画像はイメージです
病院の怪談といえば噂話から映画やゲームまで毎年のように見聞きしますが、実際の映像にはなかなかお目にかかったことがないのではないでしょうか。実はガチな映像が映ってしまったんです。
ところは東南アジアのタイ。東北部ウドンタニー県の片田舎にある病院です。この病院が監視カメラを設置したのですが、その当日夜に目を疑う光景が映り込んでいました。
車椅子がひとりでに前後に動いているのです。
監視カメラ映像には階段前に置かれていた車椅子が突然前進を始めた様子がはっきりと映っています。すぐに左へ曲がり90度向きを変えたところで止まりました。僅かな段差を下りたところで止まったようです。
しばらく経つとまた動き出したのです。なんと段差を乗り上げてバックを始め、監視カメラの範囲から消えようとするところまで真っすぐ進んでいます。
タイではこの映像が有名な動画投稿フェイスブックページに転載されると、瞬く間に拡散して「恐ろしい! 心霊現象だ」とSNS上はもちろん、大手マスコミも報じて大きな話題となりました。しかし謎解きをする人も多く現れています。
「監視カメラのタイムスタンプに注目してよ。4:00から4:31に飛んでいるじゃないか。こんな素人な編集には騙されない」
「左端の木が大きく揺れているから、車椅子は強風で動いたんじゃないかな」
「病院ではこういう現象はよくあること。病院勤務者なら誰でも知ってるよ」
様々な議論がなされましたが決定打に欠けます。ここは当事者に話を聞くしかありません。
この病院の院長はこれは実際に起きた事だとして次のように経緯を説明しました。
この映像は5月22日夜に監視カメラに映ったものでした。院長はその夜に宿直勤務で病院にいて、翌朝病院内を点検のために歩いていたところ、車椅子が駐車場に出ているのに気付きました。階段の前にきちんと置いてあったはずなのにです。
職員の誰に聞いても動かしていないと言うので、翌日に監視カメラ映像をチェックしてみたところ、この映像のとおりだったのです。一緒に映像に見入っていた多くの職員がひとりでに動く車椅子に思わず鳥肌を立てて「幽霊の仕業だ」と言う人までいました。
しかし冷静に状況を考えると、あの時間帯は強風でした。車輪のロックをかけていなかったことも相まって車椅子が風で動いたのだろうと推理する職員もいたとのことです。
なお病院には車椅子が5台あるのですが、この車椅子の状態が一番いいので、体の不自由なお年寄りが来院した際に使ってもらえるように入口に置いてあるのだそうです。また監視カメラ映像は生の映像で一切手を加えていないとも断言しています。
最後に院長はこう付け加えました。
「実はあの車椅子はターウォンさんという身体不随の52歳男性の物でした。しかし3月に亡くなったのでご家族が病院に寄贈してくれたのです」(取材・文◎赤熊賢)