先日とある事件が起きた。
参議院議員の音喜多駿氏が赤羽駅での活動中、市民に2発殴られた。
このご時世にSNSではなく、政治家へ肌を触れ合うタイプの暴力が発生したのである。
過去の発言に不満を持っていたらしく、怒鳴りから徐々にギアが上がり、1発…少し口論を挟み、2発…インターバル暴力…!?(暴力界のマイノリティ―だ)どんな理由があるにせよ暴力は許されない。できれば非暴力の象徴である桑田真澄氏のストレートを顔面にぶち込みたい。
ただ、疑問に思った点があった。僕は音喜多議員がカンフーを使える事を知っているからだ!!(SNSで見た)
「少なくとも2発目は防げたのでは…!?」
何故、当然の権利である正当防衛をしなかったのか?
政治家だから、イメージ的に市民にカンフーを繰り出せなかったのか?
本日は“政治家の自衛”について考える。
3人の現職議員にインタビューにご協力いただいた。
1人目は殴られた張本人である音喜多駿議員(日本維新の会&あたらしい党代表)に
オンラインインタビューを決行した。
「もう一発ぶん殴るなら殴られてやろう」
山本期日前:殴られた時の感覚を教えてください!
音喜多議員:びっくりした感じですよね。本当に殴る人いるんだみたいな!
頬まで覆うマスクをしていたのと、頭に血が上っていた事もあって痛みは感じませんでした。
マスクが緩衝材の役割を果たしている事に驚いた。クレヨンしんちゃんに登場する埼玉紅さそり隊でいうと“魚の目お銀”が1番有利だ。
(編集部注)魚の目お銀……スケバングループ「埼玉紅さそり隊」の隊員で、×印のマスクとロンタイを着用した女子高校生のこと。
山本期日前:殴られた時、やり返そうと思わなかったのですか!?
音喜多議員:やり返すはさすがにないですよね。正当防衛というルールがあるとしても、政治家なので公人が相手に手をあげるのは、命が差し迫った時or財布が盗られて相手が逃亡している時とかじゃない限り、最後まで肉体的接触というのは避けるべきですね。
音喜多議員は明確に基準を持っていた。もっと踏み込んで聞いて見る。
山本期日前:ちなみに政治家じゃなければやり返してました!?
音喜多議員:殴られて瞬発的に殴り返せる人って普段から暴力行為になれてる人ですよね……ただ、22歳でマレーシアに行った時に強盗にあって、その時めちゃくちゃ殴られたんですけど、その時はぶん殴り返したので、自分が政治家じゃなければ状況によって殴り返すかもしれないです(笑)
山本期日前:どんな感じで強盗にあったのですか
音喜多議員:二人組の男に抑えつけられて、財布を取られそうになって、それまで4年間習っていたカンフーを初めて実践投入しました。後にも先にもカンフーはこの1回だけですね。日本人だと思って舐めてかかってきた外国人は驚いてましたね(笑)
カンフー発動ボタンは存在するが、政治家としてはボタンを押すまでに何重にもロックされている事が分かった。
山本期日前:では政治家って護身術を身につけるのは意味ないと思いますか!?
音喜多議員:武道やっていて思う事は、何かがあった時に、自分の身を守れる自信がつく事が大事だと思います。
山本期日前:市民に対して行使できないとしてもですか!?
音喜多議員:TwitterでTestosteroneさんっていう筋トレの教祖みたいな人が言っていたのですが、筋トレのメリットは、いざとなれば相手をいつでもひねりつぶせると自信がつくことで、営業とかビジネスが上手く行く。ことだと。
政治の世界は言論の殴り合いなので、ワーワー言葉が激しくなってきた時に“こいつその気になれば別にぶっ倒せるんだけどな”っていう自信があるのとないのでは踏み込み方は違うと思います。
もちろん知力でもよくて、余裕をもって「大変おっしゃる通りですね」「そういう動きもありますよね」と言えるのは自信があるからできること。自信がないと焦っちゃって言い返してみたり、揚げ足をとられたりするので、知力・体力を鍛えることは極めて重要な事だと思います。
全く持っていなかった視点だった。確かに夜分、仕事終わりにゴールドジムから出てくる人は、自信がみなぎり過ぎて暗闇の中で一筋の光を放っている。護身術の習得には意味がある事が分かった。最後に、心に刺さった音喜多議員のワードを紹介したい。
山本期日前:ちなみに逃げるって選択肢はなかったのですか?
音喜多議員: あんま逃げる気はないですよね。もう一発来るなら殴られてやろうって感じで。理不尽に対しては逃げずに言論で戦いますよ。
覚悟を決めた政治家はどんなに殴ってもダウンしないであろう。
次に政治家はどこまでやり返せるのか!?法律的に整理してみたくなったので、
音喜多議員の仲間である、弁護士出身の松本ときひろ品川区議会議員(日本維新の会)にオンラインインタビューを決行した。
「同じ護身術でも押さえつける系がいいですね」
山本期日前:音喜多議員の事件だと、正当防衛として法律的にどこまでやり返していいんですか!?
松本議員:”急迫不正の侵害”が一つの重要なポイントです。急迫というのは今まさに殴られようとしている状況や何回も殴られている状況をいいます。
音喜多議員の事件の例でいうと、1回殴って、1回話して、もう一回殴っています。1回殴ってから話し始めた所で急迫性がなくなっています。殴り返したらアウトです。正当防衛でなく復讐になります。暴行罪や傷害罪に問われます。
山本期日前:では相手が殴ってきているタイミングでやり返すのは大丈夫ですか
松本議員:殴りかかってきているタイミングでカウンターするぐらいなら急迫性は認められます。
とてもわかりやすく整理してもらった!!ただ正当防衛の条件の厳しさに正直驚いた。これだとインターバル暴力の使い手にはとても対抗できない。わざと1発1発の間に時間をあけてくる策士もでてくるかもしれない。
山本期日前:政治家は市民から暴力を受けたらどう対応すべきですか
松本議員:殴り返すのは極力避けるべきですね。確保する、ひねって動けなくするとかだったらまだギリギリです。政治家が殴った事だけを報道されるリスクがあります。正当防衛でも、乱闘、もみ合い、掴み合いなどと書かれるリスクがあります。止めるのができなければ逃げるのが1番です。
山本期日前:では政治家にとって護身術の習得はどんなものが意味ありますか!?
