映画『あなたにふさわしい』中村有「大切なものがある人に見て欲しい」不倫、夫婦のすれ違い……新作映画で悩める夫を熱演

1つの別荘をシェアした2組の夫婦が離婚の危機に直面する5日間を描く宝隼也監督の映画『あなたにふさわしい』が6月12日より東京・アップリンク吉祥寺などで公開される。同作で、ヒロイン飯塚美希(山本真由美)と密かに不倫の関係を持つ林充役を演じる中村有に作品の見どころなどを聞いた。

(c) Shunya Takara

ーー2組の夫婦が、それぞれ嘘やすれ違いの中で夫婦関係の危機に陥っていくというストーリーですが、劇中、中村さんは別荘を共にシェアするその飯塚夫妻の飯塚美希と不倫の関係にある林夫妻の夫役。妻と不倫相手の間に立つという複雑な人間関係を表現するのに難しさはありましたか。

中村:僕の妻である林多香子役を演じてくれた島(侑子)さんが、役柄と似て、すごくしっかりとして凛とした方なんです。夫婦関係を演じるにあたっても、僕が演技をしやすいように演じてくれて、彼女の演技に乗っかって夫役を演じれた気がします。山本真由美さんも島さんとタイプは違うのですが、同じようにしっかりしていて、フランクで引き出しの多い人。いろいろ仕切ってもらったりして、彼女にも引っ張っていってもらった気がします。とてもカラフルな女優さんでした。

ーーロケは軽井沢で行ったそうですね。

中村:劇中出てくる別荘に実際に住ませてもらって撮影したんです。共演者とも撮影中ずっと一緒にいる感じで、仲も良かったです。特に飯塚由則役の橋本一郎は昔からよく知っている仲で、コミュニケーションが取りやすかったです。

ーー不倫相手となる、山本さん演じる飯塚美希は派手ではないけれど、異性との関係に関して、かなり奔放な女性という印象を持ちました。中村さんはどんな印象を持って演じていたんですか。

中村:僕個人としてはああいう女性は信じられない。ありえないというか……(笑)。でも充が惹かれていってしまう気持ちもわかるような気がしました。気さくだし、母性もあるし、甘えやすい。映画の中で僕の妻である林多香子がすごくしっかりしたタイプで、「わたしもしっかりしているんだからあなたもしっかりしなさい」っていう感じなんです。そんな中で躊躇する充を受け入れる感じを真由美さんが出してくれて、充が不倫に気持ちが傾くのもわからなくはないなって。

ーーこの作品をどんな人に見てもらいたいですか。

中村:幅広い人に見てもらいたいです。特に大切なものがある人。自分が何が大切かということを考えさせられる作品なんです。自分も考えて見たけど、答えが出なかった。タイトルにあるような「ふさわしい」ものも自分にはない。大切なものがある人にはぜひ見てもらいたいです。

ーー俳優としては今後どんな風に活動していきたいと思っているんですか。

中村:高校の時はよく映画を見ていて、映画に出たくて上京してきたんです。ミニシアターブームなどもあって、こういう世界もあるんだって興味を持ち始めたのがきっかけでした。役者としては今後も誘ってもらえるならどんな映画でも挑戦していきたいなと思っています。役に入り込める、人との距離を縮められるような、そんな作品に出会えたらと考えています。

(取材・文:名鹿祥史)

映画『あなたにふさわしい』

■公開情報

出演:山本真由美 橋本一郎 島侑子 中村有 鶏冠井孝介 紺野ふくた

監督:宝隼也 脚本:高橋知由 

配給・宣伝:アルミード 

Shunya Takara 2018 / 日本 / カラー / 83分 / 16:9 / stereo

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6月12日(金)よりアップリンク吉祥寺ほかにてロードショー

■あらすじ

専業主婦の飯塚美希(山本真由美)は、ブランドネーム開発をしている夫・由則(橋本一郎)に対して不満を持っている。ある日、由則の仕事のパートナー・林多香子(島侑子)とその夫・充(中村有)とともに、別荘を借りて2組の夫婦で5日間の休暇を過ごすことになった。しかし、現地に着くやいなや、由則と多香子は急遽発生した仕事上のトラブルを解決するため別行動に。美希と充は不満かと思いきや、実は二人は隠れて浮気していたのだった。その夜、由則が話す仕事の思想を聞いた美希は、由則との間にある溝が埋まらないことに気づいてしまい…。森の中で出会った訳あり野鳥カメラマン(鶏冠井孝介)を巻き込み、美希はどのような決断を下すのか?

(c) Shunya Takara

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