ボアテング「生まれながらの人種差別主義者などいない。親と教育が全て」

白人警官に8分間も首を押さえつけられた後に死亡したジョージ・フロイドさん。『New York Times』などはショッキングな事件の様子を伝えている(以下動画1分3秒~)。

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この事件を受けて、サッカー界からもあらためて人種差別反対の声が上がっている。

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そうしたなか、バイエルン・ミュンヘンの元ドイツ代表DFジェローム・ボアテングが『DW』のインタビューで人種差別問題について語った。

彼はドイツ人の母親とガーナ人の父親のもとベルリンで生まれた選手だ。

ジェローム・ボアテング(バイエルンDF)

「(ドイツに住むドイツ人として、アメリカでの出来事をどう思う?

あの映像はショックだった。あの瞬間をとらえたSNSにあるいくつかのものは残酷だった。

残念なことに、抗議活動も難しいものになっている。

とはいえ、ジョージ・フロイドの件は、アメリカで黒人に対する人種差別がどれほど広がっているか、人種プロファイリングがどのようになっているかを我々に示した。

とても動揺したよ。自分はよくアメリカに行くし、あの国とあの文化がとても好きだからね。

でも、これは新たなものではなく、どこにでもあるものだ。人種差別はどこにでもある。ただ、アメリカでは極端だ。

最近いい引用文を読んだ。『人種差別は暗い部屋のようだ。時々、誰かが明かりをつけると、全てが明らかになる』というものさ。

アフリカ系アメリカ人がアメリカのイメージと文化のためにどれほどのことを成し遂げてきたかを考えれば、(差別を受けるのは)不可解だ」

「(ドイツとの類似点はあるか?

当然ながらここでも人種差別は話題だし、常に存在している。近年のドイツでは外国人や異なる宗教グループへの攻撃が散見されている。

もちろん、自分もベルリンでの幼少期に人種差別を経験したよ。でも、ピッチでサッカーをしている時には出身や宗教は関係なかったことも覚えている。

イラン人、アフリカ人、トルコ人、ドイツ人たちがいた。そのことを考えたことも話したこともなかった。一緒になることが全てだった」

ジェローム・ボアテング(バイエルンDF)

「(ドイツではアフリカ系ドイツ人が十分に認知されているか?

一般的にはある特定の領域でアフリカにルーツを持つ人々は過小評価されている。でも、スポーツ選手は認められているという印象を受けることが多い。

とはいえ、全てについて悪口を言いたいわけじゃない。基本的にはドイツはオープンな国だと思う。

個人的には多くのいい経験をしてきたしね。ヨーロッパにはもっと酷い国がある」

「(多くの黒人サッカー選手がこの件を話題にしている。白人の同僚選手たちはサポートにために何ができる?

いま発言をしていない全ての白人選手が人種差別主義者というわけではない。もちろん違う。

デモの映像を見ると、肌の色が異なる人々の姿が見て取れる。

とはいえ、この主張をサポートするために彼らの名声を使ってくれるのが望ましい。

多くの人はそうしているけれど、まだまだ改善する余地はあると思う」

「(こちらが聞いていないことで、言っておきたい大事なことは?

全ては子供の教育から始まる。それが最も重要なことさ。

生まれた瞬間から人種差別主義者である子供は世界中にひとりもいない。

親と彼らが子供たちに教えること次第だ」

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