学校では教えてくれない「お金の教育っていつから始める?」

「子どもにお金の教育をして将来お金に困らない大人になってほしい」と考える親は、15年前まではあまりいらっしゃらなかったという感じがあります。

そこにきて、ここ5年くらいは、メディア取材や講演の機会が倍以上に増えました。その理由は、親が関心を持つようになったからです。

日本の社会の仕組みや各種制度が変わってきて、退職金制度が確定拠出年金に移行したり、手取りがなかなか増えないなど、身近にお金のことを感じる機会があったからかもしれません。

また、親自身が生活や子育てをしていくなかで、多かれ少なかれ、お金について困ったり、悩んだりする機会が増えてきたのではないかと推測します。

これからの働き方やら、将来の年金やら、何かと不安材料が尽きない現在だからこそ、お金については子どもに何か教育をしてあげたいなと、考える親が増えているのだと思うのです。


小学校入学時がベスト

お金の教育を始めるベストなタイミングは、小学1年生です。早すぎない?なんて思われるかもしれませんが、決してそんなことはありません。子どもは着実に自立をしているのですから。

小学校に入学すると、それまでは保育園や幼稚園では親がお迎えに行っていましたが、学校へは子どもが自分の足で歩いて登下校します。これは大きな自立の一歩。

学童保育に通う子どもは、入学前から学童との行き来を自分で行います。持ち物の準備をして、家を何時に出て…生活の管理を考えなければいけませんよね。

これまでは親が手を出していた事が、小学校に入学すると徐々に減っていきます。これは生活の上で子どもが自立をしていくことなので、子どもが慣れてきた5月や6月頃に、お金の話しをしてみてください。

ポイントは夏休み前ということ。4月入学で緊張していたのが、5月になれば、周りも見えてくるし、学校生活に慣れてきます。子どもの気持ちにも余裕が生まれます。

そうこうしていると、7月下旬には夏休みという学校が多いと思うので、学校って、色んな学びや経験をすることができるんだなと感じているうちに、自然に取り入れたいものです。

夏休みになれば、これまでの緊張は吹っ飛んでしまうので、緊張感がある夏休み前がオススメです。

お金の教育を始められるきっかけは、就学時以外にもあり、次のようなものです。いつでも、始められるものなのですが生活面から考えれば、小学校に入って2か月経った頃がオススメです。

どんなことを話せばいい?

お金の教育は、おこづかいを軸に幅を広げていきたいのですが、いきなり、お金の教育とは!なんて、うんちくを話しても子どもは聞いてはくれません。

まずは、「お金のことは好き?」と、聞いてください。お金のことを嫌いな人っていないとはず。最初のリードは大好きなお金のことを徐々に知っていこうね、と、警戒心を解いてあげましょう。

何を勉強させられるんだろうと身構えてしまうので、みんなが大好きなお金のことを、お家でもっとお話ができるようにしたいと伝えてみるのがいいと思います。

そして、大好きだからこそ、お金のことで悩んだり、困ったりしないように、なりたいね。と、話しかけてみて。

親からあらためてお金のことを話しに出されると、「え?」という意外な感じの表情をする子もいるでしょうし、「なに?なに?」という感じに、身を乗り出して興味津々に聞いてくれる子もいます。

わが子がお金に対してどのようなイメージを持っているのか、ぜひ感じ取ってください。当日はここまでで十分。

子どもの興味の度合いや、その子の性格やお金に対する関わり方がそれぞれに違うので、丁寧に対応してあげてください。この細かな対応は親だからわかることだし、できることだと思います。

おこづかいは、すぐに始めていただきたいのですが、ちょっと難しそうという場合は、買い物に連れて行きその方法を見せるのもいいですね。また、簡単なお使いを頼むのもいいです。焦らずに「徐々に」お金との接点を増やして行きましょう。

私が知る限りでは、子どもが小学1年生の家庭では、おこづかいをあげていないというところが多いです。また、買い物もさせていないなどお金そのものに触れさせていない家庭を目にします。

子どもは、マンガも、お菓子も、親が買ってきてくれるものだと思っています。親もそれでいいと思っている場合が多いようなので、この状況から「徐々に」に脱出できるように工夫をしてみてください。

タイミングを逃したら?

お金の教育を始めるタイミングは、子どもが生活面で自立ができるように、小学1年生がベストなのですが、子どもが一向に興味を示さないということもあります。無理矢理に押し付けてしまうと、お金に対するイメージが最悪になります。お金って面倒なもの、買い物は親がしてくれればいい、と、思い込んでしまうかも。

子どもの印象が悪かった場合や、話しに乗ってこなかった場合は、一旦、休止に。

それから、入学時期が改定されることもあるかもしれませんね。9月入学になると入学してまもなくお年玉の時期に。これはお金に触れるいいチャンスです。

親がそのまま預かるのではなく、お年玉を活用して、お金の管理を学ばせることもいいですし、おこづかいを始めるきっかけにしてもいいでしょう。

お金に触れる機会はたくさんありますから、その機会を逃さず良い経験ができるように活かしてください。お使いができたら、ほめてあげるなどして子どもに自信をつけさせることで、遠回りになってしまっても、興味を持ってくれるような工夫をしてみましょう。

ただし、小学3年生になったら、お金に触れる機会も増えてきます。おこづかいを始めると同時に、お金のことを家庭の方針として、きちんと話してほしいと思います。

長い人生においてお金に振り回されないようになってほしいから、一緒に、お金について学んだり、経験をしたりしてみようよ。と、話してみてください。

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