もしコールが2008年にヤンキースと契約していたら…

今オフ、投手史上最高額となる9年3億2400万ドルの超大型契約でヤンキースに加入したゲリット・コールだが、コールは2011年のドラフトでパイレーツから全体1位指名を受ける前、2008年のドラフトでヤンキースから全体28位で指名されていた。このとき、コールは大学進学を選択したが、もしヤンキースと契約していたら球界の歴史はどのように変わっていたのだろうか。メジャーリーグ公式サイトのマイケル・クレアが特集記事を公開している。

【1】ヤンキースは投手王国になっていた

コールは20013年にメジャーデビューを果たしたが、ヤンキースに入団した場合は2012年途中にイバン・ノバに代わって先発ローテーション入りしていただろう。パイレーツはコールの変化球の使用を制限し、沈む速球を主体としたピッチングに取り組ませていたが、ヤンキースではそのようなことはなく、現実よりも早い段階で才能を開花させていたと思われる。コール、ルイス・セベリーノ、田中将大、CC・サバシアらによって「投手王国」が完成していたはずだ。

【2】コールは2015年にサイ・ヤング賞を受賞していた

現実のコールは2015年に19勝8敗、防御率2.60、202奪三振の好成績をマークし、ナ・リーグのサイ・ヤング賞投票で4位にランクイン。これよりさらに成績が向上していたと仮定するならば、20勝8敗、防御率2.48をマークしたダラス・カイケルに代わってア・リーグのサイ・ヤング賞を受賞していたと思われる。

【3】パイレーツはレンドンを指名していた

2008年のドラフトでコールがヤンキースに入団した場合、パイレーツは2011年のドラフト全体1位でアンソニー・レンドンを指名しただろう。これにより、守備に不安を抱えるペドロ・アルバレスを一塁へコンバートすることが可能になり、2013~15年にかけてのパイレーツの「プチ黄金期」はさらに充実したものとなっていたかもしれない。

【4】パイレーツがアーチャーを獲得するのは変わらない

レンドンの活躍によりポストシーズン進出を狙える位置につけていたパイレーツは、投手の補強を目指すだろう。コールがヤンキースに入団した場合も、パイレーツがオースティン・メドウズとタイラー・グラスノーを放出してレイズからクリス・アーチャーを獲得するのは変わらないと思われる。

【5】リンドーアはナショナルズに入団していた

2011年のドラフトでレンドンを獲得できなかったナショナルズは、全体6位でフランシスコ・リンドーアを指名することになるだろう。資金的にリンドーアと契約延長の見込みがないインディアンスはリンドーアの放出を検討していると言われているが、ナショナルズであれば長期契約を結ぶことも可能なはずだ。

【6】カブスは2016年に世界一になれなかった

レンドンをパイレーツ、リンドーアをナショナルズが指名したことにより、さらに「玉突き」が発生し、インディアンスはハビアー・バイエズ、カブスはジョージ・スプリンガー、アストロズはソニー・グレイを指名することになるだろう。バイエズがいなければ、カブスは2016年のリーグ優勝決定シリーズを勝ち抜くことができず、ワールドシリーズはドジャースとインディアンスの対戦となっていたはずだ。

【7】バーランダーはアストロズへ移籍しなかった

グレイがカイケル、チャーリー・モートン、ランス・マカラーズJr.とともに先発ローテーションを形成することになったアストロズは、先発投手を補強する必要がなく、ジャスティン・バーランダーの獲得には動かないと思われる。スプリンガーの代わりにテオスカー・ヘルナンデスがレギュラーとなり、先発投手ではなく強打者の補強に動いていたかもしれない。

【8】2018年のチャンピオンはヤンキースだった

現実の2018年はレッドソックスがワールドシリーズを制したが、コールがヤンキースに入団した場合、ヤンキースが地区優勝し、ワイルドカード・ゲームでエースのクリス・セールを使ったレッドソックスを地区シリーズで撃破。その勢いのまま、2009年以来9年ぶりとなるワールドシリーズ制覇を成し遂げていたと思われる。

以上の内容は、クレアによる「仮想のストーリー」であり、もちろん歴史が変わることはない。12年越しにヤンキースの一員となったコールは、今後どのような物語を作っていくのだろうか。

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