社説(6/6):自治体再編/響かない霞が関主導の改革

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 急激な少子高齢化と人口減少下にある地方自治体をどう運営、維持していくか-。国の地方制度調査会(地制調)が、新たな行政主体として法制化を目指していた圏域構想が地方側の反発で頓挫した。

 国土構造のゆがみを放置したまま、地方制度だけを切り離して小手先の「改革」を強いるのではなく、真の分権型国家を目指す視点で制度設計をやり直すべきだ。

 圏域構想は総務省の有識者研究会が2018年7月に提言した。約20年後には「地方の9割以上の市町村で人口が減少する」と予測。自治体職員や財源が限られる中、市町村が連携して産業振興やまちづくりなどを効率的に実施する仕組みとして国に法制化を促した。これを受け、首相の諮問機関である地制調が導入に向けた議論を進めてきた。

 市町村の枠組みを超えた広域連携自体は、人口20万人以上の中心市と近隣の市町村が協力して公共サービスを提供する連携中枢都市圏が2014年に創設されるなど、実践例が既に幾つかある。

 産業政策や移住促進策などで成果を上げている地域もあるが、あくまで連携の域を出ない緩やかなネットワーク。これに対し新制度は圏域を法律上の行政主体と位置付け、権限や財源を移譲することを想定しており統合色が強い。

 全国町村会など地方6団体は「中心部と周辺自治体との間で格差が生じる」「事実上の市町村合併ではないか」と、法制化に疑義を呈した。

 国主導で進められた「平成の大合併」では約47%の自治体が消滅し、行政の効率化という総務省の言うメリットは一定程度果たされた。半面、旧町村の住民の声が行政に届きにくくなるなどの弊害も指摘されている。日弁連の調査では合併した小規模な旧町村の人口減少率が、存続を選択した町村より高いというデータが示された。

 国と地方の現状認識の開きはどこからくるのか。それは国が地方自治を「効率」を重視して再編成しようとしているのに対し、地方はあくまで「住民」を基礎にして考えようとしているためだ。

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴う1人当たり10万円の一律給付で、青森県西目屋村が全国に先駆けて給付を始めることができたのは小回りが利けばこそ。同村の人口は約1300人だ。

 ただ、市町村単独でハコモノを整備したり、公立病院を維持したりする「フルセット行政」は早晩行き詰まる。このため地制調は圏域構想は見送るものの、財政支援を通じて広域連携制度を強化する答申を今月中に正式決定する。

 そもそも、総人口の約3割が東京圏に集中するいびつな国土構造から目をそらし、財政状況が厳しい地方の小規模自治体にリストラを強いるのはいかがなものか。新しい地方自治の姿は霞が関主導ではなく、地方起点で描きたい。