メルセデスF1代表、2021年以降の去就は未定も「ここに残りたいという前向きな意向を持っている」

 メルセデス-AMG・ペトロナス・モータースポーツのチーム代表であるトト・ウォルフは、2020年シーズン終了後もチームで活動を続けるかどうか熟考を重ねているが、今は残留するという「前向きな意向」を持っていると語った。

 現在コンストラクターズ選手権を6連覇しているメルセデスとの経営者契約が2020年末で満了するウォルフについては、最近になって、自身が株主のひとりでもあるこのチームからの離任時期が近いとする噂が駆け巡り始めた。

 だがウォルフは、苦境に陥っている高級スポーツカーメーカーのアストンマーティンに個人的に投資したことが噂に火をつけたのだろうとして、これを否定した。

「自分の投資活動の一環でアストンマーティン株を若干数購入した。私はこのブランドを信じており、今回の投資戦略は理にかなったものだと考えている」と、水曜日にウォルフは報道関係者に対して語った。

「新たにCEOに就任したトビアス・ムアースについては、かなり以前から知っている。彼なら業績を好転させられると信じている」

「現在は非常に強力な株主集団がアストンマーティンを支援している。彼らがこのブランドを盛り立てていくはずだ。だから私もその集団に参加しようと決めたのだ」

「経営者としての私の役割は変わっていない。私はメルセデスのチーム代表であり、同時にひとりの株主でもある。他に重大なニュースがないために、今回のアストンマーティンに関する報道が多少の騒ぎを起こしたのは明らかだ」

「しかし私はメルセデスで働くつもりでいる。ここに残りたいという前向きな意向を持っており、それは何も変わっていない」

F1第4戦アゼルバイジャンGP以来の勝利を鈴鹿で飾ったバルテリ・ボッタス

■ダイムラーCEOとの不仲説を一蹴「噂を聞いて一緒に大笑いした」

 ウォルフはまた、2019年にディーター・ツェッチェからダイムラー社のCEOを引き継いだオラ・ケレニウスとの関係が困難かつ緊張したものだとする報道についても一蹴した。

「ふたりの関係が機能していないという噂を聞いて、オラと一緒に大笑いしていた」

「我々は毎週何度も電話で話をしており、彼もチームの運営について深く関わってくれる。私にとって彼は非常に良き議論の相手であり、ディーターのときと同様、その関係を続けていきたい」

 それでも、2020年以降にウォルフがメルセデスに残るかどうかは未確定のままだ。ウォルフ自身は、F1事業の代表者として今後もチームに“多くの価値”を与えられると考えているが、いくつかの要素について引き続き検討が必要だとも明かした。

「自分自身で考える必要がある。最初の頃はチームに多くの価値を与えられたのに、もうそれができなくなって、いつの間にか偉大だったチームをただのチームに変貌させてしまった、というような代表者にはなりたくない」

「私は今でも多大な貢献ができると思っているが、もちろん自分の将来については熟考中だ。オラとは、どのようにすべきかを話し合っている」

「これは単なる雇用契約の話にとどまらない。保有する株式の問題とも関係してくる。我々は、双方の将来を形作る作業の真っただ中にある。したがって、それがチーム代表であれマネージングディレクターであれ、特定の言葉に固執するようなことはしたくない」

「正直に言って今はまだ何の決断も下していない。なぜなら、今シーズンのレースもまだ始まっていない段階だからだ。だから、今後の契約や議論についても話しながら進めていくことになるだろう」

2019年F1メキシコGPでのトト・ウォルフ代表とルイス・ハミルトン(メルセデス)

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