鷹の最速160キロ左腕に工藤監督が送った助言 制球安定の鍵は「骨盤」にあり?

オリックス戦に3番手として登板したソフトバンク・古谷優人【写真:福谷佑介】

2日のオリックス戦で吉田正、ジョーンズら中軸をねじ伏せた古谷

ソフトバンクの最速160キロ左腕・古谷優人投手が、開幕1軍入りをアピールする好投を見せた。2日、京セラドームでのオリックスとの練習試合で6回に3番手として登板。最速151キロの真っ直ぐを軸にロドリゲス、吉田正尚、ジョーンズというオリックスの中軸をパーフェクトに封じた。

敵地のマウンドで古谷が圧巻の投球を見せた。1点リードの6回にマウンドへ上がると、まず先頭ロドリゲスへの初球で151キロをマーク。追い込むとフォークで空振り三振に仕留めた。続く吉田正はスライダーでニゴロに打ち取って2死。最後はメジャー通算282本塁打を誇るジョーンズを再びフォークで空振り三振に仕留めた。

オリックスが誇る強力な中軸を封じ込めた古谷。試合後は「思い通り投げられたんで良かったと思います。オープン戦の初戦でやった時に散々な結果に終わっていた。また似たようなバッターから始まったんで、今回は絶対抑えてやろうと思ってマウンドに上がりました」。頭をよぎったのは2月23日のオープン戦初戦の悪夢だった。

相手は同じオリックス。4回から登板した左腕は吉田正、ジョーンズと始まる打線と対峙した。だが、3連続四球を与えて併殺の間に1失点。さらに5回には連続四球から3失点。予定の3回を投げられず、2回1安打6四球4失点と炎上した。あの時の悪夢を、この日払拭した。

2月のオープン戦で制球難を露呈し、そのリベンジを果たす

この時も露呈した制球難が目下の課題だ。この日の試合後も「オープン戦から課題は1つ。制球面しかない。そこだけを課題として投げていきたい」という。この日、その制球面の改善に向けて1つの光が見えた。それをもたらしたのは工藤公康監督からのアドバイスだった。

「監督から骨盤が立っていない、と言われました。骨盤が寝ているから、その分肩が上がってこない。だから腕が遅れ気味になる。骨盤を立てるように、と教わりました」。工藤監督から腰が折れて骨盤が寝ないように、背筋を伸ばして投げるイメージを教わった。それを意識したことで、制球がまとまるようになった。

この日の投球には工藤監督も高評価だった。「良かったですね。その(アドバイスの)おかげかは分からないですけどね。球に力のあるピッチャー。真っ直ぐでも変化球でも空振りが取れる投手なのでこれから頑張って欲しいと思います」と語り、残り11試合での1軍生き残りを期待する。

古谷自身は力まないように、自分を制している。「やるだけやってダメなら2軍にいってまたやればいい。結果、結果と思って心が力むと、体も力む。1軍のいいバッターとやるのを楽しんで、プラスいい結果を残せればいいかなと思っています」。結果を意識し過ぎずに自然体で。無心で腕を振れば、自ずと結果はついてくるはず。それだけの力がその左腕には秘められている。(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)

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