同性愛カップルのCM放送を取り下げて炎上 ケーブルTV局が謝罪 アメリカのウェディングギフト業界で急成長している「Zola」が、同性愛カップルを起用したTVコマーシャル。これを良しとしない保守系団体の圧力を受け、米大手ケーブルTV局で放映を中止したことに抗議が殺到し、有名人も巻き込んでSNSが炎上している。

女性同士の誓いのキスを保守系団体が批判

米グリーティングカード会社大手、ホールマーク・カーズが所有するケーブルTV局が、同性カップルを主役にした「Zola」(ゾラ)のコマーシャルの放送を取り止めたことで、謝罪に追い込まれた。

このコマーシャルを作った「Zola」は、2017年のフォーブス誌「次世代スタートアップ社」にも選ばれた結婚関連サイトを運営している。女性同士のカップルの結婚式という設定で、同サイトがあったおかげで結婚式の準備がスムースに行ったという話をして最後に2人が誓いのキスをする。そのCM映像(30秒)はこちら。

ホールマーク・チャンネルは米国内に8,500万人以上の会員数を誇り、主に家族向けや女性向けの番組が多く、保守層にも人気が高いチャンネルだ。このCMの放送を開始後、同性愛に反対する保守的な団体「ワン・ミリオン・マムズ」から「価値観に合わない」という批判を受けて、今月14日にCMの放送を中止した。

しかし、この決定に対し、性的マイノリティの啓発団体グラード(Glaad)などのLGBTQ団体や有名人がSNSで同社を激しく非難。クリスマス商戦真っただ中に「ホールマーク商品のボイコット」の呼びかけるハッシュタグ#BoycottHallmarkも飛び交う騒ぎに発展した。

今は何年? 時代錯誤にもほどがあるという声

この問題が浮上するやいなや、アメリカで有名な人気司会者エレン・デジェネレスは、「もうすぐ2020年なのでは? 何を考えているのか? 説明を願う。みんな答えを待っている」とツイートした。

次期大統領選の民主党候補のひとり、ピート・ブダジェッジ氏や、カリフォルニア州のギャヴィン・ニューソム知事、米ネットフリックス社なども、ツイッターでホールマークを批判。前述のハッシュタグ以外にもホールマークを非難するものが現れている。

保守を立てれば、リベラルが立たない

ホールマークは「私たちのブランド全体でLGBTQ(性的マイノリティー)をより反映させるため、グラードとともに活動していく」という謝罪のコメントを出した。以前から、同チャンネルの番組には同性愛カップルは取り上げられないという批判の声があがっていたこともあり、今回の炎上のトピックに挙げられやすかったこともあると見られている。

一方で、コマーシャルの取り下げを働きかけた団体「ワン・ミリオン・マムズ」は、同性愛者の権利に反対している保守系団体「全米家族協会(American Family Association)」の傘下にある。こちらの団体も批判を取り下げるつもりはないようだ。大勢の視聴者がいれば、その分、考え方も多様。今後の同社の対応が注目される。

2019年12月18日

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