プロ16年目・楽天涌井が新天地で見せた存在感 「常に81~82%をキープできれば」

3日のDeNAとの練習試合に先発登板した楽天・涌井秀章【写真:宮脇広久】

「若い選手が見て学ぶところが多い」と三木監督絶賛

ロッテから金銭トレードで移籍した楽天・涌井秀章投手が、3日に横浜スタジアムで行われたDeNAとの練習試合に先発し、3回を無安打無四球無失点のパーフェクトに抑える快投。「(公式戦で)いつ投げるか言われていないが、監督から『この日だぞ』と言われれば、多分気持ちも上がってくると思う」とアピールした。

就任1年目の三木肇監督は、先発ローテの一角として期待しているが、それだけではない。指揮官は「(涌井は)いろんな経験があり、いろんなことを乗り越えてきた投手だから、若い選手が見て学ぶところが多い」と指摘。

コロナ禍をうけての自主練習でも、移籍1年目の涌井の存在感は際立っていたという。

「1人でやるべきことを黙々と突き詰めてやっていた。1人でも妥協せず、しっかり考えて自分のトレーニングメニューを立てられる。ランニングを中心に、いろんな準備をしている姿を見て、素晴らしいな、さすがだなと頭が下がる思いだった。他の選手も寄っていってアドバイスをもらったり、同じ練習に参加したりしていた。若い選手やチームにもたらすものを大いに期待したい」と絶賛する。もともと、練習の質と量には定評がある。

“2度目の復活”“3球団で最多勝”なるか

プロ16年目で今月21日に34歳となる涌井。西武では最多勝を2度獲得し一時代を築いた後、数年間不振をかこったが、2013年オフに、プロ入り当時の監督で恩師の伊東勤監督(現中日ヘッドコーチ)率いるロッテにFA移籍。15年に15勝を挙げて6年ぶり3度目の最多勝に輝き、華々しく復活を遂げたのだった。

しかし、5勝11敗と大きく負け越した17年のシーズン中に伊東監督が辞任を表明し、涌井自身もメジャー移籍を目指してFA権を行使したが、満足のいくオファーを得られずロッテに残留。昨季まで3年連続で黒星が白星を上回るなど精彩を欠いてきたが、「意気に感じるタイプ。環境さえ整えば再生できる」とみる球界関係者は多い。

「100%の状態をキープするのは難しいので、今シーズンは80%でスタートして、常に81~82%をキープできればいいのではないか。それを目指してやります」と風格を漂わせる涌井。若手の手本としての使命感が、“2度目の復活”のきっかけになるのか。もし3球団で最多勝を獲得すれば、史上初の快挙となる。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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