「10兆円」の予備費…どう使われる? 悪用の可能性もある? 元経産省官僚の見解は...

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声優としても活躍中の鈴村健一(月~木曜)と俳優の山崎樹範(金曜)、フリーアナウンサーのハードキャッスル エリザベスがパーソナリティをつとめるTOKYO FMの番組「ONE MORNING」。6月3日(水)放送のコーナー「リポビタンD TREND NET」のテーマは「予備費10兆円……野党からは批判の声」。元経済産業省の官僚で制度アナリストの宇佐美典也(うさみ・のりや)さんに話を伺いました。

※写真はイメージです

新型コロナウイルスの感染拡大を受けた2020年度第2次補正予算案で、政府は「予備費」として「10兆円」を計上しました。

「予備費」は、政府の裁量で使い道が決められるため、野党は「国会の軽視」だと反発。6月1日(月)に開かれた衆議院の委員会では、国民民主党の源馬謙太郎(げんま・けんたろう)衆議院議員が「内閣の恣意(しい)的な判断で何でも使える。必要なら予算を組むやり方でもいいのではないか」と追及。これに対し、麻生財務大臣は「“政府の対応はスピードが足りない”との指摘を受けている。万全を期さなければならない」と反論しました。

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◆「予備費」は何のために設けられているのか?

宇佐美:予備費とは、政府が災害などの不測の事態に備えて確保する、裁量で使える予算のことです。性質上、国会を通さずに自由に使えるお金で、かなりスピード感をもって執行できる予算です。

鈴村:今回は10兆円が計上されました。予備費は過去にも計上されていて、2009年度にはリーマン・ショックに伴う経済危機への対応に備えて1兆円。2011年度には東日本大震災の復旧・復興にあてる目的で8,000億円が計上されました。今回の10兆円は、リーマン・ショックや東日本大震災の10倍ということになります。こちらはどう思われますか?

宇佐美:これは一長一短で、例年は数千億円規模なので「多すぎる」という批判は理解できます。ただ、新型コロナウイルスの第2波が来る可能性はかなり高く、「政府の動きが遅すぎる」という批判があったのも事実なので、こういう対策をとるメリットはあるかなと思います。

鈴村:野党からは「必要なら予算を組むやり方でもいいのではないか?」という声も上がっています。

宇佐美:これを指摘したのが源馬謙太郎議員という方で、いつも本当にまともな指摘をする議員なんですけど、「国会がちゃんとスピード感をもって対応してくれるのか?」という問題があるわけなんですよね。

今の国会は、なんでも政治的な駆け引きの道具にしがちなので、「新型インフルエンザ等対策特別措置法」改正でもすごく揉めたわけですよね。なので、与野党が協力する仕組みがなかったら、今回の判断もやむを得ないのかなと思います。

政府としては、新型コロナウイルスの第2波がきたら、すぐに使える予備費を使いたいわけですが、野党としての「そんな簡単に手続きを飛ばさないでくれ」という主張もよくわかりますね。

◆「新たな現金給付」を想定?
鈴村:この10兆円が、どのように使われるのか気になるところですが、使い道については、(5月28日(木)に開かれた新型コロナウイルス対策を話し合う政府・与野党連絡協議会で)自民党・田村憲久(たむら・のりひさ)政調会長代理が、「新たな現金給付」を想定していることを明らかにしています。こちらはいかがですか?

宇佐美:基本的には、緊急事態下で政府が展開した政策と同じようなことをする現金給付や、都道府県への交付金を配ることを想定していると思います。

鈴村:そうですね、この間の対策(特別定額給付金)については(閣議決定の)速度がすごく遅いということは言われていましたし、今後も新たな給付というのも求められることも多いでしょうから、速度が上がるということは、いいことなのかなと単純に感じますよね。予備費の10兆円は、どのように使えばいいとお考えですか?

宇佐美:予備費はあくまでも予備費。これから経済活動を活性化するなかで、やはり新型コロナウイルス(の第2波、第3波)は出てくると思います。3密に気をつけながらセーブできるのが一番よくて、“予備費の10兆円を使わないで済みました”という流れになるのが一番かなと思います。

鈴村:ちなみに、予備費は繰り越し可能ですか?

宇佐美:できないんです。

鈴村:なるほど。難しいですね……。コロナに関しては第2波が来るかもといわれているので、(特別定額給付金などを)また支給してもらわなければならないときがくるかもしれません。そういうときのために、予備費の10兆円をあらかじめ用意しておいたほうがいいのでは……という話には納得いきましたし、それはありがたいなと思いました。

一方で、野党から批判が集まった「予備費は繰越ができない」という側面。繰越できない=予備費を別の政策費に使うことができる、ということで、野党からは“何に使うのかハッキリしないお金として悪用される可能性”もあるという声が上がっています。これも1つの声だなと感じました。

今日の話だけを踏まえれば、個人的には“コロナ対策として10兆円ある”という心強さがあるということで、納得できたかなと思いました。みなさんはいかがですか?


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番組名:ONE MORNING
放送日時:毎週月~金曜6:00~9:00
パーソナリティ:鈴村健一(月~木曜)、山崎樹範(金曜)、ハードキャッスル エリザベス
番組Webサイトhttps://www.tfm.co.jp/one/