週で、これ以上増える見込みもありません。60%以上の減少は確実。

さて、問題は給付額です。4月の金額を上記の計算式に当てはめてみると。

3,259万円-(100万円×12カ月)=2,000万円

となりました。上限があるので、実際にもらえるのは200万円。満額給付です。

業種にもよると思いますが、弊社のように売上が月ごとに大きく差がある場合、50%以上減少していても、どの月を選ぶかによって給付金額は大きく変わります。選択基準は単純で、2020年のうちで、売上がなるべく少ない月を選ぶこと。前年の総売上は既に確定してしまっているので、そこから差し引く「×12カ月」の分が少ないほど、給付額が大きくなります。

いくら以下なら満額200万円もらえるか、逆算することもできます。「前年の総売上-200万円」を、12で割った額。弊社の例でいうと、

(3,259万円-200万円)/12=254万円

となります。50%以上減少している月で、254万円以下の月を選べばok、ということです。

この逆算式の回答額以下(弊社なら254万円以下)に該当する月が既にあれば、その月で申請。まだない場合は、しばらく待つか、今後その可能性がなさそうなら、回答額を越える額が一番少ない月を選べばokです。

必要書類はびっくりするほどシンプル

持続化給付金の必要書類は、下記の通り。びっくりするぐらいシンプルです。

<「持続化給付金」必要書類>
(1)2019年(法人は前事業年度)の確定申告書類
(2)売上減少月の売上台帳
(3)給付金を振込む口座の通帳コピー(表紙&1~2ページ目)
(4)身分証明書コピー(個人事業主のみ)

※2019年創業の場合など、他の書類が必要な場合もあります

(1)は、原則2019年ですが、例えば確定申告が済んでいない場合、2018年でも代用可能。(2)も同様で、書式自由。経理ソフトからの抽出、エクセル、手書き売上帳どれでもok。2020年と2019年分が必要ですが、それぞれ該当する月だけでokです。(3)と(4)は説明不要でしょう。web申請なので全て画像データで提出、紙はスキャンかスマホ撮影で。

あれ? 法人にも「確定申告書類」ってあったっけ? 決算書ではなくて? 会計事務所の担当者に聞いてみると、全て決算書の中に含まれていました。

・確定申告書別表(1枚) ※電子申告の場合は「メール詳細」1枚も一緒に
・法人事業概況説明書(2枚)

以上を、決算書の束の中から抜き出せばokです。

申請は30分もあれば全手続きが終了

持続化給付金の申請受付は5月1日(金)からでしたが、弊社は5月6日(水祝)夕方に申請しました。先述の通り、4月が対象月で、その売上をまず確定する必要があったためです。ゴールデンウィーク中でしたが、会計事務所の担当者が時間を割いてくれて、5月4日(月祝)に4月分の経理処理を完了。これで売上が確定。書類も必要な数字も、全て揃いました。

ゴールデンウィーク最終日に申請したのは、7日(木)、8日(金)と平日になると申込が再び急増するのでは? と考えたからです。受付初日だった5月1日(金)も平日で、申込が殺到したためシステムダウンが報じられていました。その後、連休中は同様の報道はなかったので、休日の方が1日あたりの申込者数は少ないのだと思われます。

必要書類と同様、申請手順もシンプルです。持続化給付金の公式HPの「申請する」ボタンから、まず仮登録。確認メールが届き、本登録へ進みます。その後は、画面の指示に従って各項目を入力してゆきます。「売上入力」に先述の各金額を入れると、自動計算で表示された給付予定額は「200万円」。添付書類は、各項目ごとにボタンを押してファイルを選択するだけ。

入力モレや書類の選択モレがなければ、最後に「申請」ボタンを押せば、申請番号が入った下記の画面が入った下記の画面が出てきました。これですべて完了。ここまで、30分程でした。最後に念のためスクリーンショットを撮っておきました。

申請完了すると表示される画面表示

申請後は連絡が来るまで進捗状況は一切不明

申請後、進捗状況は一切わかりません。申請完了の通知すら届きません。マイページにログインはできますが、単に申請した内容が表示されるだけ(修正入力はできず)。審査がどの段階にあるとか、いつ頃、どんな連絡が届くのかとか、まったく不明です。

申請から13日後の5月19日(火)15時31分。事務局からのメールが届きました。「お、2週間で入金か?」と思ったら、不備を知らせるメールでガックリ。マイページにログインすると、不備の内容が赤字で表示され、修正入力ができるようになっていました。

