マティス前米国防長官、雑誌寄稿でトランプ氏を強く批判

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アメリカのジェイムズ・マティス前国防長官は3日、ドナルド・トランプ米大統領が権力を乱用してアメリカを「分断」し、「成熟したリーダーシップ」を見せるのに失敗したと、異例の批判発言を雑誌で行った。

マティス氏は2018年12月、トランプ大統領が決定したシリア撤退に抗議する形で国防長官を辞任。以来、政治的発言を控えてきたが、米誌「アトランティック」への寄稿でトランプ大統領の最近の社会不安への対応に「怒り、憤慨している」と述べた。

これに対しトランプ氏は

で反撃。「私とバラク・オバマの唯一の共通点は、世界で最も過大評価されている退役大将であるジム・マティスを、光栄にも解雇したことかもしれない。辞表を書くよう命令し、素晴らしいことだと感じた。彼のあだ名は『ケイオス(混沌)』だったが、嫌いだったから『狂犬』に変えたんだ」と非難した。


さらに、「彼の『リーダーシップ』のスタイルや彼のあらゆることが嫌いだったし、これにはたくさんの人が賛成している。彼が去ってくれてよかった!」とも投稿した。

マティス氏は何と?

マティス氏はアトランティックへの寄稿で、「ドナルド・トランプは私が人生で見た中で初めての、アメリカ国民をひとつにしようとしない大統領だ。そうしようというふりすら見せない」、「代わりに我々を分断しようとしている」と書いた。

「いま私たちは、この過去3年間にわたる計画的な努力の結果を見ている。過去3年間にわたる成熟したリーダーシップの欠如の結果を見ている」

また、米ミネソタ州ミネアポリスでアフリカ系のジョージ・フロイドさん(46)が死亡した事件を発端とする、人種差別への抗議活動についても言及した。

フロイドさんの事件をめぐってはミネソタ州司法当局が3日、現場にいた警察官4人(全員懲戒免職)に対する新たな起訴内容を発表。元警官デレク・チョーヴィン被告の起訴内容に、これまでよりも重い第2級殺人罪が加えられた。

9日間にわたってアメリカ各地で起きているデモの大半は平和的なものだが、一部で暴力行為が行われ、多くの都市で夜間外出禁止令が出ている。

マティス氏はこうした動きについて、「我々は、法を破っている少数の人たちに惑わされてはならない」、「この抗議活動は何万人もの良心ある人々、アメリカとしての価値観に従って生きようとする人々によって支えられている」と述べた。

その上で、トランプ大統領が抗議活動の対処に軍を投入すると述べたことを非難した。

「どんな状況であれ、軍が憲法で保障された市民の権利を奪うよう命じられるかもしれないなどとは夢にも思わなかった」

「ワシントンで見られたように、政府の対応に軍事力を使うことは(中略)軍と市民社会の間に摩擦を生み出してしまう」

「異様な写真撮影」

トランプ氏は1日、ホワイトハウス近くのセントジョン米聖公会教会の前で聖書を持ち、写真撮影に臨んだ。これに先立ち連邦公園警察などが、ホワイトハウス前の公園周辺で抗議していた人たちを催涙ガスやゴム弾などで排除した。

これには、米聖公会ワシントン教区のマリアン・ブッド主教をはじめ多くの聖職者から、大統領が写真撮影のためにデモ参加者を標的にしたと批判が起きている。

マティス氏は、トランプ氏の「異様な写真撮影」を嘲笑し、そのために公園にいたデモ参加者を排除したのは「国家元首の権限乱用」だと指摘した。

一方トランプ氏は繰り返し、公園にいた抗議者が平和的だったかについて疑問を投げかけている。また先には、「人々は歴史的な信仰の場への私の散歩を好きだといっている」とツイートした。

さらに、過去に自らの報道長官を務めていたショーン・スパイサー氏との3日のインタビューでも教会訪問を擁護。訪問は「非常にうまく進み」、「聖職者も素晴らしいと言っている」と話した。

(英語記事 Trump 'tries to divide us', says ex-defence chief