新幹線長崎ルート 佐賀と国交省が協議入り 長崎知事「進展を期待」

 国土交通省と佐賀県は5日、九州新幹線長崎ルートの同県内の未着工区間(新鳥栖-武雄温泉)の整備方式について協議を始めた。同日は当初、協議に向けた確認文書の文言を双方で調整していたが、その一部に実質的な協議が必要として、同県側が途中で協議入りを容認した。
 中村法道長崎県知事は「協議開始を歓迎する。今後、精力的な協議の積み重ねで議論が進展することを期待する」との談話を出した。
 同区間の整備方式を巡っては昨年12月、与党検討委員会が「適当」としたフル規格前提の協議に反発していた佐賀県の山口祥義知事と、協議入りを求める赤羽一嘉国交相が会談。「幅広い協議」に向けて事務レベルで確認作業をすることで一致していた。今年3月、同県は七つの確認項目を示し、同省側が一部修正を求めていた。
 5日は佐賀県庁で同県の南里隆地域交流部長と同省の足立基成鉄道局幹線鉄道課長が会談。確認文書のうち「長崎ルートから山陽新幹線への乗り入れ(新大阪直通)にこだわらない」との項目について足立課長が「協議内容の価値判断に当たる」として削除を求めると、南里部長が「今以降、協議に入ったことにしていい」と応じた。
 だが、国が導入を断念した軌間可変電車(フリーゲージトレイン)や過去に認可されたスーパー特急方式も協議し、フル規格やミニ新幹線にはしっかり時間をかけるよう求める南里部長と、整備財源確保のためにも一定協議を重ねた後に結論を出した方が良いとする足立課長の議論は平行線をたどり、会談は2時間40分に及んだ。
 また足立課長が「佐賀県の合意がなければ整備方針を決めることはないが、事実上の膠着(こうちゃく)状態を前に進めるアイデアを検討中。鉄道局長から山口知事に直接伝えて感触を得たい」と求めたが、南里部長は「協議責任者の私に話してほしい」として応じなかった。

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