【高校野球】2010年春夏連覇の元球児らが無料オンラインスクール開校 未来を担う子供たちへの思い

報徳学園で10年夏の甲子園でベスト4入りした延田寛基さん【写真:本人提供】

2010年に春夏連覇を果たした興南高校・国吉大陸さんらが講師役を務める

新型コロナウイルスの影響で春夏の甲子園が中止、そして学校が休校になるなど厳しい状況が続く中、甲子園を沸かせた元高校球児、大学の指導者たちが野球少年、少女たちに向け動き出した。

全ての頑張る球児を応援する無料のオンライン野球スクール「B SPORTS ACADEMIA」を立ち上げたのは延田寛基さん。名門・報徳学園で2010年夏の甲子園でベスト4入りを果たし、中央大学準硬式野球部でも活躍し現在は会社員として働く中、「新型コロナの影響で球児の皆さんの力に少しでもなりたい一心でオンラインという形の野球教室を考えました」と語る。

高校、大学で知り合った“元高校球児”が延田さんの思いに賛同。2010年に春夏連覇を果たした興南高校で主軸を務めた国吉大陸さん、同年に夏の甲子園ベスト16入りの原動力となった仙台育英の田中一也さん、準決勝で興南・島袋投手と投げ合った報徳学園エース・大西一成さん。そして延田さんの恩師でもある、全日本大学準硬式野球選手権大会で優勝7回の実績を誇る中央大学準硬式野球部監督の池田浩二さんらが講師役を務める。

高校、大学、そして社会人でもプレーした確かな実績、技術を誇る精鋭たちが集結。現在は社会人として働く人も多く“二足の草鞋”として全員が講師役を務める。

では、なぜ無料でのオンラインスクールを立ち上げたのか?

今後はYouTube開設やグラウンドなどでの野球教室も計画していく

「野球を続けてきたことで今の自分たちがあると思っています。今後の野球界を担っていくのは子供たち。野球のレベルは年々、上がっていますがプレーヤーの人口はそれに比例して減少傾向です。野球の楽しさ、そして僕たちが経験してきたものを伝えていきたいと思っています」

現在はホームページ、インスタグラムでオンラインでの野球教室を受け付けている。新型コロナウイルスが収まっても、これを機に色んな形で球児たちをサポートしていく。最終的な目標は、野球オンライン学校アプリを起ち上げ、いつでもどこでもハイレベルな野球技術が学べる環境を作っていく。

新型コロナにより集団スポーツの在り方も変わってくることが予想され、今後は指導者の力が求められる時代に突入していく。延田さんはこれまで昔ながらの“鉄拳制裁”や“やらされる練習”を経験したからこそ伝えられる事があるという。

「個人だと努力を怠る事が多々あった私にはこれぐらいの厳しさが良かったのかも知れません。厳しい環境でやらせて頂いたからこそ成長・経験出来た事がたくさんあります。しかし、現在は責任者より非責任者に重きがおかれるようになりました。昔の練習法は今、問題視されるケースが多い。指導者は“熱さ”を履き違えて手を出してはいけませんし、指導される側も今の時代に甘んじてはならないと思います。野球を通して、チームメートと乗り越えたその経験は一生の宝物です。辛い分、楽しみも必ず先に待っています」(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)

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