停車帯を車庫代わり 規制求める声が上がる一方、反発の声も 長崎・三重地区の臨港道路

停車帯に並ぶ駐車車両の列=長崎市畝刈町、臨港道路(画像を一部加工しています)

 「規制してほしい」「みんな駐車している」-。長崎市三重地区の臨港道路(畝刈町から京泊2丁目間)で、慢性的な路上駐車が長年の懸案になっている。近くの住民らが道路脇の停車帯を車庫代わりとして利用し、交通事故の要因になりかねないと規制を求める声が上がる一方、強い反発の声も。関係機関は「規制したいのは山々だが地元との丁寧な合意形成がなければ難しい」と口をそろえ、円満な問題解決策を探している。

 管理する県港湾漁港事務所によると、同道路は片側2車線の幅広い道路(全長約1500メートル)で1986年に完成。道路のそばには会社や飲食店のほか市営・県営の三重住宅団地がある。長崎漁港に出入りする大型トラックが荷出しなどの際に一時利用できるよう停車帯(2メートル幅)が両側に設けられ、一時駐車は交通違反にならない状況だ。
 間もなく車庫代わりとして使用する住民らが増え、現在は数百メートルにかけて駐車列が慢性的に発生している。京泊1丁目の40代女性は「運転している際に駐車車両から人が飛び出してきて危ない。何度も自治体や警察に規制してほしいと相談したが結局変わらない。事故があってからの対策では遅い」と語気を強める。
 近隣住民の反応はどうか。県営住宅団地に住む40代主婦は、保有する車2台のうち1台を停車帯に駐車。2台とも車庫証明は団地の駐車場で取得しているという。「駐車場を別に借りると金銭的負担が大きい。自分が住む前からみんな駐車しているし、問題意識は特にない。駐停車禁止の規制をされると生活が苦しくなるのでやめてほしい」
 同道路の交通規制を巡って、地元住民らによる要望と反発が混在する構図。同事務所は「10年以上前から規制の要望を受けており、決して現状を良しとしているわけではない」と強調する。昨年、出入り口付近の駐車を注意するのぼりを作成したが、効果は薄いという。担当者は「駐車禁止規制区間ではない以上、局所的な対応を取るしかなく、地元の合意や警察との協議が必要不可欠」と話す。
 一方、県警はこれまで消火栓付近の駐車など悪質な駐車違反について適宜摘発しており、そもそも車庫代わりとして長時間にわたり路上駐車する行為は交通違反の対象と注意を促す。県警交通規制課は「これまでに規制も検討したが地元の反対もあり実施には至っていない。地元住民との合意が重要ではあるが、規制をすればすべて解決するという問題ではない。今後も車庫代わりに路上駐車しないよう広報するとともに、悪質な違反があれば適切に対応したい」としている。

県が作成したのぼりの隣には駐車車両があった

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