困窮学生への給付金 留学生のみ成績要件は「差別」

給付金の申請手続きを進める韓国人留学生=5日、横浜市内

 新型コロナウイルスの影響で困窮する学生らに最大20万円の現金を給付する支援策を巡り、政府が外国人留学生に限り「成績上位3割」程度の要件を設けたことに対し、「国籍差別」との批判が強まっている。アルバイト収入の減少など日本人学生と同じ状況にありながら、学業や日々の暮らしを支える手だてに差をつける姿勢への反発が続出。留学生や識者は「全ての困窮学生を等しく救済すべき」と訴える。

 留学生だけに課された要件は「前年度の成績評価係数2.30以上」で、文部科学省によると全体の上位25~30%程度。萩生田光一文科相は「限られた財政の中で、学びの意欲のある、継続性のある人(を選ぶため)」と説明した。

 日本人学生には、成績要件がある日本学生支援機構の第1種奨学金の利用(予定含む)などを求めており、文科省は日本人にも事実上の成績要件があると強調する。ただ、民間奨学金なども認めるため、留学生ほどハードルは高くない。

 5月下旬の問題発覚後、インターネットでは撤回を求める署名が2日足らずで5万筆を超えた。政府が「留学生30万人計画」を掲げてきた経緯を踏まえ、「国策として留学生の受け入れを拡大してきたのだから、日本人学生と同様に給付すべき」などの意見が相次いでいる。各大学などが対象者を選ぶ仕組みにも、学校現場から「丸投げ」と反発の声が上がる。

 支援策を巡っては、朝鮮大学校などを対象外としたことも問題視され、移住者と連帯するネットワークなど五つの人権団体が共同で非難する声明を発表。要件の撤回と全ての高等教育機関を対象とするよう訴え、「学びの継続」を支えるよう求めている。

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