「平和への誓い」被爆者代表に深堀繁美さん 浦上天主堂で長年講話

深堀繁美さん

 長崎市は4日、被爆75年となる今年8月9日の「長崎原爆の日」の平和祈念式典で「平和への誓い」を述べる被爆者代表に、浦上天主堂で長年にわたって被爆体験講話を続けているカトリック信徒、深堀繁美さん(89)=本尾町=を選んだと発表した。
 深堀さんは14歳の時、動員先だった飽の浦町の三菱重工業長崎造船所(爆心地から約3.4キロ)で被爆。約10年前から、浦上天主堂を訪れる修学旅行生に対し、自身の被爆体験を語り、平和への思いを伝えている。昨年11月にローマ教皇フランシスコが長崎を訪問した際には、爆心地公園で献花用の花輪を渡す大役を果たした。
 「平和への誓い」への公募に対し、今年は13人が応募。深堀さんが最高齢だった。市役所で4日、最終審査があり、被爆者らでつくる選定審査会の5人が最終候補者7人のスピーチ映像を基に審査。これまでの活動や平和、核廃絶への強い思いが評価され、全会一致で深堀さんに決まった。
 今年の式典は新型コロナウイルスの感染防止のため、参列者数を500人程度に抑えて開催する。同審査会の舩山忠弘会長は「規模が縮小されても『平和への誓い』の言葉の重みは変わらない」と強調。「75年前のあの日に何があったのかを伝え、全世界に核廃絶への思いを訴えてほしい」と話した。


© 株式会社長崎新聞社