学生の体調「見える化」へ 長崎総科大 スマホ活用の健康管理システム近く導入 「カイゼンテクノロジ」が開発した「サーモゲート」

サーモゲートの仕組み

 新型コロナウイルス感染症の集団感染(クラスター)予防などに役立てようと、長崎市網場町の長崎総合科学大は、スマートフォンを活用して学生や教職員の健康状態を把握し、関係者にリアルタイムで通知する健康管理システムを近く導入する。今後、登録した地域住民にも情報を開示し、学校の「3密(密閉・密集・密接)」回避や感染症対策を地域を含めて“見える化”する狙い。
 このシステムは「カイゼンテクノロジ」(東京)が開発した「サーモゲート」。長崎市出身の立石敦代表取締役(41)はトヨタ自動車を経て、コンサルティング会社とシステム開発会社を起業。トヨタグループの販売店を中心に業務効率化システムを開発する。
 コロナ感染症の拡大に伴い、販売店従業員の体調や店内の感染症対策を顧客のスマホに通知し、安心して来店できるシステムを構築。この取り組みを知った同大は学生らの感染リスク低減へ開発を依頼した。
 同大向けのシステムは、専用ウェブページ上で、体温計の数値部分をスマホで撮影。県外移動歴などの行動面をはじめ、せきや頭痛などの身体的状態、不安感や不眠などの精神的状態を尋ねる項目をスマホ上でチェック。体温が37.5度以上などの場合、「欠席」を促す通知が表示される。
 学生から送られたデータは自動集計され、一覧表が教員や学生担当職員、保健センターにメールで毎朝、送信。学生の体調に応じ、色分けして表示。関係者の情報共有や業務効率化、ペーパーレス化にも役立つ。
 今回は二つの寮に住む計約80人が対象だが、今後、大学院を含む全学生約830人と教職員約160人にも導入する計画。登録した保護者にも学生の状態を通知。個人情報の保護に留意しながら地域住民への情報開示も予定する。システム導入費はなく、1人当たり1日1円の利用費で済む。
 同大保健センター担当者は「感染症対策がきっかけだが、学生の就活やインターン、教職員の出張など県外移動に今後も制約が考えられる。健康状態がお互いに分かることで安心して学校生活を送ってほしい」と期待。立石代表取締役は「スマホにアプリをダウンロードすることなく、多くの方が利用しやすい仕組み。コロナ対策は長期にわたり、学校や多くの人が訪れる商業施設などの“安心の見える化”に活用してほしい」と話す。

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