DNAワクチンの優位性とは 新型コロナに挑むタカラバイオ 社長の思い

©株式会社京都新聞社

【資料写真】外部のちりやウイルスを遮断したタカラバイオの研究室(滋賀県草津市)

 タカラバイオは、大阪大発のバイオベンチャー、アンジェス(大阪府茨木市)や大阪大学と共同開発する新型コロナウイルスのDNAワクチンについて、来年3月までに量産態勢を滋賀県草津市の本社工場に整える。今夏にも始まる臨床試験(治験)の結果次第で、さらなる増産対応も検討する。実用化への道のりについてタカラバイオの仲尾功一社長が京都新聞社の取材に答えた。

―大阪大発のバイオ企業アンジェス(大阪府茨木市)や阪大と連携し、新型コロナウイルスのDNAワクチンを開発中です。量産を担当するタカラバイオの態勢整備は。
 「ワクチン原料を供給するAGC子会社などの協力を得て、本年度中に20万人分のワクチン製造態勢を整える。DNAワクチンは、大腸菌を培養したタンクの中で生産して精製する必要があり、専用設備や技術のある草津市の本社工場で生産する」

―実用化されたDNAワクチンはないと言われています。従来の不活化ワクチンなどと違った優位性は何ですか。
 「不活化ワクチンとは、新型コロナを不活化してつくるものだが、不活化しても本当に安全か確認する試験に時間がかかる。一方、DNAワクチンは新型コロナに特徴的な遺伝子の一部を体に打って、抗体をつくる新しい技術だ。ウイルスそのものではないので病原性はなく、安全で短期間に生産できる利点がある」
 「当社のコア技術はDNAテクノロジー。遺伝子や細胞を扱う『CDMO事業』は国内で最も大規模に展開している。その技術にアドバンテージがあったからこそ白羽の矢が立った」

―アンジェスはDNAワクチンの臨床試験(治験)を早ければ7月にも始める見込みです。
 「開発の着手を3月に発表し、7月にも治験に臨めるのは、想像以上のスピードだ。すでに動物実験で効果は出ているが、重要なのはヒトに対してどれくらいの量のワクチンを投与すれば効果があるかをつかむことだ。現状の想定での製造態勢は20万人分としているが、結果次第で数字は変わりうる」

―ワクチンは世界規模で開発競争が激化しています。国産ワクチンの意義とは何でしょうか。
 「男女差や人種、年齢などで罹患(りかん)率が異なるかどうかなど、新型コロナの特徴は正確に解明されていない。その辺りがよく分からない中でワクチン開発を進めようとすると、まずは日本で広がっている感染症に対し、国家プロジェクトとして進めることに科学的な意義がある。われわれのDNAワクチンに限らず、どの技術も可能性があるならば最大限進めるべきだ」

―アンジェスは来春の実用化を目指しています。ワクチンの普及までにはどのくらいの時間が必要と考えていますか。
 「一般の方がインフルエンザのワクチンのように今後使われるようになるには、2、3年はかかると思う。感染拡大の第2波や医療崩壊の懸念がある以上、初めは医療従事者向けなどの条件付きで緊急使用されるのではないか。それは政府が決めることであり、議論の窓口はあくまで大阪大側だ」
 「2021年度以降についても、ワクチン増産の検討を当然進めていかなければならない。大腸菌を培養するタンクを増設すれば可能で、1、2年で十分に対応できる。治験の結果を見ながら、計画を作り上げていく」

タカラバイオの仲尾功一社長