“次への一歩”踏み出す 3校が「引退登山」 県高総体代替イベント

長崎北陽台の3年生=雲仙・普賢岳

 新型コロナウイルス感染防止のために中止となった長崎県高総体の代替イベントとして登山競技は6、7日、雲仙・普賢岳などへの「引退登山」を実施した。6日に大村、7日に長崎北陽台、大村工の3校の選手たちが、気持ちを切り替えて“次への一歩”を踏み出すための山登りをした。
 長崎北陽台は男子2、女子8人、大村工は男子21人、大村は女子4人の3年生が参加。新入生の歓迎登山も兼ねて、下級生と一緒に登る学校もあった。山頂では各校の3年生が、それぞれ記念写真に納まった。
 昨年の県高総体と同じ雲仙山系の抜粋コースを歩いた。テント設営や体力、知識審査などによる採点はなく、山頂を目指して山登りを楽しんだ。各学校がルートを考えて違う道を進んだ。
 県高体連登山専門部は引退登山の前日までに、中止となった全国高校総体(インターハイ)会場の群馬県登山専門部が作製した記念Tシャツを3年生全員にプレゼントした。県山岳・スポーツクライミング連盟の補助もあった。上州武尊山の等高線や尾瀬のオコジョのイラストなどがプリントされた“幻のTシャツ”を着て、最後の登山に臨む選手もいた。
 県高体連登山専門部の小畑喬晴専門委員長は「何かの形になればと思って動いた。区切りをつけて前を向いて進んでほしい」と選手たちにエールを送った。

◎「培った忍耐力 受験に生かす」 昨夏IH男子V、女子2位 長崎北陽台
 昨夏の南部九州インターハイで、男子が優勝、女子が2位と最高レベルの成績を残した長崎北陽台。今夏のインターハイが中止となり、優勝カップは返還できないまま、来年まで学校に残っている。
 今季の男子は3年生2人だけという部員不足を乗り越えるため、自作の勧誘チラシを新入生に配布。1年生10人が加わり、メンバーを確保できていた。女子は3年生8人を中心に、先輩から託された日本一の夢を目指してきた。引退登山はこれまでの活動を振り返りながら進み、いつもは長く感じるという道があっという間に終わった。
 男子主将の林健太郎は「最後は弱音を吐かずに笑顔で楽しめた。培った体力や忍耐力を生かして受験という山を登っていきたい」、女子主将の鳥山陽菜は「やっぱり悔しいけど、楽しかった思い出もある。8人で続けられて良かった」と気持ちを切り替えていた。

大村工の3年生=雲仙・普賢岳
大村の3年生=雲仙・普賢岳

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