くんちが縁で「町に恩返し」 長崎の男性が居酒屋料理を無償デリバリー

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配達する品をミニバイクに載せる川島さん=長崎市銅座町

 新型コロナウイルスで客足が遠のいた長崎市の歓楽街・銅座町の居酒屋を応援しようと、市内の男性が毎週金曜夜に限り、無償でデリバリーを引き受けている。長崎くんちに出演した縁で「お世話になった町に恩返しを」と5月に入って始めた。
 6月5日午後6時ごろ、川島薫さん(46)は居酒屋「五人百姓」で出来たての焼き鳥とちらしずしを受け取ると、ミニバイクにまたがった。普段は郵便局に勤めており、店の従業員でも副業でもない。店の大将、林昭彦さんは「心意気がうれしいね。お客さんにも伝わるはず」と送り出した。
 川島さんは「海鮮台所さかなや」「私房菜きりん」と合わせて3店舗を支援。「銅座フォルサ飯」と題してフェイスブックでメニューや連絡先を発信している。「フォルサ」は同町が南蛮船を奉納する際、ポルトガル語で「頑張れ」と鼓舞する掛け声だ。
 過去3回、根曳(ねびき)などを経験。そこで親しくなった町消防青年部の仲間は飲食店関係者が多く、休業要請や外出自粛で苦しんでいる。人通りが消えた町で川島さんは、配達を望む声を店、客の双方から聞き、自ら橋渡し役を買って出た。
 一人で配達するのでエリアは踊町と神輿守町(みこしもりちょう)に絞った。郵便物の集配という仕事柄、土地勘はある。バイクは同級生が、後部収納ボックスは知人のピザ店主が貸してくれた。フェイスブックのデザインは青年部の後輩が担ってくれた。「お客さんが戻ってくるまで続けないといけないかな」。川島さんは今週末も、南蛮船のTシャツを着て街角に立ち、好きな酒をしばし我慢して次の注文を待つ。