WRC:2012年以来に復活予定だったラリー・ニュージーランド開催中止。シリーズ再開は9月末か

 9月3~6日に予定されていた2020年のWRC世界ラリー選手権第9戦ニュージーランドについて、地元オーガナイザーが開催中止を発表した。2020年WRCカレンダーのなかで開催中止が発表されたのは第5戦ポルトガル、第7戦ケニア、第8戦フィンランドに続いて4大会目だ。

 第9戦に組み込まれていたラリー・ニュージーランドは同国北島北部にあるオークランドを舞台とする1戦。同大会がWRCとして開催されたのは2012年が最後だったため、2020年カレンダー発表時にはラリー・ケニア、ラリー・ジャパンとともにシーズンハイライトになるとされていた。

 しかし6月4日、地元オーガナイザーは世界中で拡大している新型コロナウイルス(COVID-19)感染症の状況を鑑みて2020年の開催を中止すると発表した。

 ニュージーランドは新型コロナウイルスの感染が拡大し始めた3月末ごろから約7週間に渡ってロックダウンを行ったほか、国境封鎖も実施するなど積極的な感染防止策を取っており、その結果として国内での爆発的な感染拡大が抑制されている。

 ラリー・ニュージーランドのマイケル・ゴールドスタインCEOは「国内での感染を抑え込んでいる人と物に対する国境封鎖が解除され、国外からも多くのファンを集めることが、世界ラリー選手権開催には必要不可欠だ。そのため、2020年9月という現在の開催日程は現実的ではないと判断した」と開催中止の理由を説明している。

「我々はWRCを開催するべく、過去12カ月間に渡って懸命に作業を行ってきた。2020年内にWRCを開催できないことは非常に残念だが、今は世界中で問題となっている新型コロナウイルスのことを忘れることはできない」

 またFIAでラリー・ディレクターを務めるイブ・マトンは「7年ぶりにラリー・ニュージーランドがWRCに復活することを楽しみにしていた。だから、今年同国へ足を運べないことは単純に悲しい」とコメント。

 WRCプロモーターのオリバー・シースラ代表も「ラリー・ニュージーランドは2020年WRCカレンダーのハイライトとなるはずで、オークランドに戻ることを楽しみにしていた」と述べている。

「ここまで情熱を持って、ラリー・ニュージーランドのWRC復帰に尽力してくれた地元オーガナイザーとオークランドの観光・イベント・経済対策部門(ATEED)には心から感謝している」

「FIAとWRCプロモーター、各大会の地元オーガナイザーは緊密に連携しながら、2020年カレンダーを組もうと尽力している。すべての選択肢が出揃い、それについて熟慮を重ねたあと、シーズン残りのカレンダーについて発表する」

 正式な発表はされていないものの、ラリー・ニュージーランドは2021年WRCカレンダー入りを果たす可能性が高く、地元オーガナイザーも2021年カレンダー入りについて楽観的な見方を示している。

 2020年のWRCは新型コロナウイルスの影響で3月12~15日に行われた第3戦メキシコ以降シリーズ中断状態にある。今回のラリー・ニュージーランド開催中止によって、6月4日時点でシリーズ再開は早くても第10戦として9月24~27日に予定されているラリー・トルコとなる見込み。

 またシーズン最終戦として組み込まれているラリー・ジャパンについては一部で開催が危ぶまれていると報道されたが、大会プロモーター側は予定どおりの開催に向け「確信を持って準備を進めています」と説明している。

2012年にWRC第7戦として行われたラリー・ニュージーランドの様子

© 株式会社三栄