松本議員:金的※とかの相手の急所をつく護身術は相手に対して暴力を振るっています。同じ護身術でも押さえつける系がいいですね。向こうが怪我をしない可能性が高いのでギリギリOKですね。
(※編集部注:金的‥武道、格闘技の攻撃対象としての男性性器への攻撃のこと。本来は弓道の金色の的のこと。現在では金的蹴りと呼ばれる。玉攻めとの別名もある。)
山本期日前:じゃあ政治家はどの護身術を身につけるかが大事ですね…
松本議員:空手はおススメしないです(笑)
政治家は抑え込み系なら護身術習得の意味があるという事が分かった。柔道経験ありのプーチン氏と桜田元大臣は気兼ねなく正当防衛できるぞ!!
そして、1番正当防衛がやりづらい存在に気付いた。
政治家としてだけではなく、暗黙の了解でリング場以外では手を出せないプロレスラー議員だ!!二重の正当防衛の抑制がある。一方で、”プロレスラー議員に対しては、そもそも市民が強気でいけないのでは!!”とも感じた。
信州プロレスの発起人の覆面レスラー、長野市議会議員のグレート無茶氏にオンラインインタビューを決行した。
「自分の身を守れない人が市民の命を守れますか」
山本期日前:政治活動でこれまでに市民から暴行を受けた事はありますか?
グレート無茶議員:そういう場面にあったことないですね。ただ、体格は関係ないと思います。
昔アントニオ猪木さんが暴漢に襲われたことがあったじゃないですか。僕は猪木さんに向かっていったのを見てすごい事を仕掛けたな!と思いました。思想の違いから手を出してくるのはあり得ると。いつ誰に起こるか分からないと思いますよ。
僕の想定はアントニオ猪木さんの例えで一蹴された。
山本期日前:ちなみに直接批判しにくる市民の方はいますか?
グレート無茶議員:市役所にいらっしゃった方がぶつけてきます。
山本期日前:どんな内容を言われるのですか!?
グレート無茶議員:マスク取れって(笑)
山本期日前:そんなことわざわざ言いに!!議会でもマスク着用認められたのに言われるのですか!
グレート無茶議員:言われることありますよ!ただ、基本的に直接お話すれば理解していただけますよ。
普通プロレスラーに直接会って、マスク取れって怖くて言えない。政治思想というのは恐怖心を凌駕する不気味な麻薬かもしれないと思った。
山本期日前:政治家はどう身を守るべきだと思いますか
グレート無茶議員:今ってダイレクトな暴力だけじゃなく、SNSでの誹謗中傷等を含めて精神的な暴力もあるじゃないですか。受けるだけで黙っていていいのかと正直に思ってしまいます。
山本期日前:ルールの範囲内であれば一般人と同様に正当防衛を行っていいと。
グレート無茶議員:僕は自分を守れない人は市民も守れないし県民も守れないし国民も守れないと思います。
かっこよすぎる!!!
グレート無茶議員:過剰防衛はよくないですけど、警察が来るまでずっと体を抑え込むということはいいと思うんですよ。危害を加えるのではなく動かないようにする。そうしないと解決しないですからね。
山本期日前:おススメの抑え込み方はありますか!
グレート無茶議員:来るパターンによってですよ(笑)
山本期日前:政治家が護身術を身につけるのはどんな意味がありますか!?
グレート無茶議員:昔に護身術教室やっていた事があるのですが、1回2回の講演だと身につかないですよ!とっさのことなので、体に染みついてないと動かないです。英会話教室1回2回いって英語ペラペラになりますよって言っているのと同じです(笑)
腕に自信のない方はそれよりも仲間と一緒に行動する方が防衛策の一つになると思います。
山本期日前:無理に護身術を覚えるよりも、他の安全策を取った方がいいと。
グレート無茶議員:それか痴漢防止とかでありますけど、スタンガンを持ち歩くとかのレベルになっちゃうんじゃないですか。
山本期日前:では防衛グッズを持つのも一つの手段だと
グレート無茶議員:マキビシ※とかね(笑)
(※編集部注 マキビシ……忍者が用いる道具のひとつ。逃げる途中でばら撒き、追手に怪我を負わせる、またはそれを踏まないようにするために追手の速度を落とさせる効果がある)
まさかの、護身術を教えている方の目線を頂けました!3人の議員へのインタビューから以下の結論に至った。
政治家は市民に殴られても
手は出せないが、
抑え込む系までならOK
最後に多くの市民の方に戒めとして、グレート無茶議員が政治家になって感じている部分を率直に語って頂いたので紹介したい。
グレート無茶議員:政治家にだったら何をやってもいい的な考え方あるじゃないですか。俺たちの税金で飯食っているんだろうという事を盾にして。政策に関しての反論や意見はもちろんいいですけど、人格否定や手を出す事になると行き過ぎですよね。
今までやっていた業界からすると、こんちくしょーって思うことはありますよ!そこは止めないとっていう立場になったのでそこは抑えますけど(笑)
議員の方達っていうのは、よく我慢してやってきている方もいるなって思いますね。
何度でも言おう。かっこよすぎる!!!