今年の長崎市の平和祈念式典で「平和への誓い」を述べる被爆者代表に、被爆体験講話を続けている深堀繁美さん(89)が選ばれた。4日、浦上天主堂で会見した深堀さんは「許し合わなければ世の中はうまくいかない。争いのない世界を大事にしなければいけない」と思いを述べた。
昨年11月、爆心地公園でローマ教皇フランシスコに献花用の花輪を手渡した。間近で聞いたローマ教皇のメッセージ。感銘を受けたその思いを多くの人に発信してほしいと、市や教会の関係者らに「誓い」への応募を勧められた。「(自分には)役割が大きすぎる」と最初は固辞したが最終的に応募を決めた。
14歳の時、勤労学生として働いていた三菱重工業長崎造船所(飽の浦町)で被爆。原爆できょうだい4人を失った。原爆投下後の凄惨(せいさん)な光景が脳裏に焼き付く。「本当は(当時を)思い出すことも、語ることも、したくない」。会見では、そんな本音も漏らした。それでも、後世に自身の体験を残していく必要性を感じ、約10年前から修学旅行生らに語り続けている。
本番で読み上げる誓いは「自分が体験したこと、思っていることを伝える」と静かに語った。
「争いのない世界を大事に」「平和への誓い」被爆者代表 深堀繁美さん
- Published
- 2020/06/05 13:33 (JST)
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