県コロナ対策 軽症者1施設の確保中断 住民、風評被害を懸念

 新型コロナウイルス感染症の軽症者らの宿泊療養用として、県が長崎市内で進めていた1施設(ホテル)の確保をいったん中断したことが、3日分かった。
 このホテルの周辺住民によると、同日、県から連絡があった。県は地元説明会で、感染拡大時の医療崩壊阻止といった必要性や、ホテルの感染防御徹底など安全性を訴えてきたが、風評被害を懸念する声が上がっていた。一方、県は同市内の別のホテルの確保も並行して調整。住民の理解や協力を得る作業に取り組んでいる。
 県がいったん確保を中断したホテルは、市内で公募に応じた施設のうち最も部屋数が多く、感染症指定医療機関にも比較的近かった。3日、県と長崎市が連名で地元住民に回覧した文書によると、「今後の感染症発生状況で改めて相談したい」としている。
 住民の一人は「できれば白紙撤回してほしかったが、ひとまず安心」と話した。
 国は都道府県に対し、限られた専用病床で重症者を優先的に受け入れるため、軽症者ら用の宿泊療養施設を確保するよう通知。施設が決定した時点で地元住民や企業に感染防止対策などを説明し理解を求めるよう促している。県は県内八つの2次医療圏でそれぞれ確保する意向を示している。

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