コロナショックでもほぼダメージなし、ラテまっちゃさんのポジション管理法

2012年から株を始め、資産を100倍まで伸ばしてきた個人投資家のラテまっちゃさん。コロナショックはラテまっちゃさんにとっては過去に経験したことがない大きな暴落でした。それでもほぼダメージなく、むしろ利益を掴むことができたのはなぜなのでしょうか。ショック下のトレードを振り返ってもらいました(取材は5月24日に行われました)。


買いと空売りを両方持ってリスク管理

――新型コロナウイルスの感染拡大により日経平均株価は一時1万6,000円台まで売り込まれました。その後もリバウンド相場で2万1,000円台を回復するなど、荒い展開が続いています。

そうですね。コロナによる下落は2万円くらいで止まるだろうと思っていました。ポートフォリオ的にも、僕は普段から買いと空売りを両方持つことがほとんどで、直近の日経平均が2万4,000円前後まで上がっていたこともあって空売りを多めに持っていたのですが、2万円を割ったあたりから減らしてしまいました。

そこからさらに3,000円以上も下がるとは正直意外でした。買いで被弾しつつ空売りでカバーしたため、全体としては損も利益もありませんが、空売りを早々に手放したのは立ち回りとしては失敗だったと思います。

――空売りを始めたのはいつごろからですか?

2013年からですが、本格的に空売りを始めたのは2016年からです。この年、イギリスではブレグジットの国民投票があり、その数ヶ月後にはアメリカの大統領選挙がありました。僕はもともと個別銘柄のみだったのですが、ブレグジットに向けて相場が荒れていく中、VIXのETF(VIX短期先物指数・1552)が急騰していることに気づき、興味を持ちました。

このETFは減価するため、短期的にはリスクオフの時に急騰しますが、長い目で見ると下落していきます。高いところで空売りすれば資金管理に注意することで高確率で勝てるのではないかと思ったのです。

――そこで空売りを本格的に始めるきっかけをつかんだのですね。

はい。実験的にEU離脱の前に前にVIXのETFをしてみました。結果、急騰して損するのですが、しばらくすると下落していきました。アメリカの大統領選挙の時も同じで、一時的に上がりましたが、しばらくすると下がりました。その動きを見て、これはイベント時に使えると思い、空売りを本格的に始めるようになったのです。

「1552」はその後空売りできなくなったため、いまは米国VIを使っています。なお、コロナショック時は米国VIが早々に「売り禁」になり、この手法が使えなかったため、個別銘柄の買いや、日経平均レバ(レッジ)の空売りに注力していました。

――常に買いと空売りを持っているのですか。

売り買いのバランスは変わりますが、基本的には持っています。コロナショックからのリバウンド相場では買いの比率を増やしましたが、個人的には二番底を警戒していますので、今は再び空売りの比率を徐々に増やしているところです。

REITから買い始めた

――買いと空売りのバランス調整や、暴落後のリバウンド相場で取るために、相場の底を見抜くことが大事です。コロナショックではどんな点に注目したのですか。

日経平均のPBRと日経とTOPIXの値動きを見ていました。日経平均はPBR1で2万円前後です。コロナショック時はリーマンショックと同水準の0.8台まで下がったため、半信半疑でしたが、その辺が底かなと考えました。

日経とTOPIXの値動きについては、暴落時は日経もTOPIXも一緒に下がります。その推移を見ていたところ、先にTOPIXが下げ止まりました。それを見て、全銘柄が下がる状態が終わり、少しずつ買われる銘柄が現れているのだなと感じ取りました。なお、少しずつ買われる銘柄が現れている状況は、騰落レシオでも判断することができました。

――そこで底打ちからの反発を予見して買い向かっていったのですね。

はい。最初に買ったのはREITです。REITは小規模な暴落時には下がらないことが多いのですが、今回は大きく売られ、半値近くまで売り込まれるものもありました。さすがに半値は安いですし、相場が下がってもレジデンス系で家賃が半額になることはないと思い、最初に買い始めることにしました。

また、セクターによって買われるところがあることもわかってきたので、コロナで影響を受けないセクターと恩恵がありそうなセクターを中心に買う銘柄のリストを作り始めました。具体的には、テレワーク、ゲーム、AI関連などです。相場全体に引きずられて下落していても、影響がなければ株価は戻ります。そう考えてリストを作り、戻り遅れているところを中心に買っていきました。

――頻繁には起きませんが、暴落の備えは大事ですね。

そう思います。空売りでヘッジするなどして大きなダメージを回避することが大事ですし、それ以前の対策として常に余力を残すことも重要ですよね。僕自身、普段は余力を半分以上残すことを心がけて取引しています。コロナショック後のリバウンド相場は買い優勢だと思ったので少し投資資金を増やしましたが、それでも7割ほどに抑え、残り3割は使っていません。

とはいえ、リスク管理の重要性を理解したのはチャイナショックなど大きめの暴落を経験したり、値動きが大きいVIXを売買するようになってからです。株を始めたばかりのころは全力で買っていましたから、そのときにコロナショックがきていたら「即死」していたと思います(笑)。

――リバウンド相場ではバイオ系の小型株などが高騰していますが、そういう銘柄は買わないのですか。

買わないですね。盛り上がっているのは知っていますが、「高値掴みにならないように注意せんとあかんなぁ」くらいに思いながら見ています(笑)。

リスク管理という点から見ても、高騰している銘柄は短期の資金が多く入っているため、下がり始めたときに資金が抜けるのも早く、急スピードで下落します。デイトレーダーには向いているでしょうが、相場を常に見ることのできない僕のような兼業投資家には難しいかと思います。

また、高騰しているのが大型株だった場合は、高騰している理由にもよりますが、むしろ空売りの対象として考えます。過去の値動きを見ていると、小型株はストップ高が連続することがあるので空売りはあまりしませんが、大型株は材料やイベントで上がっても、その後、下がってくることが多いのです。買いは安値(出遅れ)に絞り、一方で高騰している株を空売りできれば、ポートフォリオ全体としてヘッジもできますし、買いと売りのリスクも低く抑えられます。

――最後に、今後の目標を教えてください。

株を始めた時は資産1億円を目指してきましたが、いまは資産が3億、5億になってもやめずに、より大きな目標を目指し続けたいと思っています。

そう思う背景には、資産を増やしたいという思いもありますが、株が好きだという気持ちもあります。手持ち50万円だった僕がここまで資産を増やせたのは株があったからです。株は誰にでも始められる資産形成のツールですし、勉強すればしただけの成果が出ます。

インスタグラムやTwitterを通じてトレーダーや投資に興味を持っている人とのつながりも広がってきたので、これから株をやってみたい人や、本気で取り組んでみたいと思っている人に向けて株の魅力を発信していきたいと思っています。

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