長崎県の音楽関係者 8割超が出演予定の公演「中止」に 県音楽連盟アンケート

市の担当者に要望書を手渡す河野理事長(右)=長崎市茂里町、長崎ブリックホール

 長崎県音楽連盟(調漸(しらべすすむ)会長)が本県の音楽関係者に対し5月に実施したアンケートによると、新型コロナウイルス感染拡大に伴う政府の文化イベント自粛要請(2月26日)以降、出演を予定していた公演が中止となったとの回答が8割以上あった。同連盟は「音楽関係者が経済的に深刻な状況に置かれている」として3日、演奏発表の場の創出など3項目を長崎市に要望した。
 アンケートは同連盟会員以外も対象に5月1~15日に実施し、118件の回答があった。回答者はアーティストが46%、次いで音楽講師26%。音楽関連イベントの中止に伴う経済的損失の全体額は約3406万円と試算。年間収入に占める経済的損失の割合が10~30%に相当するという回答は半数を超えた。コロナの影響については「音楽の担い手減少」「文化的な意識や芸術への関心低下」などの懸念が寄せられた。
 要望書では演奏する場の創出として、イベント参加者を最大50人程度にするなど政府の示す感染予防策を取り入れた小規模コンサートの開催などを提言。「3密」回避で集客が制限されることからホール使用料のコロナ禍収束までの減免も求めた。また、イベント会場で非接触検温、空調整備など感染防止策を講じること、県市が連携して文化活動再開に向けた具体的方針を示すことなども挙げている。
 同連盟の河野英雄理事長(75)は同市内で市市民生活部に要望書を提出する際、「音楽関係者は仕事がない状況」と窮状を訴えた。市側は「アンケート結果を踏まえ、新しい生活様式に対応した形で復興に向けた取り組みをしていきたい」とした。同連盟は県にも8日に要望書を提出する予定。

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