マイページに表示される不備内容

不備は2点。ひとつは、「売上減少の対象月」が「4月」なのに、「5月」と入力していたこと。最終確認したつもりですが、あまりのケアレスミスに、我ながら笑うしかありませんでした。

もうひとつは、売上台帳が、認められない画像だったとのこと。どこが問題だったのか、具体的な指摘がないため一切不明です。「要項を参考に」と言われても、要項で売上台帳について書かれているのはこれだけ。

要項にある売上台帳に関する表記

「よくあるご質問」もこれだけです。

「よくある質問」の「申請について」のQ9

不備の具体的な対応は自分で考えるしかない

「後は自分で考えろ、ということか……」と、気を取り直して提出した売上台帳を確認します。2020年の方は取引先ごとの売上額が入っていたのですが、前年の2019年5月は合計額のみで、2020年の売上額の下に補足的に記していただけでした。

「不備」を指摘された売上台帳

そこでまず、ファイルを2つにわけました。「よくある質問」には「【売上額】の【合計】を記載して下さい」とあったのですが、2019年の方も、取引先ごとの売上額も入れました。

修正後の売上台帳

さらに念には念を入れて、それぞれの年月の損益計算書も添付。添付書類のフォームには「その他必要な書類」というボタンがあったので、そちらを利用しました。

損益計算書は該当項目を赤字で明確に

以上、30分ほどで不備を修正し終えると、マイページのトップから不備に関する表示が消え、以下に切り替わっていました。申請完了の時と同じく、メール通知はありません。

再申請が終わると表示される「赤紙」

尚、不備が全くない場合は、申込日から2週間前後で、こちらの表示が出てくるようです。この「赤紙」がつまり、「あなたの順番が来ましたので、今、具体的に審査しています」ということなのでしょう。

再び待ち続けるだけ……そしていきなりの入金

不備修正後は、毎日のようにマイページを見ていましたが、「赤紙」が出っぱなし。電話かLINEの問合せは、個別状況の確認は受け付けてもらえないので、相変わらずただ待つだけ……。ほぼ同時期に申請した同業者からは「入金された」との連絡がちらほら。皆、不備がなかった人なので、「不備があった人は、修正からさらに2週間先なのか?」と不安がよぎります。5月末までには入金されていて欲しいのですが……。

結局、修正から1週間後の5月26日8時33分に、弊社のジャパンネット銀行口座に入金されていました。申請から20日後でした。

ジャパンネット銀行の電子通帳

不備連絡もいきなりですが、入金も突然です。これもメール通知はなし。「振込みのお知らせ」葉書が届きますが、入金数日後です(弊社の場合は4日後)。

振込みのお知らせ葉書。入金日も受理日も記されていない

入金まで申請から1カ月、修正から1~2週間はみておく

持続化給付金は、書類も手続きもシンプルで、web完結、返済も不要。一方で、進捗状況を知る術がかなり少なく、連絡が「いきなり」来ます。また、急造した制度のせいか、ルールが曖昧な面も多くあります。

申請から入金までの期間については、早くて2週間、遅いと3~4週間、不備があれば修正から1~2週間位は、みておいたほうが無難でしょう。

個人事業主の場合、現状では「事業所得」で確定申告した人のみ対象ですが、6月中旬より「雑所得」や「給与所得」の人にも拡充されます(ただし、それが事業性あるのが必須)。

混雑が予測される「初日」は避けたほうが無難

最後に、これから申請予定の人に一つアドバイスがあります。対象が拡充された初日にはおそらく、5月1日(金)同様、申込みが殺到します。サーバーに負荷がかかり、最悪の場合「データロスト」の可能性も。こうなると、申請は終了しているのに、修正も再申請も入金もなく永久に待ち続ける、という理不尽な状況に陥りかねません。

5月1日の申込者の一部からは、「1カ月経っても、入金どころか不備連絡さえない!」と怒りの声も上がっています。また、申請番号は時系列順の通し番号のようですが、必ずしも番号順に処理されているわけではないようです。

該当する人は「申し込まないという選択肢はない」のですが、拡充初日のように混雑する日は避けたほうが無難でしょう。報道を見る限り、この点、持続化給付金に限らず、他のオンライン申請システム全てに該当することだといえそうです。